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第73話 葵のやりたいこと6
(葵語り)
「ここ、感じるみたいだね。好き?」
「……変な感じが、するだけだよ……ぁ……すき、じゃない……」
さっきから先生が乳首を口に含んでは、吸ったり舌で押したり、弄んでいるように見えた。じんじんして、なんだか熱い。
捲り上げられたパーカーで、俺からは先生が見えない。何の変哲もない身体を見られたり、触られたり、恥ずかしいことこの上なかった。
「あ……あ……んッ……」
「乳首が薄ピンク色から、赤色に変わった。エロい……」
自然に変な声も出てしまう。
男の喘ぎ声は気持ち悪いと思うんだけど、先生は気にしていないようだった。
ひとしきり乳首を吸って舐めた後、お臍へキスを落とし、唇はさらに下へと滑っていった。ズボンのジッパーを静かに下ろされる。
「あ、ちょ……っとそこは……」
予期していない行動に内股で抵抗してもグイと強い力で割入られ、一気にズボンを剥ぎ取られた。突然の外気に太腿がスースーする。
「ここ触んないとセックスできねえだろ。恥ずかしがらずに、されるがままでいいの。肌がこんなに綺麗で滑らかなのに、おっぱいも無くて、ここも付いてるのな。すげー興奮してる」
「……あんま見ないで……よ……」
パンツも呆気なく脱がされ、緩く立ち上がったモノをゆっくりと手で扱かれた。
「……ぁ……っ……だめっ……そんなこと、しちゃ……」
「だめ、じゃないでしょ。先走りで濡れてきてる。先っぽ触るとよさそうにビクビクってなるの分かってる?ほら……」
「………わかんない、よう……ふぁ、も、ぁっ……」
他人に扱かれることが、こんなに気持ちがいいとは驚いた。猪俣先生は、あまり俺を触ってくれなかったし、時間をかけて愛してもくれなかった。あの頃はそれでよかった。
我慢することが多いセックスしか知らない。痛くて耐えるのが常だと思い込んでいた。
「も、でる……でちゃう……せんせ、あ、んんっ……」
次の瞬間、四肢が突っ張って先生の掌に吐精した。息を荒くしている俺にキスをして先生が微笑み、汗ばんだ額を手の甲で拭う。
「気持ちよさそうにしている表情が堪らなく可愛かったよ。いつも可愛いけど、今までで1番かな。本当に可愛い……」
可愛い、可愛い、可愛い。
普段言われたら嫌悪が湧く言葉も素直に嬉しいと思えた。好きな人に可愛いと思われる自己を肯定して受け入れること。自分を大切にしなさいという先生の思いが少しだけ分かった気がした。
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