「ん……嵬仁丸様……早う」 目元を赤く染めた佐助が息を乱してそう漏らすと、嵬仁丸は佐助の体を軽々と持ち上げ胡坐をかいた自分に向い合せるようにまたがらせた。 これなら腿にも肩にも負担がかからぬであろう。それに佐助の顔がよく見える。 「私が支えるからお前は力を抜いていていいぞ」 こくんと頷く佐助の腰を掴んで浮かせ、後孔に己の屹立の先端をぴとりとあてがう。 「あ……ん……早う……」 「ん？なんだ？」 「もう、意地悪せんで……早う、おらの中に……これ、頂戴」 切なげな顔をした佐助が手を伸ばして嵬仁丸の剛直に触れる。 「もう腹ん中が疼いてたまらんの……」 その言葉を裏付けるように入口はひたひたと屹立の先端を誘うように蠢いている。 お前はこんなときも、思ったままを正直に言葉にする。それが分かっているから余計にこちらも煽られる。ああ、私ももうお前の中に入ってお前に包まれ、お前を再び抱ける喜びを味わいたい。 嵬仁丸は佐助の顔をじっと見ながら、ゆっくりとその体を下ろし始めた。 「あ、ああぁ……」 十分に柔らかく解されたそこは、滑らかに嵬仁丸を飲み込んでゆく。佐助の目の焦点があやしくなりやがてゆっくり瞼が閉じられた。眉を寄せて感じ入っているその表情に嵬仁丸の欲情も焚きつけられるが暴走してはならないと自分に言い聞かせる。 「佐助……お前の中は熱いな……お前は、久しぶりで苦しくはないか？」 佐助はゆるゆると首を振る。 「あぁ……嵬仁丸様……どんどん深(ふこ)うなって……」 掴んだ腰をぐっと引き寄せ最奥にまでこじ入れれば、佐助の背がビクンとしなり、その口からは小さな叫びが漏れた。 「大丈夫か？」 くたりとこちらへ倒れこんできた佐助は嵬仁丸の肩にぺたりと頬を付け、喘いでいる。 「無理するな、止めるか？」 佐助は顔を付けたまま首を振った。 「違う……気持ちがええん……なんか、もう、おかしゅうなりそうなん」 久しぶりだからか、それともこの格好はいつも以上に深くつながるからか？ 試すように佐助を支えたまま自分の腰を回し揺らせば、「あああっ……んんっ」と声を上げるその口元はだらしなく緩み、瞳は恍惚を浮かべ始めた。 ああ、なんという……。 その扇情的な顔に煽られ、自制の箍(たが)が外れる音が聞こえた気がした。 噛みつくように口付け、長い舌で口内を奥深くまで犯しながら、腰を掴んだ佐助の体を上下に揺する。 佐助の感じやすいところを己の滾るもので擦るようにしてやると、佐助の体はびくんびくんと素直に反応を示し、内側をきゅうきゅうと締め上げてくる。 「ん……んっ……んんんーっ」 佐助は、快感にあげる鳴き声すら塞がれた口から貪られ、嵬仁丸の肩に縋りつくのがやっとだ。 佐助……佐助……愛しい私の番。 ああ、こうしていると、あの日が来る前、ほんの少し前までの日常に戻った気がする。穏やかに過ぎてゆく毎日の中で、私はお前のことが好き過ぎて、幼い獣の子らにすら小さな嫉妬を繰り返し、お前に呆れられたり窘められたり……。だがお前はその後で必ず、私を両手で抱きしめてくれるのだ。そして夜毎に睦み合う時も、私の強すぎる欲情を大らかに受け止め「愛されとる証拠じゃもんね」と笑ってくれるから、私はついついお前に甘えてしまって…… 夢中で貪っていると、佐助が首を左右に振って嵬仁丸の唇を逃れた。ひゅっと音を立てて空気を吸い込む。 「は、激しゅうて……息が、足りんの……あっ、ああっ」 嵬仁丸の肩を掴んだ佐助の手に時折ぎゅっと力が入る。触れてもいないのに佐助のものは、透明の蜜をとぷとぷと溢れさせている。 「ああ……嵬仁丸様……嵬仁丸様……」 目を潤ませ惚け切った顔で何度も自分の名を呼ぶ佐助が可愛くてたまらない。 私は欲深いな……生きていてくれればそれでいいと思ったのは偽りではないが、これからもずっとこうしてお前を抱いてこんな顔をさせてやりたい。 やがて佐助の体ががくがくと震えだした。 「あっ嵬仁丸様、ああっ、嵬仁丸様、く……るっ」 下から腰を突き上げ、佐助の奥深くを抉(えぐ)ると、佐助は甘い叫びをあげながらのけ反り、白濁を吹き上げた。絶頂と共に咥えこんでいる熱棒をぎりりと締め上げ、嵬仁丸の喉からもくぐもった呻きが漏れた。