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【7】-10

 背中に聞こえる誠司の声が、少しずつ小さくなってゆく。 「千春……」  その声から逃げるように、天上から落ちる無数の糸の下に身を投げだした。  水の糸で、全部、洗い流してしまいたかった。  優しい人の手に逃げかけた狡い自分も。  叶わない想いを手放せず、優しく綺麗な顔をした女性(ひと)を妬むことしかできない浅ましい自分も。 

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