48 / 113
【7】-10
背中に聞こえる誠司の声が、少しずつ小さくなってゆく。
「千春……」
その声から逃げるように、天上から落ちる無数の糸の下に身を投げだした。
水の糸で、全部、洗い流してしまいたかった。
優しい人の手に逃げかけた狡い自分も。
叶わない想いを手放せず、優しく綺麗な顔をした女性 を妬むことしかできない浅ましい自分も。
ともだちにシェアしよう!
fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
48 / 113
ともだちにシェアしよう!