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第89話 ほんとのきもち13

(真理語り) 彗さんがゆっくり言葉を選びながら話しているのが伝わってくる。 「俺のつまらないヤキモチのせいで、あいつを怒らせるきっかけになったかと思うと、本当に申し訳なくて。オーナメントのラッピングを無理やり手伝わせなければ、こんなことにならなかった」 「それは違う。彗さんのせいじゃないよ。いいかげんな僕のせいだからわさわざ謝ることでもない」 謝られたら余計に虚しくなる。 誰のせいかと問われれば全て僕のせいだ。身体の傷は治ってもあの時の記憶は恐怖として刻まれている。それは僕の身から出た錆以外何ものでもなく、信一は別として他に恨んでもいない。 「あんな気持ち……連絡が取れなくて心配で潰れそうになる気持ちはもう味わいたくないんだよ」 彗さんが、じっと僕のを目を見た。 「…………ごめんなさい。もう懲りた。今度こそ健全な高校生をする。それは約束する」 だから、心配しないでと付け加える。 僕は物心ついた時から兄ちゃんとじいちゃんの3人暮らしだった。両親はいない。生活するには不自由しなかったから、きっとそれなりのお金を遺して両親はこの世からいなくなってしまのだろう。それについては深く考えたこともない。両親のいない後ろめたさよりも、他人からこんなにも心配されることに、もどかしさを感じていた。 どうしよ……すごく嬉しい。 「慧さん、ありがとう。これからも僕を見張っていて。また………」 「何かあったら注意して迎えにいけばいいのか。それはこりごりだと言っただろう。これからは俺が真理を守っていく。これ以上お前が傷つくのを見たくないんだ。どうすれば自由に飛び回る真理を囲えるか考えたんだが、俺たちが付き合えば問題ないことに気付いた。堂々と束縛できるじゃないかと、そうでもしないとやりきれない」 え??今、何て言った? 何て言ったーーーー?

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