時刻は午後8時20分 睦月は残業を終え 駅前の飲み屋街に来ていた そしてかれこれ10分ほど 同期との飲みでよく利用する 飲み放題居酒屋に入店出来ず 店前で立ち尽くしている 睦月は今回の誘いを 自然な形で断るために わざわざ残業をしたというのに 誘いを断った後の 三田村の言葉が気にかかり 直帰できなかったのだ どうしたものかと考えるうちに 駅前まで来てしまっていた しかしいざ到着しても飲みの席へ 踏み込むことにためらいがあった 理由は2つ ひとつは時間制限のある飲み放題の居酒屋に 途中入店することがはばかられるため そしてもうひとつは... 「睦月？」 名を呼ばれ振り返るとそこには いままさに思い浮かべていた人物がいた 「酒川...」