3 / 35
嫌いじゃない
「嫌いじゃないけど」
三田村はどうしてそう思ったのか
自分の態度はそんなに分かりやすいかと
少し動揺しつつ睦月はこたえる
「そっか」
三田村は同期の中でも
まとめ役という印象だ
人のことをよく見ているのかもしれない
「まぁメドがついたら途中からでも来いよ」
三田村はそう言って男前な顔を緩める
「どうせまだ急ぐ作業でもないんだろ?」
職場の仲間として
睦月と酒川の関係が悪化することを懸念し
こう言ってくれるのだろうか
「そんじゃなー」
と今度こそ去っていく三田村の背を見ながら
睦月は酒川との距離の取り方を考えていた
酒川のことは
嫌いじゃない
嫌いじゃないのだ
ともだちにシェアしよう!