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第9話 そのヨン
そんなこんなで生徒会役員選挙当日。
「一つだけ言っておくわ。私達とシンイチくんの関係は校内では秘密であり、只の教師と生徒あるいは生徒同士であるだけよ。余計な事を考えてシンイチくんに何か言い含めるなんてもっての他だからね」
普通の選挙での投票予想や総選挙とは名ばかりの金次第の人気投票の中間発表と違い、学校の生徒会の役員選挙では投票前の情勢のヒント等発表される筈もなく、判断材料は校内での噂・風因気のみ。そこから判断して自分はシンイチに対し劣勢にあると気付いていたアスリンがシンイチに何か―――例えば選挙演説でわざと失敗しろとか―――卑怯にも無理難題を押し付ける危惧が有る事を前もって予想して、サトミはアスリンに釘を刺した。
こうなれば、シンイチとアスリン、つまり男子対女子の対決という事で、それぞれ女子と男子という異性の人気を集める事が勝利に近づく最善手であった。
しかし、アスリンはブルマー叛逆同盟を動かした事で女子は勿論の事、男子の方の票もほとんど失ってしまっている事に気付いていなかった。連中の行動は当然のように女子からも男子の方に情報が流れ、自分達のワガママが通らなかった事にいつまでも執着してネチネチとシンイチをディスろうとするその態度を嫌悪し、浮遊票がシンイチ票に変化してしまったのだ。もっとも、ケンタやコウジのように元から「ブルマー存続」を願ってやまない者としてはシンイチへのディスりよりも連中の態度からアスリンへの反感・不信感―――ブルマー廃止問題においてはアスリンも廃止反対派だったので、連中と結託しているという事はブルマー廃止派に寝返った・裏切ったのだろうと思われても仕方なかった―――が大きくなってしまったのも無理は無かった。
さらに、生徒会運営としては全く実績の無いアスリンに対してシゲキ同様に手伝いをしていたシンイチの方がより信頼感が有るという考えを持った男子もかなり多く、美少女萌え~でアスリンをイチ押しにしていた者はさほど多くはなかった。
結局、選挙公約としてはトオルの願いを反映したものを校内新聞で発表しただけで、今日まで選挙演説の内容を練り込んでいたシンイチに対し、アスリンは選挙妨害同然の策を弄したせいで自滅した形になった。
選挙の結果、シンイチは見事に生徒会長に当選し、アスリンは圧倒的な「副会長なら・・・」という票で副会長に当選できた。勿論、実績を買われて書記にヒロキと会計にモモコが残留する形で当選した。
そして、レイナが高等部に進学するので生徒会の手伝いをやめる気でいたシゲキだが、もう一年続ける事にした。それは何故かと言うと、アスリンから直々に指名があったからだった。立場上、アスリンが上役のシンイチをパシリにする事は不可能なため―――もしそんな事をさせようとすると、サトミが危惧したように不自然さが目立ってしまい、痛くも無いけども真っ黒な腹を探られる事につながる―――誰かが必要となって思い浮かんだのが経験者のシゲキという事だった。レイナ目当てで生徒会室に出入り―――しかしレイナは無反応だった―――していたシゲキは、今度は逆にアスリンから依頼されたという事で舞い上がってしまい、一言目で下僕?になる事を誓ってしまった・・・。
「おめでとう」「おめでとさん」「おめでとう」「めでたいな」「おめでとう」
「ありがとう・・・みんな、有難う」
ヒカリやコウジやマナやケンタやマユミらの祝福をシンイチは心からの笑顔で受け止めていた。
「これで僕達も心置きなく高等部へ進む事ができる。君達も経験者として、あの二人をしっかりサポートしてくれたまえ」
「わかりました、凪羅先輩」
トオルも笑顔でヒロキとモモコに後事を託したが。
「どうしました、綾見センパイ?何か気に掛かる事でも有るんですか?」
「いえ・・・大した事ではないから・・・」
レイナの心の中になんとなく影を落としているのは・・・自分とシンイチとが恋人関係にあるなんてとんでもないデマの事だった。レイナとしては、確かにシンイチに対してある想い―――勿論、シンイチを大事に想っているのは間違いない―――を持っているが、それは決して恋愛感情とは全然異なるものだった。
「ま、アスリンを生徒会長にはできなかったけど、アイツらの他に男子二人もいるじゃん」
「その二人も加えて弱みを握れば、生徒会を裏から操るってのもできるんじゃね?」
「それで実権を握ったら、後はアスリンの奴を何とか始末しちゃえばいいんだしぃ~」
アスリンが危惧したように、ブルマー叛逆同盟もまだブルマー廃止を決して諦めてはおらず、あわよくばなんだかんだで男子四人をほもーんにして弱みを握ってしまえば、後はアスリンを追放して自分達の思い通りにブルマーを廃止できるものと思い込んでいたらしい。
勿論、アスリンも結局は身から出た錆だが、ブルマー叛逆同盟の行動で選挙に失敗したからにはその三人を切り捨てる積もりでもいた。
“絶対に・・・許さない!”
アスリンは副会長に当選できたものの、生徒会長には成れなかった事でまたしてもシンイチに対し妬み嫉みどころではない、理不尽な怒り恨みの感情を沸き上がらせ、トイレの個室の中で憎悪の表情をむき出しにしていた。
「予想していた結果どおりになったわねぇ・・・」
「これでまたアスリンったら、変な感情を爆発させて暴走したりしなければいいんだけどねぇ・・・」
サトミもイツコも大人の分別というものを持っていたので、学校内外ではいろいろとシンイチの扱いをきちんと切り替えるべきだという意識は強かったのだが、まだアスリンは未熟な中学生なのに三人の中で一番の権力(後ろ盾)を持っているというのが事態をメンドクサクさせていた。
“シンイチくん、来年は生徒会長になるんだ・・・でも、副会長はアスリンだし・・・あの要注意三人組もアスリンに付いているし・・・何とか上手にいけばいいんだけど・・・”
来季の生徒会役員選挙の結果が発表されて―――勿論、開票と票数のまとめは全学年の全クラスから男女一人ずつ任命された24人の選挙委員会によって行われた。勿論、大胆にも不正を企むような愚か者はいなかったが、一応学校側からも二人の教師がそれを監視に来ていた―――それを開票のその場でさっそく知ったサヤは、シンイチの生徒会長当選を我が事のように―――勿論心の中で、表情にはおくびにも出さず―――喜んだが、その一方で副会長にアスリンが選出された事に不安も感じていた。ただでさえプライドが高いアスリンがテストの成績でも生徒会役員の立場としても常にNo.2でいる事に、いつか逆ギレして問題を起こさないかが心配だった。
“どこかの学校だと、生徒会にも顧問教諭が付いているそうだけど、この学校ではそんなシステムは無いし・・・”
そんなシステムが有れば自分がその顧問に就任してアスリンの暴走を食い止められるのではないか、そんな事も考えたサヤ自身も少々暴走気味になっている事に気付いていなかったのだが・・・。
「これで僕達も心置きなく高等部へ進む事ができる」
とトオルは言っていたが、レイナも勿論一緒に高等部に進む事になるだろうとは考えていたが、それにしても気に掛かる事があった。
“・・・確かに私はシンイチを愛しく想っている・・・でも、今はできるだけ遠くからそっと見守っていたいだけ・・・いえ、それしかできない状態・・・でも、一体誰が私とシンイチの恋愛なんてデマを・・・”
選挙の前で様々な噂が出るのは世の中の常である事は重々承知しているが、中学生の生徒会役員選挙で一人の候補者にのみ噂―――それもシンイチに対するネガティブ・キャンペーンばかり―――が出た事にレイナは疑問を持っていた。そしてその噂の一つが自分の身にも降り掛かって来た事がどうしても許せなくて、レイナは選挙終了後にその噂の出どころを自分のネットワークで調べる事にした。勿論、選挙前にヘタに動いた場合、生徒達に変な影響を与える可能性があると熟慮しての事だった。
「反対する理由は何も無い。存分にやり給え」
等と、夕月校長(代理)も言ってくれた。
そこでまたレイナは熟慮し、自分が直接聞いて回るよりは、第三者(例えばクラスメートの誰かとか)に情報を集めて貰った方がスムーズに進むのではないかと考え、三人の女子生徒に依頼する事にした。三年生の響生コダマ(女子バレーボールのキャプテン・・・勿論既に引退して次代にキャプテンは禅譲済)と、二年生の来市ヒカリ(シンイチのクラスの学級委員長)と、一年生の納内ノゾミ(新聞部所属)である。
「綾見さん、少しお話したい事があるのだけど、いいかしら?」
サヤに呼び止められたのは、調査に付いて三人の報告を聞こうと屋上へ向かっていた時だった。
「何でしょう?」
「貴女が生徒会長であるからこその相談なんだけど・・・」
誰も来ない会議室にレイナを連れてきたサヤは思い切って切り出した。生徒会長にシンイチが選ばれたが、副会長がアスリンではもしかしたら生徒会運営がスムーズに運ばない可能性がある。そこで・・・
「彼女が暴走する可能性もあるから、そこは歯止めをかける人間が必要と思うのね。でも、まさか高等部に進んだあなた達を呼ぶ訳にもいかないから・・・先生が一人顧問に付くというのはどうかしら?」
「・・・それは、学校側が生徒会を監視するという事ですか?そんな事、信頼関係を損ねると思います」
「いえ、監視と言う程じゃなくて、基本は勿論オブザーバーよ。何か相談事が有ったら、それについてアドヴァイスするスタンスで、よほどの事が無い限り口を挟まないという事で・・・」
「・・・でも、それを何故今になって?今まで生徒会が何かマズイ運営をした事でも有ったのですか?それで息吹先生が代表で交渉しに来た、と?それに、私ではなく次の生徒会長の猪狩くんに話をするのが筋では?」
レイナの矢継ぎ早の疑問・質問にサヤも言葉を失った。レイナが成績優秀な生徒ではある事は知っていたが、今までほとんど話した事もなく、いざ今面と向かって会話した結果、中学生とは思えないその聡明さに圧倒されてしまったのだ。
レイナにそう言われて、サヤは自分でやっと迂闊な事をしていたと気付いた。
「・・・もしかして、学校側の考えじゃなくて、息吹先生の独断ですか?それに、この提案も次期生徒会長が猪狩くんだから?」
「あ・・・ご、ゴメンナサイ、これは確かに私の個人的な意見だったの・・・もういいから、忘れてちょうだい」
サヤに何かマズイ事を―――シンイチとアスリンの関係など―――をツッコまれる可能性があると悟ってサヤはレイナを残してさっさと退場した。
“・・・井吹先生・・・何を慌てて・・・何を知ってて・・・何を思って・・・・・・・・・まさか・・・”
そんなサヤへの少々の疑問も心に留めつつ、レイナは屋上にやってきて三人の女子生徒からの調査報告を聞く事にした。そしてその調査の結果、悪質なデマの出どころは例のブルマー叛逆同盟である事が判明した。
コダマ「選挙のポスターの前で何人か屯っていた時、あの三人がやってきてシンイチくんと凪羅くんの変な話をこれ聞えよがしにしてディスっていたのを聞いた事が有って、それからその三人の動きをみんな注視していたんです」
ノゾミ「その後、校内新聞の前で・・・その三人が今度は猪狩先輩と綾見先輩のロマンスを口にして、猪狩先輩の選挙公約にケチをつけていたそうです」
ヒカリ「ブルマー廃止がダメになった事であの三人が猪狩くんに何か恨みてゆーか反感を持っていた事はみんな知ってました。猪狩君と凪羅先輩や綾見先輩との噂も、結局は猪狩君をディスるのが目的でデマをまき散らしているつもりなんだろうってすぐにわかって、誰も相手にしていなかったんです」
根も葉もない噂・・・いや、デマか飛語の発信元はブルマー叛逆同盟の三人だった、という証言は複数あり、それは片手どころか両手両足の指を合わせても足りない人数であった。
“シンイチはあの連中に敵視されていた・・・そしてあの連中はアスリンと結託していた・・・つまり、そういう事ね・・・”
アスリンがレイナの心を完全に勘違いして自分への助力を要請してきた時、レイナはアスリンがシンイチを嫌って―――学校内では別に仲は悪くないように・・・どちらかと言うとシンイチがアスリンのわがままを聞き入れてあげる形で仲が良い態を装っている訳だが―――いる事はレイナには完全にお見通しだった。
“・・・井吹先生が何やら心配をしたのも余計なお世話と片付けられるものではないのかも・・・”
「君がシンイチくんの事を心配するのも一方では喜ばしい事であるが、また一方では憂うべき事でもあるな・・・」
こういう時にレイナが相談する相手は気心の知れたトオルではなく、尊敬している夕月だった。その夕月は、歓びと悲しみが入り混じった複雑な表情であった。
前者の理由はさておき、後者の理由はシンイチとレイナの関係についてまた勘違いする者が出てきてあらぬ噂をまき散らす可能性もあるからだった。
「まあ、確かに猪狩財閥と萩生コンツェルンとの関係も考えれば、あのコとそのコの仲が実は疑わしいのもよくわかる」
「あのコとそのコ、って・・・私と貴方にとっては・・・」
レイナからして考えれば、やはりあのコであるシンイチは自分と夕月の側であり、そのコであるアスリンはその反対側に位置する事になる。だが、レイナがそれを公然にするのも憚られる理由がある訳で・・・。
「であればこそ、息吹先生の提案はなかなか良い事だと私も思うよ。生徒の自主性に任せて、とは聞こえが良いが、何の歯止めも無かったらそれは放任と言われ教育から外れる事になる。他校でのケースも無い事も無い訳だし」
どうやら夕月は、少子化で女子校から共学校へ移行し始めた某高校のそのシステム―――それが本当に有意義なのかは怪しい面もあるが―――の事は知っているらしい。
「そしてその生徒会顧問の担当となると・・・井吹先生は適任かもしれん」
お堅いあるいは頑固一徹な男性教諭はまず受け入れられないだろうし、人気の有る女性教諭というと・・・例えばサトミがまず最初に名前が挙がるのだが、お目付け役としては少々ちゃらんぽらん過ぎる面があるのも確かだし、その次はイツコになるのだが、保健室を留守にする訳にもいかない訳で、三番目の選択肢になるともうサヤしかいない事になる。
「でも、手芸部の顧問だった筈では?」
「それも週二回の活動なのだし、問題は無かろう」
そんな訳で、理事長室を退室したレイナは取りあえずサヤの意向を再確認してみる事にした。最初にサヤに話を振られた時は、生徒会への学校側の無粋な干渉につながる可能性がある事を考慮して否定的な意見を述べたが、夕月に言われた通りシンイチとアスリン及びブルマー叛逆同盟との関係を考慮するならば、肯定的に捉える事もできそうだった。
三年生になる前の最後の日曜日、贅嶺女学園のお姉さまズ(大学生のチコ以下、来季の高等部生徒会役員のサエコ・ユミ・アケミ、そして腐女子部のリエ・ミエ・ミチコの計7人)はアスリンの招待で練芙学園にやってきた。
「どうしてそんなにブルマーを嫌がるのか全然わからないんだけどさ」
「言っちゃなんだけど、男子の視線なんて気のせいだと思うし」
「確かに、ハーパンだったらハミパンを気にしないで済むというメリットは理解できるけど」
「でも、運動するんだったらデメリットの方が多いんじゃない?」
「それに、ブルマーを廃止したら、今度はハーパンが嫌だという人も出て来るんじゃ・・・」
「まあ、好き嫌いは個人個人で違うのも確かだし、どっちにするか自由に選択できるようにする、という案はどう?」
「てゆーか、ブルマーが廃止されたら、例の男子にブルマー穿かせて女装させていじめる愉しみが無くなっちゃうわよ」
ほとんど放任されてしまっているが故に自由を勘違いしてハメを外し過ぎている風潮の贅嶺女学園のお姉さまズは、必ずしも校則が「~~でなければならない」という文面になっているのが気に入らないという事では意見は一致していたらしい。
特に最後にチコが言ったブルマー廃止→ハーパン移行での最も大きなデメリット―――勿論それは一般論としてではない―――は、アスリンも同調できない懸案の筈だった。
果たして、アスリンはその辺についてブルマー叛逆同盟の手綱をどう制御するのかが見ものであるが。
「ようこそ、贅嶺女学園のみなさん」
そして贅嶺女学園の7人を出迎えたのは勿論、来季の中等部生徒会副会長であるアスリンとその協力者のブルマー叛逆同盟三人のコトコ・キヨミ・ヒデコであった。
「惣竜さん、生徒会役員に選ばれたんですってね、おめでとう」
「「「「「「おめでとう~」」」」」」
チコの音頭で六人が続いてアスリンに祝福の言葉を言ってくれた。しかし、アスリンは一瞬苦虫をかみつぶしたような表情を見せただけですぐに笑顔に戻った。
「有難う御座います。えー、本日贅嶺女学園のお姉さま方をお招きしたのは、生徒会役員としてだけでなく、私の個人的な楽しみをこれからも続けるためにもみなさんの協力が必要と考えて、愉しい催しを行ってより親睦を深めたいと考えたからです」
愉しい催しと聞いてそれが何なのか、腐女子であるそこにいる者達にはすぐにわかってしまった。
「こほん・・・以前に何かのOff会である女性があるシチュエーションに萌えると言って、腐女子である事をカミングアウトしたところ、何人かの男性から思わず笑い声が出たそうです。それに対し、その女性は、男はみんなホモのくせに、と憤慨していたそうです」
どこかのネットに転がっていた真偽の程が疑わしいネタだが、招待された7人はどうやらそのネタそのものは見た事が有るらしく、表情に少々反応があった。
「男はみんなホモ、というのは私も一応同意できるのですが、やはり何事も自分の目で確かめたいと思います・・・」
「はいっ!あのね、惣竜さん・・・面白おかしい前口上はわかったから・・・」
期待に胸をwktkさせていた7人を代表してチコがぱっと挙手して、速やかなる議事進行を求めた。
「これは失礼しました。それではさっさと始めましょう。どうぞお愉しみ下さい」
すると、アスリンはまるで時代劇で悪徳商人が悪徳代官を酒肴で持て成す時のように手で拍を打って合図した。すると、話は聞かせて貰った・・・というような勢いで?入り口のドアが開かれ、ブルマー叛逆同盟の三人に前後と中を挟まれるようにして黒いマントを身に纏い顔にはヴェネツィアンマスクをした二人の男子中学生が入ってきた。勿論、贅嶺女学園の7人のお姉さまズにはそれが誰だかは当にお見通しであった。それもその筈、7人への招待状には、その二人のアナルセックスのシーン―――背後からフル勃起したペニスを己のアナルに確りと根元まで銜え込んで、睾丸を上下連結させてしまった・・・惜しむらくはアナルレイプされている方のペニスが萎れてしまっている事だった・・・全裸の男子二人が写っていた―――の写真が同封されていたからだった。ただし、予想を裏切って、黒マントを脱がされたその下は全裸ではなく、普通に制服姿だった。
「それでは・・・お待ちかねの、変態男子中学生の生やをいショーをお愉しみくださいませ」
既にアスリン達から命令されたシナリオどおり、二人の男子中学生―――シンイチとトオル―――は動き始めた。と言っても、ソフトに相互にキスしながらムードを高めていって・・・という乙女が妄想する男女の営みのオープニングとは違って、いきなり性的刺激に走るところが乙女と違って腐女子らしい希望のシナリオのようだった。
シンイチはトオルの股間の前にしゃがみ込むと、そのズボンのファスナーを降ろし中のパンツをまさぐって穴から彼のペニスを露出させた。
「え~、中三でまだホーケー!?」
「それに、全然縮こまってるじゃん・・・」
「何だ、期待外れ・・・」
「もっとぎんぎんにおっ勃っていると思ったのに・・・」
トオルのペニスは子供のように亀頭の先端までほぼ包皮で覆われて元気無く俯いていた。しかし、腐女子達は残念がっていたが、元気が無いのは緊張のせいだったし、それにアスリンはすぐにフル勃起する事になるから問題無いと思っていた。
「はむぅ・・・」
シンイチは目を閉じると、トオルの萎れたままのペニスの先端をそっとおちょぼ口で咥えた。
「んふっ・・・」
目を閉じたままのトオルはこめかみをぴくっと震わせた。できる事なら性的刺激など感じずにこの変態行為が未遂で終了したいと考えていたのに、身体は意志とは違って正直で、ただ咥えたそれだけでまだ舌で舐めたりその他の刺激も与えていないのに、トオルのペニスはトオルは性的刺激を覚えてしまった。
それに気づいたのか、シンイチが唇を離して、舌先でほんの少してろんと舐めただけでトオルのペニスはさらなる刺激を欲しいと欲情し、どんどんとその内部の血流量を増大させていった。
「あっ、見て、大きくなっていく!」
「これが・・・勃起!」
「初めて見た!」
とにもかくにも、シンイチの手を煩わせる事無く、トオルのペニスはフル勃起してしまった。アスリンの計画ではシンイチの口の中でフル勃起させる予定―――口を離したらいつの間にかフル勃起、というマジックみたいなカンジ?―――だったのだが、シンイチに指示する間もなくトオルのペニスがフル勃起してしまったので間に合わなかった。しかし、それならそれでまたシンイチを貶めるセリフを思いつくのがアスリンのアスリンたるところか。
「フ・・・流石ね、チンポをたった一舐めでフル勃起させてしまうなんて・・・男のくせに変態ね」
しかし、そのセリフもたった今思いつきで言ったからにはシナリオからは外れている訳で、シンイチは何と答えたらいいのかわからなくて困惑の表情になっていた。
「あーもう、何やってんの!そのままチンポをしゃぶりなさいよ!」
「は、はぃ・・・」
アスリンの自分勝手なキレ気味の命令にシンイチは慌ててトオルのペニスにしゃぶりついた。
「うほっ、これが本当にやをいのフェラチオシーン・・・」
「ス、スゴイ・・・」
「あんなに・・・熱心にしゃぶってる・・・」
勿論、この腐女子達がシンイチによるトオルのペニスへのフェラチオのシーンを見るのは初めてではなかった。ただ、ビデオや生で見た事があるのは、アクマでもシンイチが女装してユイコとなっている状態であった。
そして、ドホモルンクルリンの効果によるせいか、早くもトオルは絶頂感を予感して、シンイチの頭を掴んだ。それまでシンイチが主導していたフェラチオは、今度はトオルが自ら腰を振るイラマチオに移行した。勿論、シンイチが舌を懸命にトオルのペニスに絡め舐め、唇をしっかり窄めてトオルのペニスを締め付ける事には変わりがない。
「ンッ・・・も、もう・・・出そう・・・」
トオルが声を零したが、唇を閉じているせいでシンイチは返事ができない。
「いいわよ、たっぷり出してやりなさい」
代わりにアスリンが許可する言葉で命令した。
「出っ・・・出るぅっ!」
トオルが射精したのは、シンイチの口腔内の奥深くまで、己のペニスの根元まで突き入れてからだった。
「ふ・・・っぐぅっ!」
やはりドホモルンクルリンの継続摂取―――アスリンの命令でトオルは経口錠剤を一日一錠は飲まされていた―――の影響なのか、以前よりトオルの射精量は着実に増えていて、一発の射精であっという間にシンイチの口腔内はトオルの精液で溢れかえったのだが、それをシンイチは喉をこくっ、こくっと鳴らして飲み込んでいく。だが、シンイチの飲み込む精液の量よりもトオルの射精する量の方が多いようで、トオルが射精を出し切ったところでシンイチの頬は限界まで膨らむほどになっていた。
「うほっ、お口の中がセーエキでいっぱいになって頬がパンパンに膨れてる~」
「スゴイ~」
「のっけから濃厚だわ・・・」
腐女子達のwktk感にあふれた感想を耳にしながらも、シンイチは口腔内のトオルの精液を次々と飲み込んでいった。そして、膨らんでいた頬は元に戻って、さらに逆に凹み始めた。
「えっ?頬が凹んでる?」
「わかった、バキュームしてるんだわ!」
「中に残ったセーエキまで吸い出してるのね!」
腐女子達の考察は正解だった。シンイチの唇はしっかりと閉じてトオルのペニスを締め付けたまま吸い付いていたので、口腔内の空気が無くなり真空になってその結果、頬は凹んだのだった。そして負圧が掛かればトオルのペニスの尿道内に残っていた精液も吸い出されていった。
「くうぅ~~」
情けない喘ぎ声を漏らしたトオルは、シンイチがバキュームフェラをやめて唇の締め付けをやめてくれたので、やっと己のペニスをシンイチの口から引き出す事ができた。
「ス・・・スゴイわね、このコのフェラテク・・・本職の女性にも匹敵するんじゃないの?」
「勿論!アナルマゾのほもーん奴隷にするんですから、それぐらいのテクを習得させるのは当然です」
何故かアスリンはエッヘンしてみせた。自分は何の技術指導もせずにただシンイチに自主的にトレーニングをさせていた―――まあ、NETのどこぞで拾ったフェラチオテクニックの解説イラストをプリントアウトして渡したりはしたが―――だけなので、アスリンが威張れる事は一つも無いのだが。
それはさておき。
「はい、では取りあえずお口で一本抜いて貰ったところで一息つきたいだろうけども・・・次に進んでもらうわ」
はぁ・・・はぁ・・・と少々息を荒くしているトオルとシンイチにアスリンは近づいて・・・
「ふ・・・一本ヌいて貰ってもまだチンポはギンギンね、このスケベ!今度はあんたがチンポしゃぶりたいとか思ってるんでしょ!?それに、おまえもチンポしゃぶってもらいたいと思ってんでしょ、このヘンタイ!」
侮蔑と嘲笑の入り混じった乱雑な表情のアスリンに勝手に決めつけられて、でもシナリオ通りに二人は首を縦に振るしかなかった。
「じゃあ、さっさと準備しなさい」
アスリンに命令されて、二人は服を脱ぎ始めた。
「むほっ、美少年の生ストリップよぉ~」
「はいはい、踊り子さんには手を触れないで下さい~」
BGMが無いので少々違うのだがそれはともかく、その言葉からアスリンもお決まりの常套句を返して風因気を盛り上げていく。
そして、二人は全ての服を・・・ズボンもワイシャツもTシャツもパンツ―――トオルはトランクス型だったが、シンイチはビキニブリーフ型だった。その違いはやはり女装調教を受けてきたか否かの違いによるものだろう―――も脱いで全裸になった。
いや、トオルはソックスを、そしてシンイチはニーハイソックスを付けていたままだったので完裸ではなかった。さらに・・・
「ぷっ・・・ギャハハハ、ナニソレ~」
「タ、タマのところ、何かついてる~」
「ま、まるで・・・ブラみたい・・・」
腐女子達はシンイチを指差し腹を抱えて大笑いした。彼女達が口々に言ったように、シンイチは睾丸に変なものを付けていた。それは、まるで睾丸を乳房のように見立てて下から持ち上げ内側に寄せるようにしてそこに微かな溝が見えるようになっていた。
「あー、それ?タマブラよ」
「タマブラ?」
「何それ?」
「初めて見たんだけど?」
アスリンが答えたように、それは睾丸を乳房に見立てるのを目的とした睾丸用のブラジャー、略してタマブラという、特注でアスリンが作らせたものだった。しかも、睾丸を乳房らしく丸く見せる為に細いワイヤーで支えたり谷間を誂える為に中心にも人の形に硬質プラスチックでモールドを組み込んでいた。またブラと言うからには肩紐にあたる部分もあって、それはペニスの根元にはめられたゴム輪につながっていて、でもサイドの帯は無くてヌーブラのように粘着シールで固定されていた。つまり、シンイチは肩ではなくてペニスでタマブラを保持していたのだ。それも只の輪っかならペニスが項垂れている―――それは今もこれからも同じである―――状態ではツルッと抜け落ちてしまうので、ゴム輪にしていたのだ。
「こいつって、ほもーんなんだけど女装趣味があってさ、どうしても女装したいって言うから、それならって事でタマブラ付けさせてあげたのよ」
確かに今のシンイチには女装趣味がある事は否定できなかったが、こんな下品すぎる衣類とも言えないものなど希望した覚えはなく、勿論アスリンの嫌がらせに過ぎなかった。しかし、アスリンの強要を拒否する事はシンイチもトオルもできない事だった。
ベッドの上に上がった二人は、シンイチが下、トオルが上に位置し、互いに頭と足が反対方向になる69の姿勢になった。
そして、トオルがシンイチのペニスをはむっと咥えると、すぐさまシンイチもトオルのペニスをはむっと咥え、ほもーん69が始まった。
「うほおぉぉ~~っっ、生やをいの相互フェラ!!」
「夢にまで見たシーンが今現実に目の前でっ!!」
「これはスゴイィィッッ!!」
腐女子達は乱舞はしなかったものの驚喜して、ますます食い入るような目付きで二人の口唇愛撫を何度もあっちこっち―――シンイチの口元とトオルの口元の二か所―――と視線を動かして見つめていた。勿論、先ほどのシンイチのフェラチオ→トオルのイラマチオのシーンから胸はdkdk動悸はmnmn秘所はnlnlで、誰もがどうかしたら指を下着の中に潜り込ませてしまいそうで、腰をもじもじさせていた。
そして当の二人は・・・
“トオルくんのオチンチン・・・まだ硬くて、熱くて、逞しくて・・・素敵・・・”
さっきはどう見てもDC姿であったシンイチも今はかなり変態っぽいが微かに女装している事もあって、何となく気分はユイコっぽくなっていた。
“シンイチくんのオチンチン・・・まだ柔らかくて・・・でも熱くて・・・可愛いよ・・・”
トオルもやはり元々ほもーんとしての素質があったのかそれともまだ幼い頃に受けた強烈な体験―――それはともすればトラウマに近い物だった―――を今は愛する相手への愛撫の為の修行であったかのように肯定的な記憶に置き換えてしまったのか・・・どちらにしても、ドホモルンクルリンの継続摂取による影響としか思えないほど、熱心にシンイチのペニスを舐めしゃぶった。
“ああ・・・スゴイ・・・気持ちいいよ・・・トオルくん・・・”
ユイコにさんざんフェラチオされてそれがどのようなテクニックなのかを身体で覚えてしまっていたのだろう、トオルの熱心なフェラチオに、シンイチのペニスもあっという間にフル勃起していった。
きっと、ただのほもーん状態ではそんな現象は起きなかっただろう。だが、シンイチの気分がユイコっぽくなっていた事によりトオルのペニスをフェラチオする事で性的に興奮し、有料フェラチオサービスをさせられていた頃のように、女のコとしても性的興奮・性的快楽を望む意識が発露し、そして心は女のコでも体は男のコであるが故に、男性器への性的愛撫を相手がたとえ同性でも気にせず受容してしまい、ペニスをフル勃起させてしまうという奇跡を起こしたのだ。
“ぐふふ・・・シンイチったら、トオルのフェラでチンポをフル勃起させてる・・・いよいよあんたも本当にほもーんになったようね・・・”
トオルがシンイチの口の中に突き込んでいるペニスはフル勃起したままの元通りの太さだったが、最初に服を脱いだ時は萎れて皮被りでまるで幼児のもののように見えたシンイチのペニスは、トオルが口腔内で熱心に舌を絡めて舐め回している内にあっという間にフル勃起して、それからはトオルも自分のペニスをシンイチの口腔に突き込んでいるのと同じように、シンイチのペニスを唇で締め付けながらしごき立てている―――つまりイラマチオを愉しみながらフェラチオもしているという器用な状態?―――と言う状況で、それでトオルの口から見え隠れするシンイチのペニスの太さが見慣れたサイズに変わった事でアスリンも気付いたらしい。
“シンイチくん・・・今まで何度も僕のオチンチンをフェラチオしてくれて・・・すごく気持ち良かった・・・今日こそ、君を幸せにしてあげるよ・・・”
“トオルくん・・・僕のオチンチンを・・・初めてなのにそんなに上手にフェラチオしてくれて・・・すごく気持ちいいよ・・・もう、天国に行きそう・・・”
互いに相手を愛しく想う二人はいつの間にか両手を相手の身体に伸ばして抱いていた。シンイチはトオルのお尻に、トオルはシンイチの太腿の裏側に・・・。
“さあ・・・そろそろ・・・イキなさいよ・・・”
“ほら・・・しっかり唇でチンポを締め付けて・・・”
“汚いチンポミルクを相手の口に注ぎ込むのよ・・・”
そこにいる11人の腐女子達は、愛する者どうしの相互口唇愛撫を食い入るように見つめていた。
そしてそんな腐女子達の欲望・希望が運悪く天に通じてしまったらしく、シンイチとトオルは急速に絶頂に向かって昂っていった。
“トオルくん・・・もう出そうなんだね・・・”
“シンイチくん・・・もう出そうなのかな・・・”
“僕も・・・出そうなんだ・・・”
“僕も・・・出そうだよ・・・”
“僕・・・もう・・・イクから・・・トオルくんも・・・出していいよ・・・”
“僕も・・・イクよ・・・だから・・・シンイチくんも・・・出していいよ・・・”
同性だからこそ、性器のどこが快楽ポイントなのかおおよその見当は付いていたし、その反応も予想できるものだった。だから、二人とも自分の口腔内に突き込まれている肉棒を唇で締め付けていたおかげでその予兆にすぐに気付いた。
せめて口の中でなく外に出してあげよう―――別にアスリンは相互フェラをしろと命令していただけであって、どこに射精するかまでの細かい指示はし忘れていた。まあ、顔射させて顔が精液まみれになるという情けない姿を見て笑い飛ばすのか、それとも口内射精させてそのまま飲み込ませるのもまた一興であるし、結局はどっちにするか決められなかっただろう―――と考えた二人は、同時に相手の精液を飲み込んであげようとも考えていたので、互いに自分のペニスを相手の口から引き抜こうと腰の動きを停止―――トオルは腰を上げて、シンイチは腰を落として―――しようとしながらも、互いに相手のペニスを口から引き抜かせまいと真空バキュームしてしまった。その結果・・・
「うぐぅっ!」
「ふぐぅっ!」
互いに堪えきれず、二人は同時に相手の口内で射精を始めてしまった。
“イッテる!・・・お互いにチンポ咥えながら!”
“出してる!・・・お互いにチンポミルクを口の中に!”
“飲んでる!・・・お互いにチンポミルクを!”
腐女子達は相互フェラチオ→相互口内射精→相互精飲という18禁生やをいの強烈なシーンを目の当たりにして、生唾をごくごくと飲み込みながらも下の口からは愛液をドクドクと零してしまっていた。
しかし、そこでドホモルンクルリンの効果に対する二人の差が顕れた。それは、精液の量の差である。シンイチの射精量/回は何も変化はなかったが、トオルのそれは徐々に増加してきていたらしく、同時に射精が始まって同時に精飲も始めたのに、あっという間にシンイチの口腔はトオルの精液でいっぱいになり、とうとう唇から溢れ出してしまった。
「「ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」」
射精が始まるのも射精が終わるのも二人はまるでシンクロしていたかのように同時だったが、その表情には明白な違いがあった。
「ギャハハハッ!見て見て、あの顔~!顔中チンポミルクまみれにしちゃって、ヘンタイここに極めっ!ってカンジ!」
トオルはシンイチの精液を飲み干す事ができたが、シンイチは飲み干す事ができずさらに息ができなくなって思わず唇の締め付けを緩めたせいでトオルのペニスが口から抜け出てしまい、その結果トオルは最後の三回ほどはシンイチの顔中に精液を振りまいてしまったのだ。
美少年どうしの69相互フェラチオ愛撫からの口内射精と顔面射精に精飲という強烈なほもーん性愛シーンを目の当たりにして、そこにいた腐女子達は思わず目を見張りパンティに入れた指で秘所をまさぐり、その結果軽くイッてしまったらしく、誰もアスリンの邪笑に同調したりはせず、ハァハァハァと小さく喘ぎ声を漏らしていた。
「ご・・・ごめんよ・・・シンイチくんの顔を汚してしまった・・・」
「トオルくん・・・気にしないでよ・・・僕は、汚されたなんて思ってないから・・・」
自分達の行為に腐女子達が声も出さずに視姦しながらスカートの中でオナニーをしていた事さえ気づかず、二人はただ、今終わった行為の結末に付いてお互いをいたわりあっていた。
しかし、そんな二人の心の交流を思いっきり引き裂くように、アスリンが考えていた次の変態的な仕打ちをまた言い出してきた。
「いつまで見つめ合ってんのよ、この変態ども!次はいよいよケツ穴セックスよ!」
普通ならアナルセックスと呼称するであろうその行為を、アスリンは二人を徹底的に辱めて甚振るかのように品性下劣な言い方で要求してきた。
「待ってました~」
「やっぱりそれがあって当然よね~」
「早くやってみせて~」
今度は腐女子たちはアスリンの邪悪に満ちた笑みでの命令に乗って何やかやのヤジに似た要望を口々に言ってきた。それが切っ掛けという訳でもなく、既にアスリンから悪夢のシナリオを教えられていた二人は、お互いの役割―――シンイチが受け、トオルが攻め―――をわかっていたかのように、今度はちゃんと頭と足を同じ方向にして向かい合った。
「シンイチくん・・・」
「トオルくん・・・」
「ちょっと待ったー!」
また互いに見つめ合って二人は気分を高めようとしていたのに、またしてもアスリンの邪魔が入った。せっかくのツーショットで腐女子萌えの状況だったのに、と言う状態だった腐女子達は一斉に膨れ顔。
「何よアスリン・・・」
「せっかくのいい風因気だったのに・・・」
「釘を刺さないでよ・・・」
「いえいえ、これはいろいろと重要な話でして・・・シンイチ、あんたちゃんと出すモノは出してきたでしょうね?」
「も・・・勿論・・・です・・・」
シンイチは顔を真っ赤にして答えた。てゆーか、ここに連れて来られる前に二人ともアスリンに命令されてトイレは両方とも済ませて来ていたのだ。
「それならいいわ。いざって時にトイレ行きたい、なんてなったらサイアクだしね」
等と言いつつ、アスリンは何処ぞに隠していたアイテムを取り出した。
「うわ、アスリンったら、ナニソレ・・・」
流石のチコも予想外のアイテムに驚いたのも、それがどういう目的で作られたのか、アスリン以外で唯一知っていたからだった。
アスリンが手にしていたアイテムは、でっかい注射器のように6人の腐女子には見えた。だが、チコだけはそれのアイテムの先端が針ではない事からそれの正体に気付いた。
それとはつまり、浣腸器であった。
「ア、アスリン様・・・」
どうせそういう手酷い仕打ちをされるのは自分の方だろうと悟りきっているシンイチは驚愕と恐怖の入り混じった複雑な表情になった。
「安心しなさい、中身はローションとそいつの精液と濃厚なドホモルンクルリンだから」
アダルトショップで普通に売っているローションと事前にトオルから採取―――勿論、オナニーさせて洗面器に出させたものだ―――した精液、さらにいつもアヌス内に注入しているドホモルンクルリンのクリーム10本分を混ぜ合わせた、シンイチ専用の特濃アヌス媚薬であった。
「せっかくの人前でのほもーんケツ穴セックスなんだから、せいぜいヨガって貰うように頼んで特別に作って貰ったのよ。という事で、この濃ゆーいケツ穴媚薬をプレゼントしてやるから、ケツをこっちに向けなさいね」
アスリンは昏い邪笑を浮かべてシンイチに近寄ると、その両脚をM字開脚させた。だが、そのアヌスは緊張と言うよりは恐怖で窄まったままだった。
「ほら、さっさとケツ穴を緩めなさいよ。浣腸器の先が入らないじゃないの!」
アスリンは浣腸器の先端でシンイチのアヌスを突いたりしてそこにそれを押し込もうとするのだが、シンイチはなかなかそこを弛緩させる事はできなかった。
“ト・・・トオルくん・・・怖いよ、僕・・・”
シナリオに無い―――アスリンがわざと言わなかったのは、今のシンイチの怯える表情を愉しみたかったからだった―――展開にシンイチは怯えた表情になったが・・・。
“大丈夫だよ、シンイチくん・・・僕がついてるから・・・”
シンイチの手をトオルがそっと優しく握ってくれたおかげで、シンイチはほっとできた。さらにそれがアヌスの緊張を和らげる事につながった。そしてその隙を見逃さず、アスリンは浣腸器の嘴管をシンイチのアヌスの微かな綻びに狙い過たず差し込んだ。
「さあ、覚悟しなさい。いいわね?いくわよ!」
シンイチに問い掛けながらその返事を待つ事も無くアスリンは一気にシリンダーの奥までピストンを押し込んで中の粘性のある白濁液をシンイチのアナル内に注ぎ込んでいった。
「ぁぐぅ・・・」
お腹の中に液体が逆流してきて、その不快感にシンイチは目を見開きながら小さく悶え声を零した。
「これでよし、と。さあ、トオル。こいつが下品な姿を晒す前に、あんたのチンポで栓をしてしまいなさい」
お腹の不快感に耐えかねてシンイチが入れられた液体をまた零すという醜態を晒せば、この宴の盛り上がりに水を差す事になってしまう。だったら、元からそんなシナリオに無い事をしなければいいのだが・・・。
そして、不快感に悶えながらも自分を見つめるシンイチにトオルはそれまで以上に愛しさを覚えたようで・・・再びいや三度ペニスをフル勃起させてしまっていた。
「さあ行くよ、シンイチくん・・・」
「・・・来て・・・トオルくん・・・」
さっきアスリンの手にした浣腸器を受け入れる時はなかなか弛緩しなかったシンイチのアヌスは、トオルのペニスの先端が触れただけですぐに少し開口した。おかげで少し零れたローションのおかげでトオルのペニスはすぐにシンイチのアヌスに咥え込まれ、一気にその根元まで侵入してみせた。
「おおお~~~」
「ゆ・・・夢にまで見た事が・・・今、目の前で現実に・・・」
「アナルセックス!アナルセックス!」
先ほどのアスリンの水差しでレベルダウンしていた腐女子達の興奮度は一気にまた急上昇した。本物の美少年同士のほもーんセックスなど、こんな事でなければ絶対に見れる筈が無かった。近い物としては、最近出始めた女装美少年もののアダルトDVDがあるが―――まあ、女装美少年と言いながら結局は衣装を脱いで女に見えなくもないメイクをしたロンゲの若い兄ちゃんが男ににヤラれているので女装美少年というフレーズは詐欺そのものなのだが―――ケツを掘ってるのが美少年という訳では無い只のアナルセックスが好きな男であるのが残念なところだった。だが、今目の前で展開しているほもーんセックスは、正に美少年同士によるものだったのだから、腐女子達の性的興奮が急上昇するのも当然であった。
なお、突き詰めていくと腐女子達の究極の願望は、自分がフタナリ美少女になって美少年のカマを掘るというものであったが、流石にそれはまだ二次元でしか登場してはおらず、3次元で世にあるフタナリものは、シーメールxシーメールか、シーメールが男にアナルをレイプされるものか、あるいは偽物のフタナリ・・・モザイクを掛けるので誤魔化せる(と思い込んでいる)のをいい事にピンクのディルドを下腹部に装着してフタナリと言い張っている・・・が登場するという偽フタナリx偽フタナリ、そして偽フタナリが男にアナルレイプさせる作品ぐらいである。
ただし、元々は女性でありながらペニスも同時に備えているので、レズのタチとして女性を相手にできるとして設定されたフタナリだが、当然ヴァギナも備えているので男性の相手もできる―――男性にとっては相手にペニスが有るのは全く無意味だが―――筈なのに何故か初期は普通のセックスをしていたのに最近はどうあってもアナルセックスばかりしているようだが・・・。
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