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そういうの無理

「山田...」 山田はいつからそこにいたのだろうか 三田村との会話を聞かれただろうか 睦月は不安と焦燥にさいなまれる いたたまれず立ち上がった睦月 見上げた山田の顔は どう見ても嫌悪を浮かべているようで 「あの...山田、」 何をどう話していいのかわからず 睦月は言葉につまる 沈黙の中 唐突に山田が口を開く 「ごめん 俺 そういうの無理っ」 睦月と目を会わせることもなく 叫ぶようにそう言った山田は 休憩エリアを飛び出して行く 誰もいなくなった休憩エリアに 睦月はひとり立ちすくむ 物音ひとつしない ひとりきりの静寂 睦月は混乱する まさに涙が溢れそうになったその時 ポケットのスマートフォンが 着信音をたてる 睦月は落ち着きを取り戻すように 深くため息をついて涙を拭う スマホを取り出して確認すると 着信は三田村からだった “急遽 飲みに行くことになった いつもの駅前に20時集合 睦月は必ず参加すること” とても 人と話せそうにない しかもこれは同期飲みの誘い タイミングが悪すぎる 睦月はそう思い即座に 誘いを断ろうとした しかし断りの文面が思い付かない 何度も何度も返事を打ち直すうちに 気づけば長い時間が過ぎていた 仕事に戻らなければならない 取り敢えずデスクに戻ろうと 睦月は返事を返さないまま スマホとチョコ菓子を ポケットに仕舞う そして結局 断りの連絡を入れられないまま 就業時間を迎えてしまったのだった

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