「佐々木ってほんとに 子育てしてんだなー」 「...相当可愛がってるよな」 「そりゃ1歳とか可愛いだろ」 「あれ？三田村って子どもいたっけ？」 「いたら2次会こない てか結婚すらしてないわ」 そんな話をしつつ 小料理屋で向かい合うのは 未婚の男ばかりであった 酒川と睦月と三田村 そして眼鏡の山田 「彼女はいんの？」 山田に問われ三田村がこたえる 「いないよ 彼女は そういう山田は 最近フラれたんだよな？」 「うぉっ 掘り返すなよっ」 「“結婚は考えられない”だっけ？」 「のわぁっ 傷えぐるなよぉっ」 「この年まで付き合って そんなこと言うかって感じだよな」 睦月はふたりの会話を聞きながら まるで異次元だと感じていた 恋愛すらままならない睦月にとって 結婚など想像もつかない きっとこれから先 静寂に包まれた生活を送るのだろうと そう考えて寂しくなる そんなことを考えていると 気になる話題が耳にはいる 「酒川はどだっけ？」 睦月は思わず聞き耳を立てる 「彼女？いないよー 気になる子ならいっけどー」 睦月は酒川の言葉に 驚き目を見開いた 女子からモテるとは思っていた 恋人くらいいるものだと思っていた 知らなかったのだ 酒川が片想いをしていることなど