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第13話 そのイチ

第13話 その宝春砲の記事に日本中の姦流アイドルに熱を入れていた勘違い女たちは震撼した。もっとも、腐女子達は公式にできると大喜びだったが。 その記事は、日本に来ていた姦流アイドルの二人、チョ・マテョとチョウ・カンタンと同じく姦流スターのペッ・ペーヨンが実はほもーんの三角関係だった、というものだった。 いつもは結構捏造っぽい飛ばし記事が多かったその週刊誌だが、どうやってか隠し撮りされたその写真は確かにその三人が嬲の真ん中が男になっているという、つまりアナルセックスしながらもう一人にフェラをしている、という構図だった。 このため、一気に日本における姦流ブームは消滅の道をたどり始めた。 しかし、そのネットニュースなどからまたトチ狂った事を考え付く者もいた。 「あんた達、これをやんなさい」 その三人の男性が男⇒男←男という形で連結された写真をプリントアウトしてアスリンはシンイチとトオルに突き付けた。しかし、男三人のプレイを男二人でできる筈がないと思いきや。 「だったら、シンイチが一人二役やればいいじゃん!あんたはセルフフェラできるんだから!」 そんな訳で、シンイチは両脚をイツコとサトミに持ち抱えられてそのまま頭を下にお尻を上にしたいわゆるチンぐり返しの姿勢にされた。その苦しい姿勢のままでシンイチはトオルのペニスを咥えさせられ、同時にトオルはシンイチのペニスを咥えさせられ、まずは変形の69をさせられた。 そのまま相互口唇愛撫によって互いに相手に口内射精させられた―――勿論、お互いの精液は一滴も口から零す事無く飲み干す事までさせられた―――二人は、いよいよシンイチが自ら自分のペニスを下からセルフフェラさせられる形になってからトオルがシンイチのアナルにペニスを突き込まされるというアナルセックスをさせられた。 チコの作品を始め、様々な18禁やをい同人誌を見ていたアスリンだったが今の二人の絡みは二次元でも三次元でも見た事は無かった事に自分でも気づいたアスリンは・・・ 「これは、もう一つのアナルセックスの形、というものね」 などとほざいた。 そして、シンイチがセルフフェラしながらのトオルとのアナルセックスは、それはまた新鮮なものだった。といっても、その二人がそんな事を感じた訳ではなく、鑑賞している三人組がそう感じた事だった。 「ほ、ほら、見てみて!二人のタマ同士がキスし合ってるわよ!!」 それに気づいたイツコの指摘でアスリンとサトミもまたさらに性的興奮を昂らせた。 そう、シンイチはバック側からトオルとアナルセックスさせられているという形になるので、そうするとトオルのペニスがシンイチにアナルに突き込まれるたびに二人の睾丸は何度も激しくぶつかり合う事になってしまったのだ。 睾丸は男性にとって最大の急所でもあり、当然そこに微かでも打撃が加われば、微かだが痛みを感じるのも必然だった。しかし、シンイチはそれをトオルに訴えようにもセルフフェラをさせられている以上口の中が自分のペニスで一杯で伝えるのは無理で、声にならないうめき声を上げながらもセルフフェラで自分のペニスに快感を与えてその痛みを無視するしかなかった。そしてトオルの方も、シンイチのそのくぐもった声でもしかしたら?とは思っていたが、シンイチのアナルの中のキツさが心地良すぎて自分の睾丸がシンイチの睾丸とぶつかって自身にも与えられる微かな痛みも忘れてしまう程だったため、そのまま激しいピストン運動を続けてしまっていた。 そして、三人組の期待するとおりに、シンイチとトオルは二人同時にイッテしまうのだった。トオルはシンイチのアナル内に精液を注ぎ込み、そしてシンイチは自分の精液を自らの口腔から喉奥へ注ぎ込んだ・・・。 もちろんその生ヤヲイほもーんショーは三人組が鑑賞すると同時にやはり録画撮影されており、シンイチとトオルはますます底無しのほもーん地獄の底に捕われ堕ちていくばかりだった。 しかし、シンイチは既に諦念の境地であったが、トオルはそうではなかった。やはりドホモルンクルリンのせいなのか、トオルのシンイチへの同性愛感情はもはや偽りでも何でもなく、正真正銘真実のものになっていた。だからこそ、今の一戦が終わって、トオルの睾丸によるパンチを受け続けていた自分の睾丸をシンイチが擦っているのを見て、心底から申し訳ないという気持ちになり、いつもは自分ばかり攻めで歓びを享受している事も併せてシンイチに詫びたトオルは、自らアヌスをシンイチに差し出した。 まだ幼い頃に大の成人の男性、それも外人の黒人男性のごん太ペニスにさんざんアナルレイプされた記憶はトラウマでもあったが、だからこそアヌスも拡張されていたのでいつでも愛しいシンイチのペニスを受け入れる事は可能だったし、シンイチを受け入れて歓びを享受して貰いたいという強い愛情の前にはそんなトラウマも邪魔になる筈も無かった。 だが、人を殺すぐらいなら殺される方がいいとまで言ってしまう心優しいシンイチが攻めに回る事等勿論できなかった。 しかし、そんな美少年同士の美しい友愛の情を自分のおぞましい欲望に変えてしまう(キ)は、また狂ったプレイをシンイチとトオルに要求、いや、命令してきた。 「こんな事もあろうかと・・・」 とイツコが何処ぞから取り出したのは、自分とサヤが何回かレズセックスのプレイ時に使用した事もある同軸タイプの双方向バイブだった。 「片方ばかり入れる・入れられるというのが不満なら、一緒に同時に入れられてしまいなさい」 その双方向バイブは勿論両端ともリアルな男性器を模したもので、当然レズセックスのプレイにおいて互いにヴァギナに挿入し合って、その双方向バイブによってヴァギナ同士がつながったという事で至極の歓びを二人の女性にもたらしてくれるものであったが、シンイチとトオルはそれをアヌスに入れられ、アヌス同士をつなげられてしまったのだ。それだけではない、サトミはシンイチとトオルの両手・両脚を縛って拘束してしまったのだ。つまり、二人とも後ろ手にきつく縛られただけでなく、M字に立てた双方の右太腿と左太腿をもぴったり合わせて動けないように縛りつけたのだ。これではシンイチもトオルも自由に動く事はできない。アナルをバイブに凌辱されるのが苦しくて身を捩る事もできず、身動ぎする事しかできないのだ。それで終わる筈もなく、アスリンはシンイチとトオルのペニスもぴったりくっつくように上下―――亀頭部のすぐ下(カリ首部)と茎・幹の根元―――を二つのリボンで結んでしまった。 「そう、これも、もう一つのアナルセックスの形・・・」 などとほざいたアスリンだが、その真意を正に生で見る事になってイツコもサトミも驚愕した。 アスリンの言によると、アナルをレイプされても性的快楽を感じないシンイチはほもーんとしてはインポと言う事になるそうだが、トオルの方は何と真性のアナルマゾだった―――勿論、幼少期の悪夢のような体験による悪影響に過ぎないが―――事が、バイブでアナルを凌辱されて性的快楽を感じてオルガに達し、悲痛な喘ぎ声を漏らしながら射精してしまった事で証明されてしまった。そして、射精を我慢しようとしての身動ぎ、性的快楽を感じている事の証明でもあるペニスのヒクつきは、リボンで縛られて一つになっているシンイチのペニスにも当然伝わってしまう訳で、アナルを犯されても性的快楽を感じないシンイチも、微動ではあるがペニスへの直接的な刺激が加われば、身体が心を無視して勝手にアナルを犯されている不快感を払拭しようと反応してしまうのも仕方が無い事だった。結果、シンイチもトオルとほぼ同時に射精してしまったのだ。 男性と女性の感じる性的快楽の違いは、その興奮度をグラフ化すれば一目瞭然で、男性は急激に上昇して絶頂に達したらまた早く下降してしまうが、女性は基本的には緩やかに上昇していって絶頂に達してもその期間は男性よりも長く継続しまた緩やかに下降する。つまり、それが「女の方が男よりスケベ」などと言われる理由の一つでもあるのだが、そこで話はまたシンイチとトオルの拘束状態に戻る。つまり身動きできないように手足を拘束されてしまっては、性的興奮が下がっていってもそのままの姿勢を変えられない訳で、そして真正のアナルマゾだったトオルに対してはアナルはバイブによる凌辱が継続していればまたすぐに性的興奮が昂る事になる。そしてトオルが性的快楽を感じるならば、それはシンイチにも性的興奮を与えてしまう事になる訳で・・・。 「これぞ、アナルマゾ連続メスイキ地獄、ってところかしら?」 「うーん、ケツマンコ連結ほもーん地獄、の方がいいかもね?」 サトミやイツコがテケトーにそのプレイ、いや、責めを名付けている間にもトオルはアナル性感がまた昂ってきて腰を身動ぎさせてしまい、それが同時にシンイチのペニスにも性的刺激を与えてしまい・・・ 「「も・・・もぅ・・・ダメェ・・・イ・・・イクウゥーッ!!」」 と二人はまた同時に絶頂に達して同時射精してしまった。 「「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」」 立て続けの同時アクメ・同時オルガによる同時射精をしてしまったシンイチとトオル。だが、それで終わりでは無かった。 「じゃあ、私達は席を外すから、ここは若い人達だけにして・・・」 そのイツコのセリフは何となく男女のお見合いの席で主役の二人を残して双方の関係者(両親とか)全員が席を外すような言いっ振りで、当然シンイチとトオルの二人を恋人同士に見立てた訳だ。 「私もまだ若いんだけど?」 だが、サトミのその渾身のギャグ?は完全にスルーされた。 「くだらない事言ってないで・・・」 アスリンも立ち上がった。自分が考え付いた新たなアナルセックスの形というほもーんプレイを目の前で見れるというのにそうした行動を取ったのは、勿論そのプレイも盗撮録画されているだけでなく、シンイチとトオルが身動ぎできないように拘束されているので見ていて殆どプレイの内容が変わらないからだ。 「ま、待って・・・」 「ア、アスリン様・・・せめて、縄を解いて・・・」 「ダメよ。あんた達はそのままケツマンコでメスイキでもしていなさい。まあ、バイブの電池があとどれくらい持つかわかんないし、せいぜい気が狂いそうなぐらいに何度もチンポからザーメンを噴射してることね」 歪んだドス昏い邪悪な笑みを見せたアスリンはそのままイツコとサトミとともにシンイチの部屋を出てドアを閉めた。 “シンイチくんの机は・・・ここね・・・” とある日の放課後、とうとうサヤは沸き上がる衝動に抗いきれず、シンイチの教室に来てしまった。 今までのシンイチの受難―――女装調教され、さらにはアナルマゾのほもーん奴隷に堕とされようとしている―――の様々なシーンにおいて、サヤは途中まで不本意ながら三悪+1としてそれに参加していた。しかし、シンイチの女装姿にいつの間にか魅了されてサトミのようにショタ属性が目覚めてしまったサヤは、しかし腐女子趣味を誘発させたサトミとは違って女性同性愛から異性への純愛に転換し始めていた。イツコはシンイチへの調教に重きをおいてしまったが故にサヤとの睦事を仕掛けてくることは皆無となった事も、サヤのシンイチへの慕情はより強きを増していく一因となった。 そして、シンイチの女装姿に欲情していたサヤはシンイチと同時に被虐を受け、そして自分の心の奥底の欲望―――シンイチと結ばれたい―――をシンイチのほもーん調教のダシに使われてしまった事は、三悪をもうFO→COすべきだろうという思いにまでサヤを駆り立てていた。 そして、シンイチへの想いはますます募り・・・。 “こ・・・こんな事するなんて・・・私・・・でも・・・誰にも見られないから・・・” 誰もいない教室・・・誰も見ていない教室・・・自分しかいない教室・・・そんな状況である事は確認済だった。サヤは徐にスカートの裾をまくり上げると、パンティの秘所をシンイチの机の角に自ら押し当てた。 “はぁん・・・シンイチくんの机に・・・私のアソコが・・・擦られてる・・・” 顔が童顔である故かどうかは不明だが、そのサヤの机の角オナニーという痴態はどう見ても思春期の乙女の姿にしか見えなかった。さらに秘所を刺激して悦楽がじんわりと身体に広がり始めた時、サヤの太腿に何かが触れた。 “こ・・・これ・・・” それは、音楽の時間で使用するアルトリコーダーだった。そうと気づいた瞬間、すぐにサヤはそれを手に取ってケースの中のリコーダー本体を取り出していた。 “ここに・・・いつもシンイチくんの唇が・・・” サヤはもう秘所から沸き上がって来る興奮を我慢しきれず、一瞬の躊躇も無く熱い吐息を小さく漏らしながらその吸い口にキスし、すぐに唇で咥えた。所謂、間接キスである。そんな行為で興奮するのはやはり思春期にいる者だけであり、既に24歳にもなった成人女性が興奮するのは不自然と思われるが、今のサヤはシンイチに恋する乙女で精神年齢だけはJCかJKまで下がっていたのかもしれない。 だがしかし、その次にサヤが思いついた行為は、流石に思春期の乙女としては想像を絶するものだったろう。   ♪~     ♪  ♪  ♪   ♪ ♪ ♪~ ♪    ♪、♪   ♪ などとおなじみのラーメンマスクのテーマをサヤが奏でる筈も無く・・・。 何を思ったか・・・はその次の行為でバレバレだが、サヤはその吸い口を逆さにすると、露わにしている己の秘所に近づけていった。流石にパンティの中にそれを差し込めばもう(キ)の領域に入っていただろうが、サヤは何とかそれは思い留まり、内側に秘所から染み出た愛液が付着しているクロッチ部の外側に擦り付け始めたのだ。言うなれば、間接クンニリングスとでもなるのか、その刺激はパンティの布越しに・・・いや、もしかしたら、シルクのパンティだから絹ごしとなるかもしれないが・・・サヤのクリトリスに的確に刻まれていった。 もうとっくに思春期を終えて青年期に入っているサヤは、普段のオナニーは指で刺激するだけでは物足りず、ピンクローターでクリトリスをいじめたりディルドもしくはバイブレーターをヴァギナに突き込んで激しく悶えながら性欲を求め快楽を求める激しさを見せ、その乱れっぷりはサヤの性的快楽を開発したイツコを喜ばせるほどであった。 それに比べれば、今のオナニーははっきり言って物足りないレベルの筈だったのだが、愛しいシンイチの机やアルト・リコーダーを使っている事が直接的な刺激ではなくても精神的な刺激となってサヤの性感度をより敏感にしてしまったのだろう。 “んあぁんっ・・・い・・・いぃっ!」 一人しかいないから誰にも見られないという過信・・・それがサヤの注意力を削ぎ、心の中に押し込めていなければならなかった嬌声をサヤは無意識に口から漏らしてしまった。 “・・・?・・・今の声は・・・” 廊下を歩いていたレイナは立ち止まった。その艶めかしさを含んだ声がどのような類のものか、同じ学年の女子生徒よりも経験があるレイナが知らない筈も無かった。 “・・・まさか・・・教室内で・・・如何わしい事を?” 同じクラスの女子がどちらかと言えば自分達では無く高等部の生徒を読者対象と設定しているようなティーンズ誌を持ち込んで、男女の秘め事についての特集ページ―――より大人に近づきたいとか、その他あーたらこーたら胡散臭いこじつけの理由でそんな記事を載せているのだが、勿論それは建前で本音はただ単に読者対象の年代が性欲の権化という事からひたすら購買量をアップさせたいだけである。まあ、男性誌の場合だと11月だからという理由でこじつけで女性のヌード頁を増やしたりする場合もあるのだが―――できゃあきゃあと言っているのを窘めたりした事もある訳で、そんなティーンズ誌の中には「オナニーって何?」なんて記事もあったりした訳で・・・。 贅嶺女学園の生徒ならば、男子はいないからその声はオナニー―――極稀にどこぞの白薔薇が不純同性交友などとのたまった所謂レズビアンの性愛行為も有り得るが―――であろうとレイナも思うだろうが、ここは先方とは違って男子生徒もいる訳で、ならば不純異性交遊と呼称される行為に早熟な男女カップルが足を踏み込んで暴走する事も考えられる。 人の恋路を邪魔する行為は無粋なものだとはレイナも理解してはいるが、学校内の性愛行為とあっては見逃す訳にもいかない。 という事で、その悩まし声が何処から聞こえてくるのかを知るためにレイナが息を潜め耳を澄ませば、♪田舎道~という唄声・・・もとい、予想外のワードが聞こえてきた。 「・・・はぁん・・・シ・・・シンイチ・・・くん・・・」 “えっ!?” 今歩いてるのは二年生の階、そしてその悩まし声が聞こえてくる教室のネームプレートは・・・2-Aだった。 “ま、まさか・・・シンイチと女子が・・・” これまたレイナにとってどう対処すべきか難題になってきた。ただの男女生徒ならば、注意したりなんだりといろいろすべき事は考え付くのだが、相手がシンイチだったら・・・自分では対処のしようが思いつかず、夕月に出張ってもらって何とかしてもらうぐらいしか・・・。 “・・・・・・・・・?” だが、男女の性愛行為にしては不自然な事に、先ほど女子から男子の名前が漏れ出たのに対し、男子から女子の名前が漏れ出てこない事にレイナは気付いた。そこから想像される事は何か?男女の性愛行為では無く、もしかしてそこには女子しかいない? “・・・オナニー・・・してるの?” 来季の生徒会長であるシンイチは二年生の男子は勿論女子からの人望も厚く、二年生や一年生の女子は勿論、卒業間近の三年の女子からも人気があるのもレイナは知っている。そして、シンイチの近くにはいつもアスリンがいるのでどの女子も中々お近づきになれない、と悩んでいるという事も。となると、シンイチの事を想ってオナニーする女子生徒がいたって不思議な事では無い。では、次期生徒会総選挙戦においてアスリンがシンイチに敵意を剥き出しにした―――勿論、表面上は生徒会長に立候補したせいで選挙でライバルになってしまったというスタンスで、その選挙の結果で二人は会長と副会長に納まったのだからまた仲良く・・・・・・・・・それこそレイナとトオルのように・・・・・・・・・理想のカップルとして生徒会を運営していくのだろう、と真実を知らない者は思っているようだ―――という事を知っているレイナとしては、シンイチの傍にアスリンがいるのが不自然でならないのだが、今はそれを思考実験している場合ではない。 “・・・いったい・・・誰が・・・” それを知ろうとして、レイナはまた予想外の光景を見る事になってしまった。 「こ、これ?・・・無理無理無理、絶対無理っ!」 「ごめんなさい、怖くて乗れません・・・」 ヒカリとマユミは見上げたそのジェットコースターの巨大さに圧倒されて呆気なく白旗を上げた。 「アカンか・・・」 「まあ、女のコならそう言うのは納得できるよ」 コウジとケンタはあわよくば彼女達が自分に抱き着いてきて・・・という展開も想定していたのだが、怖くて乗れないという女のコに無理強いができる訳も無かった。 「私は一向に構わないわよ」 「そりゃ、マナは特別なんだよ」 「スリル大好きだもんね」 怖気づくヒカリとマユミに対し、マナはwktkしていた。そんな反応をするだろうという事もムサシとケイタは想定済だった。 結局、ヒカリとマユミを地上に残し、他の五人はこの超強大なジェットコースター「ローラー・タイフーン」に乗ろうと長い長い順番待ちの行列ができている階段を昇って行った。 ヒカリとマユミの恋愛相談に乗っていたマナは、そろそろ校内だけでなく外に出かけていって、つまりデートしてもっと親睦を深める事を提案してきた。そこで、やはりその初期段階はグループデートだろうという事で、ヒカリ&コウジ、マユミ&ケンタ、ムサシ&マナ&ケイタという7人がこの第三新東京市唯一の遊園地「TOKYO-3 アドベンチャー・ワールド」にやって来た訳だ。 そしてここで、コウジとケンタは互いにヒカリやマユミと交際している事を初めて認識した。 「何や、ケンタも彼女おったんか!」 「俺だって、コウジと委員長が付き合ってるなんて気付かなかったよ・・・」 まあ、その二組の交際は清らかなもので変にいちゃつく事も無かったので、その二人だけでなく周囲さえも全く気付いていなかった。ヒカリとマユミはマナに恋愛相談をしているという事で一応彼氏が誰かは知っていたが。 「で、こちらは私の生まれた時からの幼馴染で、今はどちらも彼氏のムサシとケイタ。私立の花山中よ」 こうしてムサシ、ケイタはコウジ、ヒカリ、ケンタ、マユミと知り合ったのだが、それは特に重要な事でもない。 「どちらも彼氏、ってどういう事?」 「まさか、桐芝さんって、二股掛けてるのですか?」 ヒカリとマユミは自分の恋愛相談相手のマナが何となく遊び好きの女のコみたいな誤解をしたが。 「えーと、その言い方は合っているようでちょっとズレてるかな?私にとっては両手に花じゃなくて両手に金棒って感じだね」 「俺達さ、ずっとガキの頃から付き合ってるんだ」 「だから、マナは一人に選べないから、二人とも彼氏にすることを選んだんだよ」 「て事は、自分ら二人ともそれをオッケーにしてるんやな?」 「へえ、大人の関係って感じだな。まあ、恋愛の形は人それぞれで自由だし、当人がちゃんと納得していればそれでいいと思う」 女の嫉妬心について全く理解が無い二人は、特に三人にはマイナスイメージは湧かず、そこはヒカリやマユミとは異なっていた。 勿論、ケンタの言った大人の関係とは肉体関係の事では無く、視野の広い大人のような寛容さがあるという意味である。 「それじゃ、来市さんと山石さんはここで待っていてもらうとして、ローラー・タイフーンを制覇しに行きましょう!」 「「「「おー!!!!」」」」 そんな訳で、五人がジェットコースターの受付に行ってしまったので、ヒカリとマユミはベンチに座って五人が戻るのをのんびり待つ事にした。 でも、ただぼけっと待ってる訳でもなく、二人はやはり同じ事を・・・愛が有れば二股OKというマナの恋愛観について何となく「それは違う・・・違うと思う・・・」と感じていた。 「私だったら、やっぱり一人の男のコしか好きになれないわ・・・」 「私だって・・・でも、男のコの方は違うのかしら?」 宇宙一の浮気男はいくつもの愛を持っていた・・・。 「私はそんなのヤダな・・・コウジには、私だけを見ていて欲しいもの」 「ケンタさんを繋ぎ止めておけるように、頑張らなければ・・・」 そういう積極性をヒカリとマユミに持って欲しいと思っていて、マナはこのグループデートに二人の彼氏を連れてきたのかもしれなかった。 まあ、マナに二股掛けられているムサシとケイタも、勿論そのもう片方が自分と同じマナと一緒に三人で育ってきた幼馴染で気心も知れているし、信頼関係も厚いとわかっているからマナの想い・希望を受け入れたのだし、それに今まで片方が抜け駆けしようとした事も無いし、マナがどちらかを優先させるなんて事も無く平等に二人を相手にしてきたから何の憂いも無かった。 と、上空からジェットコースターに乗っている観客達の悲鳴―――と言っても当然99.89%が女性のものだったが―――が聞こえてきたので二人ともそれを見上げた。 “もしかしたら・・・一緒に乗ってたら・・・怖くて無意識にコウジに抱き着いていたかも・・・” “そ、それなら・・・下心なんて無いから、ケンタさんも喜んでくれるかな・・・” そう思った二人は、何となくチャンスを自ら放棄してしまったような気がして残念な面持ちになった。だが、遊園地内にはジェットコースターの他にもスリル・・・いや、どちらかと言うと恐怖?を味わう事ができるアトラクションが他にもあるのだ。 そう、ホラー・ハウスである。 ““次こそは・・・”” 妙な意欲を湧きたてて二人はまた空を見上げた。その時、既にムサシ・ケイタ・マナ・コウジ・ケンタの五人はジェットコースターに乗って最高到達点に向かって移動中であり、そのwktk感はどちらかというと上を見るよりも下を見てその高さを確認する方に向いていた為、気付く事は無かった。 その上空を何か黒い人間サイズの鳥みたいな物体が飛び去って行った事を・・・。 ““・・・今の・・・何?”” 最初の90°垂直落下から始まって、360°の縦回転・横回転・スパイラルに軸回転、そして天地逆さまになっての逆走行・・・それは、最初に上昇したポイントでの位置エネルギーだけでなく、リニア駆動も加わっているからだった。 「ふわぁ~・・・堪能したね~・・・」 「凄いね、桐芝さん・・・」 「全然怖さなんて感じてへんみたいや・・・」 ジェットコースターから降りてもwktk感が止まらないといった表情のマナにコウジもケンタも驚きを隠せない。 「ウォータースライダーみたいにばっしゃーん!とかもあればもっと面白かったけどね」 「戻る時、逆さまになってたんだぞ?そんなの無理に決まってるじゃんか」 「ウォータースライダーは別の所にあるし、時間が有ったら行ってみようよ」 ムサシはツッコミ、ケイタはフォローをしてこれまた見事なコンビネーション。 「・・・だったら、水着を着て酸素マスクも付けてたらできるよね。うん、ご意見投書してみようっと」 そのマナのバイタリティ溢れる言葉にムサシとケイタも呆気に取られたが。 「間違っても上空で爆発するとか地上で人の行列に突っ込むとかは提案すんなや」 「ゲームじゃないっての!」 コウジのボケにケンタが突っ込むという、これまた二人の見事なコンボ技が決まった。 それはさておき。 「次はどうする?」 「今の時間だと・・・待ち時間が少なそうなのは・・・」 「まあ、人気のないアトラクションは待ち時間少ないだろうけどね」 「・・・ホラーハウスなんてどうや?」 「ええぇ~~?」 いきなり嫌そうな声を出したマナを一斉に見た四人は・・・ 「「「「ホラー・ハウスに決定!!!!」」」」 「やぁだぁ~~」 マナはスリルは楽しめるがホラーはダメなようだった。 「あ、降りて来たわ」 「どうでした?」 「メッチャ楽しかったでぇ!もうぐるんぐるん回って、戻りは天地逆さまやったんや!」 「ホント、凄かったよ。でも、これは確かに女子にはあまりお勧めできないな」 「それで、次にどこに行くかなんだけど・・・」 「ホラー・ハウスってどうかな?これならずっと地上だから怖くは無いんじゃない?」 ムサシとケイタがヒカリとマユミに意見を聞こうとすると 「えー、やめようよ、二人ともやっぱり怖いのは嫌だよね?」 とマナが必死に反対の賛成を求めてきたが、さっきまでチャンスを狙う場所をそこにしようと思っていた二人はマナの願いを無視して・・・ 「ま、まあ、それなら何とか・・・」 「はい・・・ご一緒します」 「何でよぅ~」 6対1では勝ち目が無いし、一人だけダダをこねて嫌がるのもみっともないし恥ずかしいので、マナは渋々ながらついていく事にした。 そしてやって来たホラーハウスは通常のオーソドックスなお化け屋敷ではなくて、かなり低速で移動するトロッコに乗って、それも1台ずつ時間差で出発していって屋内のホラーな仕掛けを体験できるものだった。そのトロッコも基本は2x2の4人乗りだったのだが・・・ 「詰めれば何とか三人横一列で乗れるよね」 どうやらマナは左右からの攻撃をムサシとケイタの二人で守ってもらうようだった。 「これがホントの両手に金棒だもん」 マナはホラーハウスを怖がっていたのも忘れて両腕にムサシの左腕とケイタの右腕を絡めて嬉々として出発していった。 「イチャ付くつもりやで・・・」 「みたいだな・・・」 コウジとケンタは何となく呆れ顔で見送った。それに対し、 “わ、私だって・・・” “このチャンスは逃せません・・・” ヒカリとマユミは少々不純な動機だが、何かを固く決意していた。 「ほな、ワシら先に行くでェ」 コウジとヒカリがペアになって乗り込んで出発し、 「じゃあ、俺達も行こう」 ケンタとマユミがペアになって出発していった。 まあ、ホラーハウスと言ってもお化け屋敷と同様なもので、ゾンビ、ミイラ、半魚人に、フランケン(の怪物)・狼男(ショッカーの改造人間に非ず)・ドラキュラ、そして怪物君(某イケメンタレントにクリソツ?)といったモンスターに泥掛け婆、夜泣き爺、ミッキーマンにビビビ婚したキャット嬢、一反木綿豆腐に顔の無い一つ目、そしてゲロゲロなきたろうといった妖怪などがおどろおどろしいSEや耳をつんざくような甲高い悲鳴とともに上や左右から出現したりと言った感じで、大雑把に言えばチャチな仕掛けではあるのだが、やはりその出現が予想外のタイミングだったり造形も力作ばかりで照明の当て方も凝っており、そういう演出の方にかなりの力を注いだせいかなかなか好評のようだった。 ホラーハウスを怖がっていた筈のマナは左右をムサシとケイタがしっかりガードしてくれた事が嬉しかったようで―――まあ、最初からそれが目的で二人の中に座った筈だが―――コースを完走してゴール―――ホラーハウスから脱出―――できた時はニコニコ顔だった。 時間差で1分遅れで出発していったその後のコウジ&ヒカリ、ケンタ&マユミのペアも、男子は女子にしがみつかれていい気分になれたし、女子も男子に抱き着いて幸せな気分で、はっきり言ってホラーハウスの中のモンスターも妖怪も間抜けなピエロに過ぎなかった。 「ど、どうかしら・・・」 「頑張った・・・つもりなんですけど・・・」 レンタル水着に着替えたヒカリとマユミが既にハーフパンツの水着に着替えていた男性陣の前におずおずと姿を現した。 ちなみにコウジはグリーン、ケンタはイエロー、ムサシはパープル、ケイタはブラウンのものだったがそんな事はどうでもいい。 二人が選んだ水着はどんなものかというと、ヒカリは銀色のラメが煌びやかなメタリックの派手なビキニ、マユミはオレンジ色でメタリックでは無いが結構ローライズでお尻の谷間もちょっと覗けてしまっている大胆なものだった。 「・・・ア・・・アカン・・・イインチョが・・・眩しすぎるがな・・・」 どちらかというと保守的なヒカリだったが、自分の為にそんな派手な水着を着てくれた事にコウジは感激していた。確かに陽光が煌く銀色メタリックの水着に反射されているのもあったが。 「・・・すっごく・・・いいよ・・・」 出会った時の内罰的で引っ込み思案気味だったマユミが自分の為にそんな大胆な水着を着てくれた事にケンタは感無量だった。どちらかというと、そんな水着を着ているせいで他のナンパ男が寄ってこないか不安だった。 残るはマナだけだが。 「じゃーん!お待っとさんでした~」 そこに現れたマナの姿に6人は度肝を抜かれた・・・いや、唖然としたと言った方がいいかもしれない。何とマナは先の二人とビキニという点では同じだったが、腰骨の上まで切れ上がったハイレグを着てきた。そして選んだ色は薄いベージュっぽいピンクとも思えるペールオレンジ・・・最近の言い方ならばヌード色なのだが、偶然なのか狙ったのか、その色はマナの肌の色にかなり近いもので、遠目に見たら正にオールヌードと誤解しかねない―――まあ、後ろからだったらお尻の谷間、前からだったら両乳首と秘所の秘裂が確認できる訳では無いのでその点は大丈夫だろうが―――という、正にヌード色そのものであった。はっきり言ってエロい! 「「ス、スゴすぎる・・・」」 コウジとケンタが唖然呆然としたのに対し 「流石マナだな」「やってくれるね」 そんなセクシーすぎる水着どころか、マナのオールヌードそのものや、さらには秘裂の中まで見せて貰った事のあるムサシとケイタにとっては予想どうりの展開と言えた。 実は、この三人がこんな派手な・大胆な・エロい?水着を選んだのも、もとはと言えばマナのアドヴァイスだった。 「次はウォータースライダーでしょ?だったら、二人とも水着も頑張って彼氏にほんにゃらアピールした方がいいよ」 とマナは言葉巧みにヒカリには派手な銀色メタリック、マユミには大胆なオレンジのローライズの水着を選んであげたのだが、自分ももっとハメを外して愉しんじゃおうという気分でエロいヌード色のハイレグのビキニを選んだ訳だ。 ちなみに、ウォータースライダーと言ってもレジャープールにあるような水流の中を一人ずつ滑り降りていったり数人乗りの円形ゴムボートでくるくるスピンしながら滑り降りていって水の中へおぼん・こぼん・・・ではなくて、ざぶん・どぼん、というものでもなくて、ここにあるのは基本的にはジェットコースターと同じなのだが、それよりもずっと低速で進行して時にはシャワーの中もくぐったりして最後にはプールに突っ込んで盛大な水飛沫が上がってそれをまともに浴びるので水着着用必須となっている訳だ。 「桐芝さんって、二人の彼氏とどこまで進んでるのかしら?」 「それは私も凄く興味あります」 更衣室でヒカリとマユミは彼氏達の目が無くなった事からマナにズバリ切り込んできた。真面目そうなヒカリもおとなしそうなマユミも、シンデレラたちもきょーみあるのよ、と言わんばかりである。自分達に派手な・大胆な水着を選んでくれた相手がエロい水着を選んだ事から、自分達に比べてかなりの深い仲になっている事が伺えるからだ。 「ムフフ・・・知りたい?」 「知りたいわ」「知りたいです」 意味深な薄笑いのマナはヒカリとマユミの真剣な眼差しにたじろぐ事も無く―――それは男女交際のレベルがその二人よりもずっと大人の段階にいる事からの余裕であろう―――口を開いた。 「・・・実は・・・もう何度もエッチしていたりして・・・」 「ウッソー!」「ホントー?」 「カワヒィーでしょ?・・・じゃなくてスゴイでしょ」 流石に不潔よ!なんて言葉は出なかった。いずれは経験しなきゃならない男女の睦みあい・・・セックスに憧れもあるし畏怖もあるし、友達より早くとか焦る気はないけど、ただ、どうやってそのステージまで進めばいいのかがわからなかった。 「まあ、私も早くからエッチな事に興味はあったし、一人エッチも・・・二人ともそれぐらいはわかるよね?」 「そ、そうだけど・・・」「そ、それで・・・」 今時、JC2にもなってオナニーを経験した事がない女のコなんて、やをいが好きな女のコよりも少ないだろう。当然、二人も経験済みだった。 「一人エッチでイク事も覚えて、じゃあ次は男のコとのセックスだよね、と考えたんだけど・・・やっぱり男のコに自分から言い出すのも恥ずかしいし、テレるよね?だから、その先は、やっぱり自分から言い出すんじゃなくて、相手から言い出す様に雰囲気を持ってって・・・」 「そう、そこなのよ」「具体的にはどうするんですか?」 「男のコはやっぱりまずは目で見た情報から動くからね。私は家で・・・まあ、ムサシん家が一番大きくてご両親も不在なのが多いから、そこで三人でいろいろゲームとかして遊んだりしてたんだけど、大胆なカッコをしてみたの。スゴい丈の短いミニスカートとかでね。つまり、テニスやチアガールみたいなパンチラ作戦かな?もっとも、あれは本当はアンスコだけどさ」 「は・・・恥ずかしくなかったの?」 「逆に引かれりしなかったんですか?」 「女と男の勝負に恥ずかしいとか言ってられないし・・・それに二人ともしっかり食い付いてきたよ。パンティ見えてるぞー、って」 まあ、物心付く前からの幼馴染であり、三人で一緒にお風呂に入った事もあるし、男子二人と一緒に遊ぶからにはその頃からスカートが翻ったりしてパンティが見えてしまった事もあった。勿論、男のコは悪ノリするとスカートめくりなんてイタズラを仕掛けてきそうだが、ムサシとケイタは逆にそれを仕掛けようとする誰か他の男のコからマナを守っていたのだ。 「後は・・・ベッドシーンとか出てくる映画を三人で見たりして・・・二人から求められたらどうしよう、とか勝手にdkdkしてたけど・・・決め手は一人エッチの小道具を見つけられちゃったって事だったと思う」 本来はマッサージの為に使うそれは、オナニーにも使える訳で、なんだかんだでマナは二人の目の前でオナニーする姿を見せる事になってしまったのだ。 でも、そこでマナだけに恥ずかしい思いをさせるのはやっぱり悪いと思ったのか、マナの了解を得てムサシとケイタも彼女の前でオナニーすると言い出した。勿論、マナが拒否する筈も無く、その日は三人とも三つ巴で性的興奮の絶頂を感じる記念すべき日となった。 「え?い、いきなりそんなスゴイ事を?」「キ、キスとかが先じゃないの?」 男女の恋のABCと言ったらA:キス、B:ペッティング、C:セックスで、俗にその後はD:妊娠、E:出産となっているかどうかは知らないが、だったらABCじゃなくてKPSじゃないかとマナは思っていたのだがそれはさておき。 「うん、まぁ、何ていうか、ばーんと当たってそこからは流れのまま・・・みたいな?」 そしてまた一週間後には・・・三人の関係はさらに進んで相互愛撫・・・三人で輪になって、ではなくて開いた扇を一列に並べた形で陣取って、マナはムサシの性器を、ケイタはマナの性器を愛撫し、その次は位置を変えてマナはケイタの性器を、ムサシはマナの性器を愛撫、という事になった。先にマナに性器を愛撫してもらうか、それとも先にマナの性器を愛撫できるか、片方を取ればもう片方は取れない・・・マナはいろいろ考えてそういう方法を取ったのだ。勿論、どちらか片方を優先とかはできず、両方を平等に想っているが故の思い付きだった。 「そ、それからそれから?」「どーしたの?」 一回目は恥じらいながら、二回目はちょっとその気に、という感じで話したマナだったが、三度目は 「・・・そこは、秘密」 と言って教えなかった。 初セックスにおいて、彼氏が一人なら全く問題は無いが、二人となると発生する大問題があった。それは、ヴァージンを捧げる相手をどちらにするかという、由々しき問題である。先の三人での相互愛撫はじゃんけんで買ったムサシが先にマナに性器を愛撫してもらう権利を取って、ケイタは先にマナの性器を愛撫できる権利を取った。だが、今回はそれをじゃんけんで決めてももしかしたらしこりが残るかもしれない。実際、ムサシとケイタの友情はそんな事で崩れ去る程脆いものではなかったが、それでも万が一を考えてマナは・・・バイブにヴァージンを捧げたのだ。それも、ムサシとケイタの目の前で。これで、どちらも平等となった訳で、それでも二本同時に受け入れられるようなプロのガバマン商売女ではないのでマナはこんどこそじゃんけんで順番を決めて貰って、まずはムサシ、その次にケイタを連続で迎え入れたのだ。そうやって三人の仲良し度はさらに大きく強くなった。 “今は、二人同時に受け入れられるようにアナルも開発中だけど、まさかこれはこの二人には言えないもんね・・・” 「だからね、キスはもう置いといて、初めてのセックスをするまでは三回ぐらいの段取りを踏んだ方がいいと思うわ。私はオナニー→ペッティング→セックスと言う順番だったけど、別にそれを全く同じように真似するんじゃなくて、一回目は恥じらいながら手で触り合ったり、二回目はちょっとその気で口で愛撫し合ったり・・・」 「「三回目は?」」 「三度目から先は教えないわ。彼氏と二人でじっくり考えて、それから決めて。ま、後悔だけはしないように、ちゃんとゴムは必ずつけて貰って。もしそのお願いを聞いてくれなかったら、もうその彼氏とは絶対に別れた方がいいから」 中学生で妊娠なんてしたら大問題である。まあ、世の中には中一の母、いや、中一で母になった者もいるらしいが、いずれにしろ家族や学校関係者に多大な迷惑を掛ける事になるのはわかり切っている。一時の快楽の為にそんなリスクを背負い込むのは割に合わないというものだ。 ・・・と、まあ、そんな下ネタ談議をして三人のJCは外で待っている四人のDCにビキニの水着姿を披露した訳だ。 「じゃあ、ウォータースライダーにレッツゴー!」 暑い日差しの中で水を浴びて涼を取れるこのアトラクションも人気は高くて、でもスライダーの進行速度は意外と遅いのでずっと水着で待っている訳にもいかない・・・という事で、この施設だけはちゃんと整理券システムとなっていた訳で、7人のJC/DCはマナの音頭?でウォータースライダーへの階段を登り始めた。 「九州のどこだっけ?温泉で有名な・・・」 「大分県の別府ね?」 「確か、日本の有名な温泉についての唄で4つ目に出てくる所だよな」 ウォータースライダーはいったん高くまで登った後、後は重力任せで降りてくるだけだがそのスピードはかなりのんびりしており、スリルとサスペンスとアクションを愉しむのではなく、どちらかというと遊覧がその目的に近い。という事でJC/DCのダベリングも盛り上がる。 ちなみにこのネタはケンタが言い出したものである。 「そこにある湯ー園地というのは、温泉のお湯のウォータースライダーがあるそうだぜ」 「ああ、なんか聞いた事が有る。なんでも、お湯に浸かったまま楽しめるアトラクションがあるとか」 「温水じゃなくてお湯そのまんま?それは凄いな」 「温泉に浸かったまま、観覧車とか乗ってみたら面白そう」 「いつか行ってみたいね」 嘗ては海地獄・山地獄・血の池地獄・白池地獄・金の湯地獄・坊主地獄・竜巻地獄・ワニ地獄といった様々な地獄を作ってそれをめぐる「地獄めぐり」が有名だったが、だんだん人気も落ちてきて、次に観光客に来て貰うために考え付いたのが、温水プールのかわりに温泉を使ったそのアトラクション施設「湯ー園地」だったらしい。 そんな事はまあどうでもよくて?ふと気づけば、所々でシャワーを浴びたりしていた七人のJC/DCたちはいよいよ最後のプールに向かっての突進位置に来ていた。 スライダーはそれこそジェットコースターと同じ勢いでプールにツッコミを入れて・・・もとい、プールに突入し、その衝撃で盛大な水飛沫を上げてそのままそれはシャワーとなって七人のJC/DCに降り注いだ。 「猪狩くんと惣竜さんも来たら良かったのにね」 水で濡れた身体も拭いてまた着替えた7人のJC/DCは併設のハンバーガーショップで昼食を摂る事にした。そこでマナが口にしたのは2-Aのベスト・カップルと噂される―――勿論、それはとんでもない勘違いどころではない完全な間違いだった―――のシンイチとアスリンの事だった。 「何で誘わんかったんや?」 「いや、誘ったけど生憎用事があって来れないって事だったんだ」 「惣流さんも誘ったんですよね?」 「ええ。でも、彼女も今日は外せない用事があるからってみんなで愉しんできて、って・・・」 「・・・その二人、確かサトミ先生んちで一緒に暮らしてるんだよね?」 「な、何っ!?」「何故?」 ムサシとケイタは学校が違うので事情は知らない。シンイチは研究者だった両親を事故で一篇に失い、父方の祖父に引き取られたがその祖父も他界し、天涯孤独の身となったので遠縁の親戚であるらしいサトミが保護者となったらしい。アスリンもアメリカで母親を病気で失い・・・その母親が精子バンクで精子を購入して自分の卵子と受精させて、アスリンは試験管ベビーとして誕生したので元々父親はいなかった・・・これまた天涯孤独の身になったので、旧知の仲―――サトミのアメリカホームステイ時にアスリンは家庭教師をして貰った―――という事でサトミ宅に居候する事にしたのだが、その二人のさらに深い事情については勿論誰も、保護者のサトミでさえも知らない部分があった。 シンイチの両親の事故死は原因不明のまま闇に葬られた事、両親の遺体さえも見つかっていない事・・・アスリンの本当の父親は萩生コンツェルンの後継者筆頭だった男だが、もしかしたらシンイチの父親とアスリンの母親には何かしらの因縁がありそうな事・・・。 「・・・一緒に暮らしていて偶然二人とも用事があって来れない・・・何か、アヤシィ~」 「桐芝さん、変に気を回し過ぎじゃない?」 「それに、怪しいとか言っても、普段からあの二人は仲エエやないか」 「おまけに仲良く来年の生徒会の会長と副会長になるんだし」 「もしかしたら、来年のその生徒会の方針について打ち合わせてるとかじゃないでしょうか?」 「まあ、花山は男子しかいないから、共学とかでよくあるらしい男女間の意見対立というのはないんで、そこは気楽なもんだな」 「けど、共学も女子と一緒に青春をおくる事ができるのは素直に羨ましいと思うよ」 練芙学園も花山学院も贅嶺女学園も同じ私学ではあるが、それぞれ男女共学・男子校・女子校の違いがある。その校風の違いとかをそれぞれどんな風に感じているか、という話題になって、ムサシもケイタも素直に自分の心持を語った。 マナとムサシとケイタの三人は物心つく前からの幼馴染であるが、ムサシとケイタは花山学院、マナは贅嶺女学園→中学になって練芙学園に転入となったので、マナだけは同性のみ・男女共学のそれぞれの短所・長所を感じていた。 「周りに異性がいなかったら、閉鎖的になってやっぱり何かしら考え方が一方的になっちゃうきらいはあると思う。多分、性教育を受けたほとんどのコが「男ナンテェー!」なんて勘違いして威張ってる風因気だったけどさ、練芙学園に転入したらやっぱり違うよね。どんな女子もしっかりしてるし、男子も思ってたほどバカじゃなかったし」 「それは俺達もそんな目で見ていたって事か?」 「それはちょっと聞き捨てならないよ?」 マナの男子はバカ発言で少々ムサシとケイタはこめかみに怒りの血管を迸らせかけたが。 「そんな事言って無いじゃん。私はムサシとケイタが大好きだよ」 マナの臆面も無い・・・ではなくて、てらいの無い言葉とその笑顔で、ムサシとケイタのこめかみは無事平穏に戻った。が。 「ラヴラヴやな・・・」「ラヴラヴじゃん・・・」 “惚気てるの?”“惚気てるのかしら?” コウジとケンタが思わず呟いたその反対側でヒカリとマユミは思わず呆けていた。 「あなた達も、もっと恋愛に積極的になったら、もっと仲良くなれると思うわ」 つまり、今はどちらのカップルもまだキスどころか手をつないだ事もないのだ。ムサシ―マナ―ケイタのレベルの仲になるにはまだまだ長い道のりが待っている。 「じゃあ、俺達はここで。ここからは別行動だ」 「後は、君達も頑張ってデートしてね」 マナの目配せに反応したムサシとケイタはそう言って席から立った。 「グループデートもなかなか楽しかったわ。じゃあね」 三人は自分のトレーを持ってテーブルを離れて勿論ちゃんとセルフサービスでゴミも捨ててハンバーガーショップを後にした。 「・・・えーと、どうする?」 「どうすると言われましても・・・」 いきなりマナに放り出された―――それは確かにマナが気を使ってくれた訳でもあるのだが―――ヒカリとマユミはこの後どうすべきか迷っていた。 「けど、まだ時間もあるし、取りあえず別々に行こか?」 「そうだな。自分達で決めないと成長できないしな」 コウジとケンタはすぐにそれぞれのペアでこの後の行き先を決める事にした。ヒカリとマユミは恋愛相談相手のマナのあけすけな告白を聞いて何とか積極的にならなければ、と心に強く思ったが、コウジとケンタはムサシやケイタの態度・振る舞いを見て、助言されなくとも同じく積極的になるべきだと気付いたのだ。 ハンバーガーショップを出た二組のペアも別行動を取るべくそこで分かれた。ただし、コウジはヒカリの、ケンタはマユミの手を引いて・・・勿論、いきなりの事でヒカリもマユミも一瞬慌てたが、すぐに気合を入れ直してそれぞれの彼氏に付いていった。 まあ、なんだかんだでその三組は大観覧車の前で結局集結してしまう事になる訳だが・・・。

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