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「……こんなことをして」  急に、どうしたのかと眉を寄せると「理恵おばさんの話が出た後だと、罪の意識が半端ない」と誠司が、気まずそうに目を逸らす。  驚いて見つめ返した後で、千春は少し笑ってしまった。  誠司がムッとする。 「人の気も知らないで……。俺がどれだけ我慢してきたか、知らないだろ。ちょっと、マジでわからせてやろうか?」  覚悟しろよと、言葉と裏腹の優しいキスを繰り返して、誠司が律動を再開する。千春は素直にそれに応える。  本当に、愛していいのだ。  ほかの誰のものでもなかった。千春のものだと、誠司は言った。  愛しい身体に腕を回し、与えられる快楽に身を委ねる。濃密で幸福な歓びの中に深くまっすぐ落ちてゆく。  少し掠れた低い声。形のいい指。  千春の一番好きな、誠司の匂い。  誠司の、全部。 「あ、あ、……」  開いた足の間で、千春を貫いて揺れている愛しい身体。 「ああ……っ」  つま先が空を蹴る。  小さな悲鳴。  春の宵が静かに更けてゆく。

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