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【9】-9
美しい筋肉に覆われた身体が迷いなく降りてきて、その愛しい身体に千春は腕を伸ばした。
神様でも、悪魔でも構わない。
今だけでいい。どうか、この人を自分に与えてと祈る。
傷一つない白い肌に、たくさんの赤い花が散ってゆく。まるでこの日のために守られていたかのような無垢が、誠司の手で汚される。節の形の綺麗な長い指が身体中を愛撫する。熱い舌が肌を舐める。
誠司に触れられる度、磁石に集まる砂鉄のように、千春の体内を流れる赤い血が、ざわざわとざわめきながら、満ちて弾けた。
「千春……」
名前を呼ばれ、誠司の背中にきつくしがみつく。ダメだと言われても、誰にも許されなくても、今は誠司を離したくなかった。
「千春……、千春……」
何度も千春の名を呼び、誠司は愛撫を続けた。硬い指先が胸の尖りを掠める。熱い唇に薄紅色の飾りを繰り返し吸われると、甘い痺れが全身に広がってゆく。
「あ……」
小さく尖ったそこを強く含まれ、吐息が漏れる。千春の中心が熱を持ち始め、ブルーのボクサーパンツに濃い染みを作る。
それを隠すように、胸を吸う誠司の髪に指を埋めた。
「あ……、んっ、……」
「千春……」
誠司の左手が下着をそっと押し下げた。
「あ……、ダメ……」
抵抗空しくさらされた屹立を、誠司の長い指が包む。視線を感じて頬がかっと熱を持った。
「あ、いや……。誠司さん……っ」
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