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【9】-15
ひときわ強く、速いストロークが千春を突きあげる。二つの身体の間で揺れる千春の先端から雫が飛び散る。
頭の芯で火花が白く弾け、赤い炎が脳を焼いた。何もわからなくなって意識が消えかけた瞬間、身体の裡と外とで熱い飛沫が弾けた。
注ぎ込まれる体液。
温かい誠司の命のもと。
ドクン、ドクン、ドクン、と三度。
その全部を永遠に自分の裡に閉じ込めておきたいと願った。
浮き上がっていた背中が、スプリングの効いたベッドに落ちる。ずるりと去ってゆく滑りを帯びた愛しい男の身体。
それを引き留めておくことは、もうできないのだと思った。
誠司がいなくなった千春の空洞に、冷たい空気が流れ込み、コポリとかすかな音を立てて白い残滓が零れ落ちる。
誠司の……。
目を閉じると、そっと背中を抱き寄せられた。
ツンと痛みが走る赤い鼻を、温かい胸に埋める。
自分のものではない、愛しい男の胸に……。
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