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第60話

慌てて目を逸らすように顔を上げれば、先程とは一転、いささか嵬仁丸の顔がしょげているように見える。 「思っていたのとは違うとは……不快であったのか?」 「えっ!あっ、そうでない。おら、獣の交尾しか知らんから」 慌てて先程感じたことを伝える。 「人の交わりはこういうもんなん?おら(なん)も知らんから……」 「獣たちにとって子孫を遺すための行為は、無防備になり敵に襲われる危険も孕むものだ。故に、なるべく早く終えねばならん。人はそのような危険をもうとうに忘れているからな。 だがそうだとしても人の交わりなど関係ない。これは私と佐助だけのものであろう?私はお前にしたいことをし、してやりたいことをする。佐助もそうすればよいだけだ」 「うん」 そうじゃった。たった一人の人狼の生き残りと番うのは同じ雄のおらだもの。何かと同じであるわけも、その必要もない。 「だが、本当に番うのはこれからだ。なるだけ丁寧にするが最初はいくらか苦しいかもしれぬ。耐えてくれるか?」 甘えるように鼻先をちょんと合わせてくる。精悍な男前にそんな可愛いことをされてきゅんとする。 「うん。おらだってちゃんと嵬仁丸様と繋がりたいんじゃもん」 本当はこの棍棒(こんぼう)のような嵬仁丸のものを自分の体がちゃんと受け入れられるのか少し不安はある。でもこれほどまでに望まれているのだ。しっかり受け止めて、嵬仁丸の番になりたい。 手を伸ばし、そっと嵬仁丸の欲情したものに触れるとそれはびくりと跳ね、嵬仁丸から甘い吐息が漏れた。 「すごい熱うなっとる ……」 そしてまさしく棍棒のように硬い。片手では握り切れぬそれに両手を這わせると、先端から熱い淫液が溢れてきた。 あ、気持ちええんかな。 そう思って嵬仁丸の顔を窺えば、また黄金色の目がぎらぎらと光り始め、喉からはグルルルルと呻り声が聞こえてきた。 また体を持ち上げられたと思ったら、あっという間に寝床の上にうつ伏せにされた。そして腰をぐいと引き上げられる。大きな手で両の尻肉をむにとつかまれ左右に割り開くようにされれば、秘所が嵬仁丸の眼前に晒される。 この格好は恥ずかしいと腰をもじもじ揺らしたが、すぐにそんなものを吹き飛ばす衝撃が襲ってきた。 ぬるり。暖かく濡れた感触。 「ひゃん」 恐る恐る後ろを窺えば、嵬仁丸がその美しい顔を自分の尻の割れ目に埋め、後孔を舐めている。 「そ、そんな……ひゃ」 逃れようと足掻いたが、屈強な嵬仁丸に太刀打ちできるはずもなかった。 それにしても自分のそんなところがこんなに敏感だとは知らなかった。熱い舌が行き交うたびにむずむずし、ひくついているのが自分でもわかる。女ではないのだから、自分がそこで嵬仁丸を受け入れねばならぬこと、きっと嵬仁丸はその準備をしているのだということも薄っすら分かった。 せっせと舐め解す嵬仁丸の舌が初めはくすぐったくむずむずするだけだったのが、だんだん腹の中にもやもやとしたものが溜まり、体の力が抜けるような感覚も湧いてきた。固く閉じていたそこが少しずつ緩んでくる。それを待っていたように嵬仁丸の指が中に入ってきた。 「ふぁっ……んん」 「辛いか?」 佐助は首を横に振る。辛くはない。変な感じがするだけだ。入口を滑める舌が這い、中にたっぷりの唾液が注ぎ込まれるうちに、佐助のそこは指が蠢く度にくちゅくちゅと淫らな音をさせ始めた。入口を押し広げるように動く指が時折びりりと強い刺激を運んできて、その度に佐助の背中はびくんとしなる。 それに気付いた嵬仁丸がその源を探るように指を動かし始めた。 「は、はぅっ」 背中に覆いかぶさってきた嵬仁丸が佐助の顔を横から窺いながら問う。 「ここに触れると何か感じるのか?」 「あっ、あっ」 刺激が強すぎてうまく言葉が出ず、潤んだ目で嵬仁丸を見返してこくこくと頷いて見せる。 「そうか、ならば苦痛だけを与えることにはならずに済みそうだな」 ほっとしたように呟いた嵬仁丸に、後孔を開くのとは反対の手で包み込むように佐助の中心を握られる。そこは先程熱を放ったばかりというのに、ぴんと勃ち上がり(よだれ)のようにぽたぽたと蜜を零していた。

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