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第82話 ほんとのきもち6
※ここから無理やりと暴力の表現があります。
苦手な方はご注意をお願いします。
(真理語り)
目を見開いた。そこには信一がいたのだ。
「よお、真理。元気そうだな」
「……んー、んんー、んー」
手は後ろで一つに……金属の感触があるからおそらく手錠で拘束されてる。
足は紐で縛られていた。バタバタと金魚のように動かしても、虚しい音が響くだけだった。同じく口には布地の何かで猿ぐつわがされている。
フローリングの床からの固い冷気で僕の体は芯から冷えていた。寒い。寒くて凍えそうだ。
横たわる僕の前に信一がしゃがみこむ。
まるで獲物を前にした肉食獣みたいに欲望でギラギラした目に胸やけがする。
気持ち悪い奴だってことを思い出した。彗さんとのことが上手くいかないからって、信一に逃げようとしていた僕は愚かだ。
「お前さ、俺を無視するのもいい加減にして欲しいんだよね。俺にも我慢の限界があるっつーか。だから、仲間に頼んで連れてきてもらった。話をゆっくりしようと思って」
信一は、監禁まがいのことをして警察に捕まったことがあるから気を付けろって、兄ちゃんから注意を受けていた。
ははは。今更思い出すなんて、僕はばかだ。
兄ちゃんの言う事ををもっと聞いておけばよかった。
この間も約束をすっぽかしたし、前も葵君を使って冗談ぽくはぐらかした。
とっくに沸点に達してたんだろう。
信一の目は全く生気を帯びていなかった。
死んだ魚の様な無機質な目には何を言っても無駄なのか。
この状況はどうしたら変わる?
どうしたら、逃げられる?
何かを言おうとすると、しゅるりと猿ぐつわを外された。
「……やりたいなら……好きにやっていいから……外して……ごほっ、ごほ……」
喉がヒューヒューいってうまく声が出ない。
無理やり声を出そうとしたらむせてしまう。
「お前馬鹿か?ただやりたいだけなら縛ったりしねーよ。頭弱いのな」
信一が僕の髪の毛を掴んでひっぱった。
痛さに呻き声が漏れる。
髪の毛がごっそり抜けた様な錯覚に陥り、血の気が引いた。
「俺はこの綺麗な顔が歪むのが見てみたいんだよ、ほらっ」
床に顔を押し付けられて思いっきり踏まれた。
頭蓋骨が軋む音がする。
歪んでるから、涙も滲んでるから、今すぐ離してほしい。鉄の味がする唇を噛んで耐えるも、信一の気が済むことは無かった。
ふと今日はバイト休んだら彗さんは心配してくれるかな、連絡が取れなかったら探してくれるかなと、別のことが頭に浮かぶ。
けど、その考えはすぐ掻き消された。
苦痛から逃げたくて耐えるのに必死だった。
しばらくして、足を縛っていた紐を外されたが、恐怖で逃げる気は起こらなかった。
ズボンとパンツを下ろされて、お尻を突き出す姿勢を取らされた。
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