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第2話 そのニー
『越後屋、お主もワルよのう』『いえいえ、お代官様にはかないませぬ』といった時代劇で定番のの会話が聞こえてきそうな気配だったが、実際に聞こえてきたのはユイコのか細い声だった。
「・・・あの・・・お待たせしました・・・」
声のした方に二人が振り向くと、二人と同じランジェリー姿になったユイコがそこにいた。純白のブラとパンティはところどころに小さなバラの刺繍が施されているが、アスリンやサトミとは違って生地がコットンの廉価品。
そして、まだ恥ずかしさは仕方ないのか、ほほを真っ赤に染めたその顔を見られたくないのか、ユイコの顔はどことなく斜め下を向いた俯き加減。そして左手の甲に右手の掌を重ねたその両手はパンティの前に位置していて、それとなく気にしている部分を隠し気味。
「ねえ、ユイコ。もっとかわいいポーズしてみてよ」
「えっ?ど、どんな?」
「そうね、例えばこんなのはどうかしら?」
椅子から立ったサトミは両手を首の後ろで組み、顔を斜め上に向けてキスをせがむように唇を尖らせた。
「はぁ・・・今のは悪い見本よ」
「何でよ!」
思わず小さな溜息を一つして椅子から立ったアスリンは、両手を後ろ手に組むと首を右に傾げて微笑んだ。
サトミとアスリンの即興漫才風味なやり取りを見て思わずクスリとして表情を和らげたユイコは、見よう見まねでアスリンと同じポーズをしてみた。
“わぉ~”
“うわ・・・”
アスリンと同じポーズを取ったユイコのその姿は確かに可愛らしさをアピールするものだったが、両手を背中に回したためにそれとなく隠していた、パンティを中から何かが突き上げているその痴態は、サトミにとってはリビドーを刺激するものであり、アスリンにとっては好奇心を刺激するものだった。
「・・・どうですか?」
「ユイコちゃん、可愛いわよ、ムフフ」
「なんか、笑い方がいやらしいんですけど・・・」
「それにしても、凄い・・・」
「え?何の事?」
「あ、いえ、何でも無いって。じゃあ、ユイコもこっちに来て、パーティを始めましょ」
こうして、アスリンはピンク、サトミはサックス、ユイコは純白と、ブラとパンティ上下の色を揃えたそれぞれの色のランジェリー姿で三人は飲めや食えのパーティを始めた。
注文したピザは鶏肉やシーフードや野菜やフルーツなど、4系統のピザを3/12カットずつまとめたもので、いろんな味が楽しめた。ドリンクはパーティに付きもののシャンパンもどきの容器に入ったフルーツ系炭酸ジュース。ただし、ピザを切り分けたりジュースをグラスに注ぐ係は勿論ユイコだった。
そして、パーティにおけるガールズトークだが、最初は14歳になったアスリンがこれからの自分を語ったり、サトミの同じ頃の思い出話が出たり、ユイコのリクエスト?でサトミとアスリン二人の向こうの国での出来事とかをいろいろ話したり聞いたりしていたのだが、話題はそのうちガールズトークならではのものに移行していった。
「そうね、やっぱり何と言っても男性アイドルNo.1はキムタツでしょ!これは絶対譲れないわね!」
「あら、でも木村タツヤって、山崎シズカと結婚してるんじゃなかったっけ?確か子供もいたわよね?確か、ココタくんとか・・・」
「べ、別に結婚しててもいいのよ、その人と結婚したいって思ってる訳じゃないんだから!」
サトミのツッコミにアスリンは少々たじろぎ気味。
「でも、アスリンの嗜好としては意外ね。デカ様とかの外タレが出てくるかと思ってたわ」
サトミの言ったデカ様とは、レオナルド・デカプリオという人気ハリウッド俳優の事だった。
「ヨン様、っていうのもいましたけど?」
「なーにがヨン様よ!あんなの全然ダメね!ペ様かペー様で十分よ!」
アスリンは韓流タレントはお嫌いのようだ。ちなみにこのペ様もしくはペー様が誰かは、世界中の人にとってはどーでもいい、言うなれば非常識の範疇である。
「でも、様、は付けるんですね」
確かに好みでもないのに様付けするのは何かおかしい。
「じゃあ、様も要らないわね。ペッペッ!で十分よ!てゆーか、そー言うユイコはどうなのよ?」
「私ですか?えーと、そうですね、スポーツ選手とかは憧れますね」
「例えば、どんなスポーツ選手?」
「え、えーと・・・ベッカン様とか?」
ユイコはイギリスの人気サッカー選手、デビッド・ベッカンバウワー(通称ベッカン様)の名を挙げた。と言っても、本気で熱を上げてる訳ではなくて、女性に人気のスポーツ選手というお題に対して真っ先に脳裏に浮かんだだけである。まあ、女性からの人気なんぞはさておいて、確かにその才能は世界に冠するものであり、純粋にスポーツ選手としてはカッコイイという意味での憧れはあった。
「サトミさんはどうなんですか?」
「私?そうね~・・・・・・・・・」
サトミは両腕を組んで熟慮するかのように目を閉じて俯き、しばし沈黙した。
「・・・ユイコ、もしサトミが寝息を立て始めたら、額に油性ペンで肉って書いちゃいなさい」
「じゃあ、マッキーを持ってきましょうね」
「やめんかい!」
お約束の狸寝入りのギャグが躱されたサトミは慌てて開眼した。
「じゃあ、真面目に答えてよ」
「う~ん、そうねやっぱり、♪可愛い~年下の男のコ、かしらね」
サトミは熱い視線をユイコに向けた。すると、呆れたアスリンは立ち上がって一言。
「じゃあ、ボールペン持ってくるわ」
「なんでやねん!」
とかなんとか楽しいガールズトークを繰り広げながら騒いでいるうちに時間は過ぎて行って21時になっていた。
「あら、いつのまにやらもう9時?」
「時間が経つのを忘れて話しちゃってたわね」
「もう食べ物も飲む物も全部無くなってますし、そろそろお開きにしますか?」
「なーに言ってるのよ、夜はまだまだこれからよ」
「そう、子供はおネムの時間だけど、ここからは大人のじ・か・ん(はぁと)」
「はい?」
ユイコにはアスリンとサトミの言っている言葉の意味がよくわからない。
「それでは、ここから大人の時間という事で、変身してくるわ」
「行ってらっさい」
アスリンは席を立って自室に戻っていった。
「ちょ、ちょっと、サトミさん、まだ何か企みがあるんですか?」
パーティを始める段になってアスリンがいきなりランジェリー姿で現れた事もあって、今度はいったい何が起きるのかとユイコは不安顔をサトミに向けた。
「それはアスリンが戻ってからのお楽しみ~」
一方その頃、自室に戻ったアスリンはピンクのランジェリーから真紅のランジェリーに着替えて姿見鏡の前に立ち、口を真一文字に結んで決意した。
“行くわよ、アスリン!”
そして、再びダイニングに戻ってきたアスリンのその姿を見てユイコは吃驚仰天した。
「ああ、アスリンったら、何て恰好してるのっ!?」
ユイコがビックリ仰天するのも無理は無かった。アスリンのその真紅のランジェリーは、胸の部分と腰下の部分ががシースルーのレースになっているベビードールに、これまた前後の布地がシースルーのレースになっているハイレグパンティだったのだ。ちゃんとした布地はシルクとなっているベビードールのお腹周りと、ハイレグパンティのサイド部分しかない。
「どう?サトミに誕生日のプレゼントで買ってもらったのよ。オ・ト・ナでしょ?」
アスリンはさっきユイコに可愛いポーズとして悪い見本を見せた時のサトミと同じポーズを取った。
「サ、サトミさん、ちょっとこれは、いくら何でも・・・あれ?」
ユイコは振り向いたがそこにサトミの姿は無かった。
「サトミさん、どこ行っちゃったんですか?サトミさん!?」
「はあい、お呼びかしら?」
自室からリビングに現れたサトミの黒のランジェリー姿を見てユイコは思わず「きゃ!」と可愛い悲鳴を上げて思わず顔を両手で覆った。
「あらん、喜んでくれると思ったのに、ユイコちゃんってばつれないんだからぁ」
ユイコがそんな反応をしたのも無理は無かった。サトミのランジェリーは、胸の部分が完全にオープンになっていてさらに腰骨の上まで切れ上がったスーパーハイレグの黒いレースのテディだったのだ。ちゃんとした布地はシルクとなっているテディのお腹周りと肩紐部分しかない。
「これがオ・ト・ナってもんよ」
アスリンのランジェリーもセクシーと言えば確かにそうだが、サトミのランジェリーに比べたらセクシー度では一歩譲るかもしれない。アスリンのベビードール&パンティはシースルーのレースの部分はよく見ればその内側が透けて見えるぐらいだが、サトミのテディは何せオープンバスト。アスリンのそれよりもたわわであるサトミの乳房が二つ、丸く丸見えになっているのだ。
「うーん、こればかりは私の負けね。実際サトミは正真正銘の大人だし、若いコが勝てる筈ないか」
潔く完敗を認めてるようで、でも自分の方が若いんだと主張するアスリン。
一瞬、サトミとアスリンの視線がぶつかって微かに火花が散ったようだが、その火花はすぐに消えて、お互いに頷き合って意思の疎通を確かめた二人はユイコに向き直った。
「じゃあ、ユイコっ」
アスリンに楽しそうな声をかけられてユイコはビクッと肩を震わせた。
「ま、まさか、私も・・・」
消え入りそうな震え声を返すと。
「ユイコちゃんも、セクシーなランジェリーにお着替えしましょうねー」
小さなコに躾けるような猫撫で声をサトミにかけられてユイコは顔を両手で覆ったまま、嫌々と首を振った。
「やっ、やだやだやだっ、絶対絶対無理です、そんなエッチな格好なんてっ!」
「えー、どうしてー?パーティで冗談で着てるだけなんだしー、ユイコももっと思い切ってハメを外しちゃいなさいよー」
ユイコが気にし過ぎないようにアスリンは努めて明るく言ったが。
「で、でも・・・今だって結構恥ずかしいし・・・」
それでもユイコはノッて来ない。すると、サトミはそっとユイコのサイドに立った。
「アスリン、私に5分だけ時間をくれない?」
「わかったわ。向こうで待ってるね」
“あいつが拒否るのはわかってた事。後は上手くやってよ、サトミ”
アスリンは三度自室に引っ込んだ。
「・・・さて、アスリンにはもう私達の話す声は聞こえないわ。ユイコちゃん、いえ、シンちゃん。どうして嫌がるのか、ちゃんと私は理解しているわ」
そう言うや否や、サトミは自分の手を愛しい女装美少年の下腹部に伸ばし、パンティ越しにそれを中から突っ張らせているものを優しく掌で包んだ。
「はぅっ・・・サ、サトミさぁん・・・」
「女装したらオチンチンがパンティの中でフル勃起しちゃう事が恥ずかしいんでしょ?」
「・・・は、はい・・・」
「でもね、今更恥ずかしいと言っても意味無いと思うわ。私はそんなシンちゃんが好きだし、アスリンも同じだもの」
「・・・えっ?」
サトミの言葉の中に一つだけ理解できない部分があったので、思わずシンイチは顔を覆っていた両手を外してサトミの顔を見上げた。
「・・・アスリンも同じって・・・?」
「どうやら、アスリンもシンちゃんの事が好きみたいよ」
「そ、そんな、まさか・・・」
アスリンから受けた酷い仕打ちはまだシンイチの心の中で忌まわしい記憶として残っている。まあ、それよりもイツコにアナルレイプされた事の方がより深刻なトラウマだったが。
「多分ね、好きな相手程苛めたい、って事かもしれないわね」
いや、あの時は自分の姉と慕っていたサトミが自分に恥をかかせたシンイチと妖しい仲になっている事にアスリンが激しく嫉妬したというのが正しいと言う事は今のサトミには十分分かっている事だったが、サトミは今はそれを無視した。
「だけどね、私は学校の先生でシンちゃんは生徒、そして私はシンちゃんの保護者。シンちゃんを本当に好きになってはいけない事は十分承知しているわ。だから、できる事ならシンちゃんには同世代の女のコと恋愛をしてほしいと思ってるの」
「そんな・・・サトミさん・・・僕は・・・サトミさんが好きだから・・・」
「ええ、私が望むから女装してくれるんでしょう?それはわかってるわ。でも、本当は違う筈よ」
「えっ?」
サトミは意外な言葉を発した。
「私が望むから女装をするのではなくて、自分から女装したいと思ってるのではなくて?」
「ち、違います」
「ウフフ・・・隠さなくてもいいのよ。シンちゃんは私とエッチな事がしたい、私はシンちゃんの女装姿が好き、だからシンちゃんは自分から女装する事を望んでいる筈よ」
「そ、そんな・・・そんな事は・・・」
絶対に無いと言える自信は無かった。サトミの指摘したとおりの思いが自分の心の中にあった事は本当だった。
「でも、それでいいのよ。前にも言ったけど、人は皆それぞれ違うもの、いろんな性癖があるのが当然。ただ、それを理解して受け入れてくれる相手がいなければ十分な幸せは手に入らないと思う。そして、さっき言ったように私は本当の意味でシンちゃんを好きになってはいけない。だけど、シンちゃんには私とは別に、シンちゃんの性癖を受け入れてくれる同世代の女のコがちゃんと近くにいるのよ」
「・・・それが、アスリンなの?」
「そうよ。正直に言うわ。私はシンちゃんとアスリンが結ばれるのが二人にとって一番幸せだと思う」
“うわ、サトミったら熱演してるわね。私とあいつが結ばれるなんてそんなの有り得ないのに”
勿論アスリンは自室に籠ってはいるが、ドアを完全には閉めてはおらず、その隙間からリビングでの二人の会話に必至に聞き耳を立てていた。
だが、アスリンは誤解していた。サトミの言葉は本当で熱演ではないし、アスリン自身もシンイチの事を好きではあるが自身の性格のせいで気が付いていないだけなのだ。
「・・・本当かな?・・・アスリン、前に僕に酷いイジメをしてきたし・・・」
「それはまだシンちゃんの魅力に気が付いていなかったからだと思うわ。だから、どうすればそれをアピールすればいいか、教えてあげる。一緒においでなさい」
サトミはシンイチの肩を抱いたまま、パンティの前を手で包んだまま、自室に連れ込んだ。
「私やアスリンに負けないぐらい、とびっきりセクシーなランジェリーがあるから、まずは着替えてみて。話はそれから、ね?」
「は、はい・・・」
しかし、今夜の為にアスリンと二人示し合わせてインターネットの通販で購入したそのランジェリーはとてつもなくセクシーなものだった。それは純白のレースのギャザーで縁取られたブラジャーとスキャンティだった。いや、正確に言えばレースのギャザーで縁取られる筈の布地はその二つには99.89%無かった。ブラは完全なオープンバスト、スキャンティはプッシー部分のみぎりぎり隠すぐらいのクロッチ部しか無いTバックだったのだ。
「サ・・・サトミさん・・・こ、こんなの・・・」
サトミから手渡されたそのブラとスキャンティがどんなものかに気づいたシンイチは流石に躊躇した。
「どうしたの?気に入らないの?」
「え?いえ・・・」
シンイチはそんなランジェリーはあまりにも恥ずかし過ぎて身に着けるのは嫌だと言いたかったのだが、サトミの期待に満ち溢れたその瞳に見つめられては口を濁すしかできなかった。そして、困惑気味のその表情を見てサトミは誤解した。
「わかった、付け方がわからないのね?じゃあ、私が着せてあげる」
言うが早いか、シンイチににじり寄ったサトミはまずは完全オープンバストのブラを手に取った。
「えーと、ここが肩紐になるから・・・はい、こっちから腕を通して・・・次はこっちね」
付けていたブラを外したシンイチが言われたとおりにすると、サトミは背後のスナップホックを留めてあげた。肩紐の部分もアンダーバストの部分も伸縮性のあるレースのギャザーだったので、うまくフィットした。
「それから、こっちのスキャンティは・・・こっちが前でこっちが後ろになるわ。じゃあ、パンティも脱いで」
「は・・・はい・・・」
シンイチはゆっくりとパンティを膝まで下ろすと、片足ずつ抜いて脱いだ。その時には既にサトミが背後からスキャンティのクロッチ部を広げて待機していた。
「はい、足を入れて」
シンイチが言われたとおりにすると、サトミはそのままスキャンティを上に引っ張り上げてあげた。
しかし、問題は布地が殆ど無い事である。ブラの場合はシンイチの胸の部分が乳首もろともそのまま露出するだけだ。普通に水泳の授業も受けているし、上半身裸になったって何も恥ずかしくない。だが、陰部のほうはどうか?陰嚢については微かに残されていた布地で隠す事ができた。だが、フル勃起したペニスはどうやっても隠す事はできない。
「サ、サトミさん・・・や、やっぱり、これ・・・恥ずかしいよ・・・」
「どうして?」
「だ、だって・・・その・・・」
「だって、何?」
サトミはシンイチが何を言わんとしているかはとっくにわかっていた。でも、またイタズラっ気を出して、シンイチ自身にその恥ずかしい告白をさせようとしていた。
「そ、その・・・見えちゃうよ・・・」
「何が?」
「・・・おちんちん・・・」
「あら、まあ・・・こんなにエッチなスキャンティを付けて恥ずかしい筈なのに、シンちゃんのオチンチンはぴんぴんになったままなのね・・・素敵だわ」
「そ、そんな・・・恥ずかしい事言わないでよ・・・」
背後からシンイチの下腹部を覗き込んで妄想通りの情景を網膜に焼き付けたサトミは、思わず涎を垂らしそうになりながらも恥ずかしい言葉責めをする。そして、予想通りの反応をして恥ずかしがるシンイチ。
「じゃあ、ちょっと姿見の前に立ってみて」
サトミはシンイチの手を引っ張って姿見鏡の前に連れてきた。
「ほら、鏡の中の自分をよく見て御覧なさい。一見、美少女にみえるけど、お股にぴょこんと突き出た肉棒・・・とってもいやらしい姿よ」
「や、やだっ、恥ずかしいよぅ・・・」
鏡に映る自分の何とも破廉恥で変態な姿を見てしまったシンイチは激しい羞恥を感じてそこから逃れようとしたが、サトミに捕まえられている為に動く事はできなかった。できる事は、目を瞑って項垂れるだけだった。
「でもね、これこそがシンちゃんの魅力なのよ。一見、美少女に見えるけど、実は女装美少年、しかも女装で性的に興奮してオチンチンをぴんぴんにしちゃう変態ちゃん。この妖しい姿がシンちゃんの一番の魅力。きっとアスリンも喜んでくれるわ」
恥ずかしめられて、変態なんて蔑みの言葉を言われて、それでもシンイチのペニスはフル勃起のままだった。そして、その姿こそが自分の魅力で、それがアスリンの心を虜にするのだと言われて、シンイチは目を開けて背後のサトミに顔を向けた。
「ほ・・・本当・・・ですか?」
「なんなら、この姿をアスリンに見せて確かめてみる?」
「え・・・えっと・・・で、でも、いきなりは・・・」
「いきなりオチンチン全部見せちゃうのは恥ずかしい?」
アスリンにいきなりこの姿を見せるのは恥ずかしいから、上に何かを羽織って徐々に脱いで・・・と考えていたシンイチだが、サトミはそれを違う言い方にしてしまった。
「ち、違・・・」
「じゃあ、こうしましょう。まずはここをこうして・・・」
サトミがいきなり何をしたかと言うと、シンイチのちょうどお臍の下あたりを通っているスキャンティのレースのギャザーの枠を少し下に下げ、シンイチのペニスをその内側に収めるようにしたのだ。まだ、シンイチのペニスのその殆どが包皮で覆われている亀頭部の裏側部分のみがレースのギャザーで隠されている状態になる。スキャンティがタイプとしてはハイレグであった事が幸いした。
「これでよし、と。じゃあ、行きましょうか、ユイコちゃん」
「ふぇ?」
「また今からあなたは女のコよ。そして、ユイコちゃんのお股から伸びている肉棒は、とっても大きなクリトリスよ。男のコのオチンチンをいきなり見せたらアスリンもかなり驚くけど、女のコのクリトリスだったらそれ程は驚かない筈よ。しかも、ユイコちゃんのクリトリスがとっても大きい事は、もう既にアスリンも分かってる事だし」
また支離滅裂な事を言い出してサトミはシンイチいやユイコを困惑させる。確かに先ほどまではパンティの前を激しく突き上げている姿を見せていて、アスリンはそれにあーたらこーたら言う事は無かった。ちゃんとアスリンの意識の中ではシンイチのペニスはユイコの大きなクリトリスに変換されて認識されているのかもしれない。
「さあ、行きましょう、ユイコちゃん。あなたのその妖しい姿でアスリンを魅了しちゃいなさい」
「・・・は、はい」
こうして、ユイコもアスリンの前でセクシーなランジェリー姿をお披露目する事になった。
「アスリン、お待たせ」
既に約束の5分はとっくに過ぎて、結局10分が経っていた。そしてアスリンはと言うと、リビングのソファに座ってTVを見ていた。
「おっそーい!待ちくたびれちゃったわよ。主賓を待たすなんて有り得ないと思うんだけど?」
と、口調と言葉は怒っているようだが、振り向いたその顔は笑顔だった。サトミがユイコにセクシーなランジェリーを着せる事ができたのだろうと、先にサトミが自分に掛けてきた声で気づいていたからだ。
「まあまあ、倍の時間が掛かっちゃったけど、これを見れば分かって貰えるわ。それでは、チョーセクシーランジェリーを着たユイコちゃんです、どーぞーっ!」
サトミはゲストを迎える司会者のような言い回しと仕草で横に移動し、自分の背後にいたユイコを紹介した。
「・・・ど・・・どう・・・かしら?」
ユイコは約2時間前に二人の前にランジェリー姿を見せた時と同じように可愛いポーズを取ってみた。しかし、今自分が着ている破廉恥過ぎるランジェリーでは、自分のペニスいや大きなクリトリスの殆どを見せてしまうという事で羞恥と緊張と不安が複雑に交差・融合した面持ちで、声も途切れ途切れの微かなものだった。おまけに胸も早鐘のような動悸で脈打ち、その鼓動が自分の耳にも大きく聞こえていた。
「わ・・・わぁお・・・・・・・・・凄いじゃない、そのランジェリー・・・・・・・・・これじゃ、サトミのオープンバストのテディも勝てないわね・・・・・・・・・」
アスリンも予想していたとはいえ、期待通りの姿でユイコが現れただけでなく、可愛いポーズを取ってしまった事で度肝を抜かれたようだった。
「どうかしら、アスリン」
「え、えと・・・に、似合ってるわよ、ユイコ」
サトミの声に促されてアスリンはスマイルとともに用意していた言葉をユイコに掛けた。
「あ、ありがとう・・・ございます」
どうやらアスリンの反応は好感触らしい事がわかってほっとしたユイコは、さっきまでのシンデレラ口調に戻った。
「やっぱりユイコちゃんの魅力は何と言っても大きなクリトリスだもんね。その魅力がとっても引き立つだろうと思って買ってあげておいて正解だったわね」
先ほど自室で話していたように、サトミはユイコの魅力を積極的にアスリンにアピール。
「ええ、そのとおりよ。それだけじゃなくて、その大きなクリトリスの一部をスキャンティのレースでちょっとだけ隠すという着こなしもまた凄く可愛いと思う。」
「あ・・・その・・・どうも・・・」
褒めてくれてはいるのだが、何となくそれは恥ずかしく感じられてユイコは頬をほんのり紅く染めた。
「いつまでも立ったままでいないで、こっちに着て座りなさいよ」
「は、はい・・・」
ユイコはアスリンに誘われるがままに彼女の隣に腰を下ろした。
「いや・・・しかし・・・」
「な、何ですか?」
「パーティを始める間にさ、サトミが言ってたわよね。背が高い人もいれば低い人もいる、胸が大きい人もいれば小さい人もいるって」
「え、ええ」
確かにサトミはそんな事を言ってた。黒目/青目とか胸が大きい/小さいでサトミは自分とアスリンを交互に見たりしたので、その時にアスリンがいちいち自分を見るなとクレームをつけていた。
「確かにそのとおりなんだけどさ・・・クリトリスがとっても大きい女のコもいるんだね」
「やぁん、ホントは恥ずかしいんです。あまり見ないで下さい」
「いや、見ないでって言われても、どうしても見たくなっちゃうわよ」
やはり性に興味を、男性器に興味を持つ年頃だからだろうか、実際にアスリンの目は興味津々で妖しい輝きを放っていたが、その視線はユイコのクリトリスに釘付けだった為、ユイコにはわからなかった。
「不思議ね、何故だか理由はわからないけど、引き付けられちゃう。やっぱりユイコの一番の魅力はそこなのよ」
すぐ隣から見られているというのに、恥ずかしいと感じているのに、ユイコ(シンイチ)のクリトリス(ペニス)は一向に萎える気配を見せず、天を向いて屹立を続けていた。
「ねえ、もしかしたら気を悪くするかもしれないけど、一つ訊いていい?」
「な、何でしょう?」
「どうしてそんなにクリトリスが大きくなったの?もしかして生れ付き?」
「え!?え、えっと、そ、それは・・・」
シンイチ(男のコ)としてなら生れ付きだが、ユイコ(女のコ)としては・・・・・・・・・そして、ユイコはどう答えるべきか、それを初めてサトミに女装をさせられたあの夜の事を思い出して答えを見つけた。
「え、えっとね・・・・・・・・・オ、オナニーで触って刺激し過ぎちゃったから・・・・・・・・・なんて、冗談―――」
「あっ、そうなんだ。へ~~・・・ふぅ~ん・・・」
サトミと打ち合わせたとおりの芝居を続けていたアスリンであるが、ユイコ(シンイチ)がどんな反応するかは、恥ずかしがるとかのある程度の予想はできても、詳細な部分まではわからなかった。今の「どうしてクリトリスが大きくなったのか?」という質問も予定どおりではあった。しかし、今のユイコの恥ずかしい返事は完全に予想外だった。
“こいつ、よくもまあそんな破廉恥な返事を・・・完璧に変態じゃないのよ!”
勿論、ユイコが最後に言いかけた冗談という単語はアスリンの耳には届く前にオレンジ色の光の障壁で弾き返されていた。
一方のユイコ(シンイチ)も、冗談とは言えそんな破廉恥な事を言ってしまって内心焦っていた。ただ、アスリンの反応を見る限りは自分に悪いイメージは与えなかったようだし(しかし、冗談という重要な単語がアスリンの耳に届いていなかった事には気づいていなかった)、先にセクシーなランジェリーを着てきたのはアスリンだし、自分にセクシーランジェリーを着せたのはサトミだし、今夜のランジェリーパーティーそのものが自分(シンイチ)としては変態的行為だと思うけども、全員冗談でやってるんだから問題無いと思い込んだ。
勿論、そこにイツコがいたら、それは己の心を誤魔化しているにすぎないと指摘していただろう。
と、そこへサトミが何かを手にやってきた。
「さーて、ついさっき言ったように、これからは大人の時間よン」
そう言ってサトミがアスリンに手渡したのは、リボンが巻かれたDVD。しかし、その黒いトールケースはラベルもジャケット写真も何も無かった。
「ナニコレ?」
「決まってるじゃない、アスリンへのお誕生日プレゼントよン」
「あっ、そうだった!で、でも、私、何も用意してない・・・」
「仕方ないわよ、ユイコちゃんは今夜初めてアスリンが誕生日だって知ったんだし」
「そうよ、気にしないでいいわよ、ユイコ。それはそれとして、また後日でも構わないし。とにかく、ありがとうサトミ」
「どういたしまして」
「で、パッケージが真っ黒のままで中身が何なのか全然わからないんだけど」
「じゃあ、開けてみて」
アスリンがリボンをほどいて中からDVDを取り出したが、やはりそれもラベルは張ってなくて中身が何なのか全く分からなかった。
「・・・何も書いてないけど?」
「じゃあ、実際に見てみましょう。ユイコちゃん、もうちょっとそっち詰めて」
「あ、はい」
三人掛けのソファに真ん中ユイコ、その左右にアスリンとサトミが座って何だかわからない怪しいDVDの鑑賞会が始まった。
「碇屋ギンジくんだね?ぼくはカルヲ。蛹カルヲっていうんだ。よろしくね」
そのDVDに納められていたのはとあるアニメだった。それも、既存のアニメについて同人サークルが作成したパクリモノもしくはパチもんみたいなモノであった。
ストーリーは主人公のモノローグで進んでいくようで、ところどころ何かのイメージカットが挿入されたりしていた。
ただ、そのストーリーは特にドラマチックな起伏も無く、何かしらの面白みも欠けており、少年二人が何か話しているというだけの進行で、ユイコはすぐに退屈してきて、思わずアクビが出てしまった。
「ユイコちゃん、アクビしてる場合じゃないわよ。これからだんだん面白くなるんだから」
「はぁ・・・」
場面はどこかの河原となり、少年二人が水遊びをしていた。ようやく何かの別展開があるようだったが。
「わっ!ウソッ!?これ、見せちゃっていいの?」
アスリンが何に驚いたかと言うと、少年二人は水遊びしているうちに何だかんだで全裸になってしまったのだ。しかも、下半身には何のモザイクも無し。要するにペニスと言うよりはオチンチンと言った方がいいかもしれないそれがしっかりと描かれていたのだ。
「あぁ、それなら問題無いわよン。実写ドラマでも男のコのオチンチンは映っていてもお咎め無しだしィ」
そして場面は二人の少年がお風呂で語り合っているシーンになった。
「あっ!ちょ、ちょっと、今のところもう一回!」
アスリンが慌ててリモコンを取ってリバースさせた。何故かと言うと・・・。
「・・・よっ、と」
アスリンは気になった絵が移った瞬間にポーズをかけた。何故かと言うと・・・。
「わはっ、やっぱりアップでオチンチン映ってるぅ~」
片方の少年が湯船から出ようと立ち上がったその時、画面ではその少年のオチンチンがアップで映っていたのだ。
「ア、アスリン・・・それがそんなに・・・」
「何よ~、ユイコったらテレちゃってー。女のコなら別に普通でしょうが」
とアスリンは言うが、言われた当のユイコは普通の女のコではないのだ。
「アスリン、嬉しいのはわかるけど、ちょっとはしゃぎ過ぎよ」
「何よ~、このDVDをプレゼントしてくれたのはサトミの方じゃないのよ」
「そうよ。だから、この程度ではしゃぎなさんなと言ってるのよ」
どうやらサトミは既にこのアニメをエンディングまで鑑賞しているらしかった。
そして、TVの画面の中で展開されるアニメはやがて、アスリンの期待通りかつユイコの予想外の展開を見せた。
“カルヲくんにこのままだかれよう・・・”
「なっ(・☆)!?」
ユイコが驚くのも無理はない。何とギンジとカルヲの二人の少年は同性であるにも関わらず熱い口づけを交わし始めたのだ。
その一方でアスリンとサトミの反応はと言うと・・・。
「キタ―――(゚∀゚)―――!!!」
だった。
画面の中では熱いキスに続いてカルヲ少年がギンジ少年のペニスを口唇愛撫するシーンが無修正で映し出された。
「スッ、スゴイッ!これ、18禁じゃん!しかも無修正じゃん!」
アスリンは大興奮。
「サトミ、どうやってこんなの手に入れたの?」
「ムフフ、そこは蛇の道は何とかよ」
と言っても帰国子女のアスリンには何の事かは全く不明だが、そんなことがわからなくても何の問題も無かった。腐女子垂涎の美少年の同性愛シーンが見れれば何の不平不満も無い。
そうしている間に画面の中ではギンジ少年のペニスは最初は皮カムリだったのがカルヲ少年の愛撫によって亀頭も完全露出したフル勃起状態になってしまった。
それをカルヲ少年は大人のオチンチン、つまり立派なチンポだと口にして言ったものだから、さらにアスリンの興奮のボルテージは昂ぶった。
「きゃはっ、チンポだって!聞いた?ユイコ!」
しかし、ユイコは顔を赤らめてさっきから一言も発しない。
「ユイコちゃんのクリトリスはこれぐらいおっきいけど、まだ先っぽはムケてなかったわよね~」
サトミがからかうように言うと、ユイコはさらに顔を赤らめて、自分の下腹部を両手で覆ってしまった。
続いて画面の中では今度はギンジ少年がカルヲ少年のペニスを口唇愛撫し始めた。と言うよりは、カルヲ少年が腰を振ってギンジ少年の口を犯しているようだった。
「スゴイ・・・同人誌の世界そのままじゃん」
アスリンは目を爛々と煌めかせて画面を食い入るように見つめている。
「それはそうよ、何たって同人アニメだしィ」
一度見ているからかそれとも大人ゆえの経験年数の差か、サトミはアスリンほど我を忘れて興奮するまでにはなっていないが、自分の秘所はしっかり愛液で濡れそぼっていた。
やがて、画面の中ではカルヲ少年がギンジ少年の口中に射精をしてしまった。そしてギンジ少年はそれをカルピスと称して飲み込んでしまった。
「スゴイ・・・飲んじゃってる~」
アスリンの言葉に反応したのか、サトミの喉がごくりと音を立てて動いた。どうやら生唾がしとどに出ていたのを飲み込んだようだ。だが、すぐにそこから何かひらめいたアスリンはユイコに冗談らしく聞こえるように言ってみた。
「何、ユイコったら生唾飲み込んじゃって。もしかして自分も飲んでみたいとか思ったんじゃない?」
「ちっ違います!」
アスリンのその言葉のナイフにユイコは慌てて否定した。
さらに画面の中では攻守交代のように今度はギンジ少年のペニスをカルヲ少年が手で愛撫し始めた。
興奮して笑顔できゃあきゃあ騒ぐアスリンとニヨニヨが止まらないサトミの間に挟まれた形のユイコは動くに動けなくて何だか針の筵状態の気がした。今、二人が面白がって見ているアニメは自分的には全く面白くない。二人はどうやら性的に興奮しているかもしれないようだが、自分としては気分が悪くなる内容だった。実際に、「精液を飲んでみたいのか?」と自分に言ってきたのは本人は冗談のつもりでも自分としては冗談にできないものだった。
なおも画面の中では美少年同志の性愛シーンが続き、ギンジ少年がカルヲ少年の顔目掛けて射精をしてしまった。そしてカルヲ少年は顔射される精液を嫌がる素振りも見せずに受け止めていく。
「まあっ、スゴイ射精ね。私の知ってる女装趣味の男のコもあんなに激しく射精してくれたっけ」
サトミは以前のシンイチとの秘め事をあっけらかんとアスリンがいるにも拘らず本人の前で暴露した。するとアスリンが何かムカついたようで、また冗談を装って言葉のナイフをユイコに投げつける。
「もしかして、ユイコもセーエキを顔にかけられたいとか思ったんじゃない?」
「ちっ、違いますってば!」
ユイコは激しく顔を振って否定した。
とうとう画面の中ではカルヲ少年がギンジ少年のアヌスに己のペニスを突き入れてアナルセックスが始まった。
「わはっ、スゴイ~~。これが男のコ同士のセックスなのね」
「そのとおりよ。滅多に見れるものじゃないんだから、しっかり目に焼き付けておいてね」
などとサトミは言うが、DVDが記録しているアニメだから何度でも再生は可能で見たい時はいつでも見れる。
そんなアスリンとサトミの二人ともだらしない笑顔を晒して何か荒い息を吐きながら爛々とした目で画面を食い入るように見つめているが、うつむいているユイコにはわからなかった。
世の中には男性同性愛を性の嗜好とする腐女子というのが実在するというのはユイコもNETのサイトや掲示板などで知識としては持っていたが、自分の左右にいる女性がその腐女子だったようだと知ってある意味困惑していた。
男性にも女性同性愛を性の嗜好とする者はいるが、それは男性の全対数に比べたらわずかである。それに比べて女性の全体数に対する腐女子の割合は異常なほど高い。
ユイコは一応女のコの姿をしているがその中の人はれっきとした男のコであり、男性同性愛を性の嗜好とする事象が理解できなかった。
腐女子の存在を否定するつもりはさらさらないが、その嗜好を押し付けられるのは全く持って許容できなかった。
さっきもアスリンから精液を飲んだり顔にかけられたりする事を望んでいるのではないかと言われてしまったユイコはもうブルーな気分に一直線だった。
これ以上ここにいたらもっと気分が悪くなるかもしれないと思って、ユイコはそこから逃げる為に何か理由を考えた。
「あの、私、そろそろお風呂の支度をしなくちゃ・・・」
ユイコはそう言って立ち上がろうとしたが、左右からアスリンとサトミに手を掴まれてしまった。
「ちょっと、何処に行くのよ?」
「これからクライマックスなんだから、ユイコちゃんも最後まで見ましょう」
「で、でも・・・」
両手を掴まれてしまっては両耳を塞ぐ事もできない。ユイコはそのアニメが終わるまでそこで座り続ける事になってしまった。
ついに画面の中ではクライマックスを迎え、カルヲ少年はギンジ少年のアヌスの中に射精をしてしまった。同時にギンジ少年も・・・。
二人の美少年のいやらしいイキ声を聴きながらアスリンとサトミは己の秘所が粘液で潤むのを感じていた。
で、場面はいきなり変わってどうやらそれまでの出来事はギンジ少年の妄想だったらしい事がわかり、そしてつなぎを着た変な青年が出てきて・・・。
「何これ?最後は何かどっかで聞いたような展開じゃん。もしかして、これってパクリ?」
「さあ?オマージュなんじゃないかしら?」
(最後のオチについてはプロローグを再度読めばわかる)
「それにしてもスゴかったわ~。ありがとう、サトミ」
「気に入ってくれたようで私も嬉しいわ」
アニメが終わってDVDが自動停止すると、アスリンは興奮した口調でサトミにお礼を述べて、サトミもそんなアスリンに笑顔で応える。
「ユイコもお礼言いなさいよ」
「ユイコちゃんも堪能したでしょ?」
「そ、そんな事・・・」
目を閉じてうつむいていたユイコは反論しようとして目を開けた。しかし、その途端自分の下腹部の現状を目の当たりにすることになった。
「あら?・・・ユイコちゃんのクリトリス、萎んじゃってるわね」
「えっ?何で?さっきまでピンピンしてたじゃない?」
スキャンティからはみ出して亀頭部分をスキャンティのリボンで隠し(支え)ていた筈のユイコのクリトリス(シンイチのペニス)はしっかり萎れて小さくなり、クロッチ部の上にちんまりと顔をのぞかせているだけだった。
「ちょっ、やだ、見ないでっ!」
慌てて両手で隠そうとするもその両手はアスリンとサトミが掴んで保持している。
「ユイコちゃんったら、すっかりクリトリスを萎え萎えにしちゃって・・・ま、それもカワイイけど」
「でも、何で?あんなエッチなヤヲイアニメを見たのに興奮してないの?」
「そ、そんな事・・・」
「私なんかアソコヌレヌレになっちゃったけどね」
「サトミ、そこまで自分で言うのはちょっといただけないんじゃない?」
「い、いいから、手を離して下さい!」
ユイコに強い口調で言われて、ようやくアスリンとサトミは手を離した。すぐさまユイコは両手で前を隠す。
「うーん・・・ヤヲイに興奮しない女はいないんだけど・・・」
「それを言うなら、ヤヲイが嫌いな女子はいません!でしょ?」
何やら大学のオタク系さーくるの日常をゆるーく綴った漫画の登場人物(勿論腐女子)のセリフについてあーたらこーたらちょっとした論争になったが。
「まあ、それはこっちに置いといて・・・さっきまでピンピンだったユイコちゃん自慢の大きなクリトリスが、ヤヲイアニメを見てナエナエになっちゃったという事は・・・」
「ユイコは女のコとしてはまだまだお子ちゃまねぇ・・・」
「もうっ、知らないっ!」
ユイコは前を隠したまま立ち上がるとその姿勢のまま自室へ駈け込んで行ってしまった。
「・・・ちょっとやりすぎた?」
「いーんじゃないのぉ?わっかいんだからぁ!」
アスリンは心にも無い言葉で心配し、サトミはガハハと笑い飛ばした。
「ま、これでエースはこっちのものね」
アスリンは自分がこのソファに座った時から作動させていた機器のリモコンの停止ボタンを押した。
「じゃあ、後のフォローよろしく~」
「へいへい」
アスリンはテレビの上に巧妙に隠していた盗撮カメラを回収すると、それを持って自室に引き上げた。一方、アスリンに軽くお願いされたサトミはランジェリーパーティの終了を告げにユイコの自室に向かった。
「ユイコちゃん?入っていいかしら?」
ノックをして声をかけたが、返事が無い。
「いい?入るわよ?」
それでも返事が無いのでサトミは勝手に入った。すると、ユイコはベッドの中に入ってしまっていた。
「あらら・・・まあ、電気もついてるしまだ起きているだろうから言っておくわ。もう、ランジェリーパーティはお開きになったから。じゃあね」
18禁ヤヲイのアニメを見せられた事にムカついてのフテ寝だと気づいたサトミは、それだけ言って電気を消して部屋を出た。
そして、結局夕食&パーティの後片付けとその晩のお風呂の準備はサトミとアスリンが分担して行ったのだが、本来の担当者に比べて手間と労力が掛かったのは言うまでもない。
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