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 物件……。  それはきっと、二人が住むために家だ。  呆然と立ち尽くしていると、誠司がまた千春を見て笑う。涙を堪えて、視線を落とした。 「後でまた寄る」  そう言い残して、誠司と彼の「未来の妻」は、金井の店を後にした。

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