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第4話

「もうイッたのか?アユ厶。少し早くなったんじゃないか」  からかうようにそう言いながらも、ヒロは俺のイイトコロをグチュグチュと弄る指の動きをちっとも止めようとしない。それどころか、前立腺の周囲、上下左右に激しく動かすばかりだ。 気持ちよすぎて勝手に腰が動き、口を閉じれなくて涎が口の端を汚している。 「ァ、だってナカ触られるの久しぶりだったからぁ、あっ、ああっ!待って、待ってェ!今触られたらまたすぐイッちゃう!」 「いいよ、何度でもイッていいよ」  一人だけ先に何度もイカされるのはあまり好きじゃないのに。申し訳ないことに、ここ最近はずっとそんな関係だったけど。  でも俺は、俺ばっかりが気持ちよくしてもらうんじゃなくて、互いに気持ち良くなれる対等な『セックス』がしたいんだ。 「やだ、ヒロ、ローション使って……も、俺のナカ入ってきてよぉ」 「ん?ローションなんか使う必要ないくらいビショビショだぞ?」 「じゃあもう入れてよ!」 「ダメだよ、もっとよくほぐさないとアユムのここが傷付くだろ?」  叫ぶように強請っても、返ってくるのは妙に冷静な言葉で。意地悪な口調で激しく攻め立ててくるくせに、言ってることはひどく優しくて、その飴と鞭加減にも心が震える。  俺が記憶を失くしてる間は、『アユム』にこれ以上嫌われたくないっていう殊勝な態度で、おそるおそる手探りで俺に触れていたくせに。 「っンン……!」 「アユム、何か言いたそうな顔してるな」 「ふっ……ヒロ、キスして……?」 「いいよ」  俺が息も絶え絶えにキスをねだると、ヒロはやたらと嬉しそうな顔で近付いてきた。 「ふあ……」  ヒロがくれたのはさっきみたいな情熱的なキスじゃなくて、触れ合うだけの優しいキスだった。顔が離れたあとにヒロの顔を見ると、ヒロは眉を下げて少し苦笑していた。 「アユムがキスをねだってくれて嬉しいよ。ずっと拒否られてたからさ」 「あ……」  ヒロとキスをしたら、催眠が解けて記憶が戻ってしまうから。無意識下でもヒロのことを思い出したくなかった俺は、フェラや素股は許しても頑なにキスだけは拒んでいたんだった。  そのことはもう、さっきヒロには話したけど。 「俺はたとえケンカしていても、キスをすれば気持ちが通じると思ってたんだ。毎回そうやって仲直りしてきただろ?俺たち。……それなのに今回は全然キスさせてくれないからさ、完璧に嫌われたんだと思って毎日凹んでたよ」 「……もう、拒否したりしないよ……」 「ん、だと嬉しい」 「それと、今のキスで分かっちゃったんだけど」 「ん?」  キスをしたら気持ちが通じると言ったヒロの言葉は、案外本当だったのかもしれない。 「ヒロはまだ、俺が出ていくかもしれないって不安なんだね……」  俺の言葉を、ヒロは困ったような表情で肯定した。

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