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0からはじめる

午後11時過ぎ 飲み会が終わったあと 酒川に言われた通り 睦月は酒川の家に来ていた お風呂から上がった睦月は 同じくお風呂上がりの酒川と ベッドで戯れていた 睦月の耳元をくすぐり続ける酒川に くすぐったさを堪えながら睦月は問う 「明日の予定は?」 酒川は手を止めないまま満足そうに微笑む 「何もないよ」 酒川は睦月から目をそらさずに ゆっくりと近づきそっと唇を合わせた くちゅりと音を立て 睦月を追い詰めるように その口内に舌を這わせながら ぐっと睦月の肩を押す 睦月に覆い被さるように 酒川が体勢を変えたとき 睦月のスマートフォンから メッセージアプリの通知音が響いた 驚いたふたりは一瞬動きを止めた 手に取ろうとぐっと伸ばした睦月の手に 酒川は手を被せて指を絡めて制止する 「後でいいでしょ?」 それだけ言って再びキスをする酒川 いつになく切羽つまった酒川の様子に 睦月は逆らうこともせず睦月からもまた 酒川に応えようと唇を重ねる そうして夜が明け 睦月がスマートフォンの 通知を確認したのは翌朝のことだった メッセージは三田村と佐々木からで 三田村からは 「今度詳しい話をきかせるように」 佐々木からは 「よかったな 仲良くやれよ なんかあったら 話聞くから」 と届いていた ふたりともなんだかんだと お節介だと思った睦月は クスクスと声を出して笑った その声に反応したように酒川が目を覚ます 「んぅぅー...むつきー...」 「おはよう酒川」 「...はよぉ...好きぃ」 「...!」 こんな調子で酒川はことあるごとに 好きだ好きだと言ってくる 同じように言い返すことは 睦月には些か難しいことだ しかし睦月は 気持ちを伝えられる度に募る 酒川への言葉に出来ない気持ちを いつかちゃんと伝えたいと思っている 朝の静寂の中で 恋人との付き合い方も0からはじめなくては とそっと覚悟を決める睦月だった

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