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作戦失敗

「お待ちどうさまー」 4人席に着いた睦月たちの前には 注文から5分も経たないうちに 食堂のおばちゃんの手によって 出来立ての定食が並べられた 「いただきまーっす!」 爽やかな人好きのする笑顔で おばちゃんに声を掛ける酒川に続き 睦月と佐々木も小さく挨拶をし それぞれ食事をはじめる 「相変わらずうまーい!」 魚フライを頬張り歓声をあげる酒川 その姿に睦月はどこか可愛いさを感じた 「たまには外で食べるのもいいもんだな」 「佐々木はいつも弁当だもんなー」 「酒川はいつもパンだよなー」 「パンだって立派な食事だよ!」 睦月の前で繰り広げられる ふたりのやりとりも親しげで いつもの大人数でやる同期飲みと 今とでは違う印象だった 酒川の新しい1面を見た気がして 睦月は嬉しさに微笑んだ 「なんだよ睦月ー!」 「いや 酒川は食にこだわり そうなのに意外だなって」 「うーん 美味しいもの好きだけど ひとりで外行くのも寂しいし」 睦月は昼食に誘ういい口実に喜んだ しかしどう言うのが自然だろうか というかそもそも他部署の人間と わざわざ示し会わせて昼食をとること 自体が不自然だろうか 「おすすめのラーメン屋が...」 あるから と言いかけたとき 酒川の携帯がなった 酒川は電話に出た後 急いで定食を食べきると 「悪いー上司から呼び出された 先戻ってるからゆっくり食べて」 とあわただしく出ていってしまった 睦月は次の約束をとりつけられず うなだれるのだった

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