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【13】-6

 誠司さん……。  声にならない小さな囁き。伸ばした腕を誠司の首に回す。律動が速くなり、小刻みに突き上げられて短い喘ぎ声を上げる。 「あ、あ、あ、……」  ギシッと、古いフレームが小さく鳴いた。 「あ、あぁ……、あ……っ」  深く抉られながら両の乳首を摘ままれると、緩く勃ち上がっていた千春の中心がビクリと震えた。刺激を受けるたびに、それはしっかりと芯を持ち始める。 「あ、あぁ……、あぁ、ん……」  誠司の動きが速くなり、次に急に緩やかになった。奥まで深く、長さも太さもあるものを埋め込むように腰を進める。 「ああ……、あ、は……っ」  ギィ……、ギィ……、と、距離のあるストロークに合わせ、家具が軋みも緩やかになる。硬くなった千春の陽徳が、ゆっくりと前後に揺れ動く。  誠司が腰を曲げ、千春の舌を求めてきた。 「ん、ふ……」  あの日を境に誠司は千春の部屋に泊まらなくなった。千春はそれを、自分の(よこしま)な想いが誠司に伝わったからだと思った。  そして、そのことを考えるのが怖くて、忘れたふりをした。  自分の狡さへのうしろめたさと、それでも誠司を失いたくない一心とで、千春はそれまで通り、無邪気な従兄弟の顔を必死で演じ続けたのだ。 「千春……」  差し出した舌を強く吸い上げてから、誠司が千春を抱きしめた。  ギシリッ、とベッドが大きく軋む。  奥まで誠司のもので満たされ、それでもまだ、さらに深く、抉るように、誠司は活塞を繰り返す。深くつながったまま揺らされる。 「千春……っ」 「あぁ……っ、あ、あ、あああ……っ!」

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