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第111話 教科書泥棒10
(熊谷先生語り)
葵と島田がキスしたと聞いて、頭の中が真っ白になる。キスしたって可愛く言われても、事実が消える訳ではないのだ。大事な俺の葵の唇を奪った島田に、かなりの悪意を抱いた。
よくよく話を聞いてみれば教卓の中で抱き合ってから、キスされたらしい。狭い所で密着していたんだと、俺でも興奮しそうなシチュエーションにかなりのショックを受けた。
島田には深い傷があることを知っている。それはすぐに癒えるものではなく、この先かなりの期間彼を苦しめるだろう。大目に見てくれと言われれば、教師の俺は許す。だが、葵の恋人である俺は絶対に許したくない訳で、それを子供だと揶揄されても仕方がなかった。
ベッドに移動して、葵を膝の間に座らせる。
シャツ一枚羽織っただけの葵は、白い肌が暗闇に映えて気怠げに見えた。色気が際限なく漏れ出している。やっと射精できた余韻で、いつもより素直になっているようだった。
「島田とどんなキスしたの?」
「んーと、がぶって食いつかれるやつ」
「噛み付く……みたいな?」
「そう。気付いたら、口ごと食われててどうしようもなかった」
再現すべく、俺は葵の口に食いついた。
驚いた葵はもがいて引き離そうとする。
「い、やだ……」
「引き離したら上書きできないじゃないか」
「それ痛いし、全然気持ちよくない」
「気持ちいいのがいいの?」
「うん。先生のはいつも気持ちいいから……それがいいの」
そっか。俺のはいつも気持ちいいかと、悦に浸りながら、嬉しくてにんまりした。島田の上書きなんてガキ臭いことは諦めよう。
愛おしい唇に軽いキスを何度か繰り返すと、くすぐったいと葵は笑った。小さく開けた口から赤い舌が覗いたので、すかさず掬いとるように自らの舌を絡める。膝に乗っている葵が段々と欲情していくのが見て取れた。キスが好きらしく、俺の唾液を欲しがる様は本当に可愛い。
そして、集中している隙にゆっくりと身体をベッドへ押し倒した。
横向きにさせて、後孔へ向かって指を滑らせる。羽織っていただけのシャツは床へ落ちたようで、生まれたままの姿で葵は俺に組み敷かれていた。
「綺麗なお尻だね」
柔らかい尻臀をこれでもかと揉みしだく。
後孔の周りもクルクルと撫でた。
「ぁっ……ん……触り方がやらしい」
「やらしくしてんの……これからセックスするんだし……嫌?」
「い、や……じゃないけど……恥ずかしい」
必死に手で隠そうとしたので、手首を掴んで再び可愛いお尻へ指を進める。
この中に俺のものが入ると思うと興奮する。
入口ですらこんなにも指に吸い付いてくるのに、ナカはどうなるのだろうか。
俺はベッドサイドにあるローションを引き寄せて、手の甲で温めた。
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