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パスタ食べよう!

「え!そんなに近いの!?」 酒川が驚きの声をあげたのは 睦月の自宅が酒川の家から 徒歩15分ほどの距離だと分かったときだ ふたりは会社を出た後 「パスタ食べよう!家おいで!」 という酒川のひとことにより 駅前のスーパーで買い出しをし 今は酒川の住むアパートにいる 睦月は急展開に戸惑い酒川に従うばかり 気づけばこうなっていた 睦月はパスタ麺を鍋に入れつつ 酒川との会話を続ける 「もう3年近く住んでるんだけど こんな近くても会わないもんだな」 お茶を食卓に運んでいた酒川が ダイニングから顔を出す 「そんな近いならさー これからは一緒にご飯食べようよ 今日みたいにさー」 「うん そうだな」 酒川と会えるいい口実だと喜びつつも 睦月は下心があることに引け目を感じる 相手に恋愛の対象として見られないことが こんなにも気にかかるものかと睦月は感じた 「次はハンバーグだなー」 そう言いながら酒川は 皿とフォークを取り出し 隣でトマトとベーコンを 炒める睦月を見て密かに微笑む 「なんかいいなー」 酒川の発言の意図が分からず ん?と酒川を見つめる睦月 「睦月って結構 料理するの?」 「そうだな 割りと好きだけど 人に振る舞うことはあんまりない」 手料理が心に染みると言うことだろうか 「恋人とかに作ったりしない?」 「いないよ 恋人なんて」 「じゃあ!気になる人は?」 予想しなかった話の展開に 少しの焦燥を覚える 「なんで突然そんな話?」 睦月は焦りを誤魔化すように 塩コショウをふる 「俺にはいるよ」 酒川の決定的な言葉を聞いて 睦月は酒川を見られなくなる 黙ってフライパンに 生クリームとコンソメを入れる 「見てて可愛いなーって思う」 急いでパスタ麺をお湯からあげて フライパンに移しソースと絡める 「こっち見て笑ってくれると たまらなく嬉しくなる」 皿に盛り付けコショウとバジルをかける 「睦月...俺さ...」 「パスタ!パスタ食べよう! 出来たから!ほらっ!」 睦月はパスタを盛った皿を ずいっと酒川につき出した

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