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【11】-10
「……こんなことをして」
急に、どうしたのかと眉を寄せると「理恵おばさんの話が出た後だと、罪の意識が半端ない」と誠司が、気まずそうに目を逸らす。
驚いて見つめ返した後で、千春は少し笑ってしまった。
誠司がムッとする。
「人の気も知らないで……。俺がどれだけ我慢してきたか、知らないだろ。ちょっと、マジでわからせてやろうか?」
覚悟しろよと、言葉と裏腹の優しいキスを繰り返して、誠司が律動を再開する。千春は素直にそれに応える。
本当に、愛していいのだ。
ほかの誰のものでもなかった。千春のものだと、誠司は言った。
愛しい身体に腕を回し、与えられる快楽に身を委ねる。濃密で幸福な歓びの中に深くまっすぐ落ちてゆく。
少し掠れた低い声。形のいい指。
千春の一番好きな、誠司の匂い。
誠司の、全部。
「あ、あ、……」
開いた足の間で、千春を貫いて揺れている愛しい身体。
「ああ……っ」
つま先が空を蹴る。
小さな悲鳴。
春の宵が静かに更けてゆく。
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