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最高のまどろみ

翌朝 酒川のベッドで目を覚ました睦月は 隣で眠る酒川をぼんやりと眺めて 並々ならぬ幸せを噛みしめていた 佐々木の前で泣いていたことを見られて 交わし切れなかった睦月は 佐々木はもとより三田村に話したことも そして 山田のことも 酒川には全て話すはめになった 「んんぅ?むつきー?」 目を覚ました酒川が 寝ぼけた顔で睦月を探す 睦月を捕らえた酒川は優しく微笑む ぐっと睦月を引き寄せると 腕のなかに抱き込んで ふたたび眠りにつく 一気に酒川の香りが広がり 睦月はドキドキと胸を高鳴らせる それでもどこか安らぎを感じて 睦月もまたまぶたを伏せた 山田の話をしたとき 酒川は「うーんどうにかしなきゃねー」 と呟いていたがそれ以上は 何も話さなかった これから睦月がどうするべきか 考えなくてはいけないと思いながらも 今はいいやと睦月は酒川の胸元に顔を寄せ 最高のまどろみの中で眠りについた

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