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第5話
ぐぽぐぽと乳首を後ろから指で胸へと押し込まれ、まるで挿入からの抽挿のような乳首攻めに加えて椅子に座るハーキュリーに背面座位の体制で左右に開脚して座るヒエラが啼いた。
「はーきゅ♥️はーきゅ♥️ここはやら♥️ゆるして♥️はずかしいれす♥️」
ハーキュリーは乳首攻めに集中しているらしく、ヒエラに陰茎を挿入しているが腰を動かしてはいなかった。乳首を犯してくる指の律動に合わせてヒエラが尻を微かに振るが、ハーキュリーがその動きに乗る様子は無い。場所は館三階、二人の寝室にある中庭を一望できるバルコニーだ。熊とネズミの庭師が手入れをしているのがよく見え、ヒエラはいたたまれないと身をよじらせた。やがてハーキュリーは乳首挿入に飽きたのか、今度はたわわな胸筋全体を優しく揉んでヒエラの胸を楽しみだし、ハーキュリーの硬い体毛に胸を愛撫さえてヒエラは身をすくませた。
「ねっ♥️はーきゅっ♥️ほんとにっ♥️」
外は嫌だと訴え続けるヒエラに、ハーキュリーは手を休める事はしないままやっと返事をした。
「これで根をあげるなら、お披露目式なんてとても無理だな」
淡々と言われて、ヒエラは慌てたように反論した。
「それとっこれとはぁ♥️」
「違うというならどう違うんだ?」
「ぜんぜんちがっ♥️ちがう♥️あれはしなければいけないものれっ♥️これはしなくてもっ♥️いいものですぅ♥️」
「......お披露目式は義務でするものでは無いと言っているだろう」
「れもっ♥️でんとうならぁ♥️んひぃぃいんっ♥️♥️♥️」
胸を愛撫していた手がやがてまた乳首に戻り、今度はつまんでこすりあげてきた。たわしで乳首をいじめられているかのような刺激にヒエラが小さくのけ反って啼き、いっそう激しく腰を振った。下半身から濡れた音が響いてくるが、ハーキュリーは辛抱強くヒエラを諭す。
「ヒエラ、お披露目式は愛し合う二人がお互い伴侶に愛されて幸せだという姿を見せ、皆はそれを祝う式だ。義務でされたら興ざめだし、その方が俺の名の傷になる」
だが、ハーキュリーの言葉にヒエラは絶句した。
ハーキュリーは美しさ逞しさが自慢の獅子から見ても完璧な雄だ。ヒエラはその雄に望まれて雌にされた雄獅子である。獅子にとってつがいとは雌の自慢の飾りであり、雄にこの雌であれば飾りになっても良いと受け入れられる事であった。ハーキュリーは誰もがうらやむ雄であるが、雌としてのヒエラがハーキュリーに釣り合っているとは思えない。なにせ雌となってからただひたすら毎日セックスしているだけなのだ。こんなものはつがいではない。ヒエラはどうしてもハーキュリーとつがいになった実感が欲しく、そしてハーキュリーにこの雌を選んで良かったと思われたい。現状ではただ性欲が超旺盛の熊族につきあえる頑丈な穴を捕まえたから毎日楽しんでいるとしか思えず、そうでは無いのだと思いたいのだ。その為にも、獅子の雌としてもハーキュリーの名を落とすような事はできず、お披露目式をなんとしてでもやりたいのに、逆にこのヒエラの意気込みがハーキュリーの名に傷をつけるという。ハーキュリーの言葉で心にヒビが入った思いをしそうになったが、熱心に乳首を強く擦り続ける手の刺激であまり感情がまとまらなかった。
「まって♥️ね♥️まって♥️はーきゅ、はーきゅ♥️もしかしてだいじなはなししてないですか♥️わたしたち♥️えっちまって♥️えっちいったんまって♥️なにもかんがえられないんです♥️んひぃぃいい♥️またぁ♥️ちくびぎゅうぎゅうしないれぇえ♥️なにもれないのっ♥️ちくびそんなにいじめてもっ♥️なにもれないからぁああ♥️」
「お前とのセックスより、大事なものは無いから気にするな」
「んひぃいん♥️」
考えようとするヒエラの邪魔をするかのように、やっとハーキュリーが腰を振った。
「おっ♥️きた♥️おすのつきあげっ♥️んおっ♥️まってたぁっ♥️」
「ヒエラ、乳首は自分で攻められるか」
「はひぃっ♥️ちくびっ♥️みるくだせないちくびっ♥️じぶんでおしおきしまひゅっ♥️はーきゅはがんがんこしふって♥️ひえらのおまんこ♥️かわいがってくらさい♥️はーきゅのおちんぽがめすすいっちおしてくれるの♥️おなかのおくがずっとまってますぅ♥️」
ちょっとでも理性があると羞恥を訴えてくるが、ハーキュリーの腰が動けばあっというまに全てを忘れてだらしない顔をさらし、陰茎に串刺された尻を振って喜ぶヒエラにハーキュリーは満足そうな吐息をついた。
「おっ♥️んおっ♥️ふおぉおっ♥️」
尻ごとヒエラの脚を抱えたハーキュリーが、ゆっくりヒエラを持ち上げた。乳首をつまんだ刺激でヒエラの肛門は強くハーキュリーの陰茎にしがみついていたが、なんの枷にもならないとばかりにヒエラの腹からハーキュリーの陰茎が出ていく。時おり戯れるようにヒエラの前立腺を押し、肛門を伸ばすように回転させ、ハーキュリーのいたずらにヒエラは乳首を攻めるのを忘れたのか頭を抱えて啼いた。ヒエラは獣人の中では大型になる獅子の、それも騎士だった雄だ。決して軽い事はないのだが、ハーキュリーはヒエラを軽々と持ち上げてみせ、ハーキュリーに雄を思い知らされたヒエラは、この雄から雌と望まれた悦びを覚える度に体がイッてしまい、感覚がどんどん過敏になるのが止まらない。
「ヒエラ、乳首はどうした」
低く笑うハーキュリーの言葉をヒエラはもう理解できない。
「はーきゅ♥️ひゅごい♥️お♥️んおぉ♥️すきっ♥️すきぃ♥️♥️♥️」
雄を見せつけられればられるほど、ヒエラは雌としてイキ続け、全身がピンと延び震えるのが止まらなかった。
「気持ち良さそうでなによりだ」
「お♥️んおぉぉぉおおおおおおおおおおお♥️♥️♥️」
持ち上げた分を一息にまた落としてヒエラの腹奥を突き抜いた。何度侵入しても肛門ほどには緩まないヒエラの結腸が、ハーキュリーの先端をきつく咥えて歓迎する。
「ヒエラ、恥ずかしいのでは無かったか。そんなに大きな声を出すから庭師達がこっちを見たぞ」
「おっ♥️おほっ♥️くぅうっ♥️」
実際庭師達がこちらを見上げて手を振ってきたので、ハーキュリーは応えるようにヒエラをまた抱えて揺さぶって見せた。ちゅぽんちゅぽんと亀頭に吸い付いてくる結腸を突いたり抜いたりするのは気持ちが良く、幹を締め付けてくる肛門や腸もハーキュリーを癖にさせ、なにより頭を抱えて身を捩り啼くヒエラが愛らしくてたまらない。
「ヒエラ、ヒエラ」
「あうぅ♥️」
後ろからハーキュリーがヒエラを抱えるのを止めて抱き締めた。頭を抱えるヒエラの腕を外させて頬に軽く噛みつき、ヒエラはそれだけでもイッた。
「なあ、ヒエラ。お前わかっているのか、熊の愛情表現」
わかっていないのだろうな、という声でハーキュリーがヒエラに問う。
「あぁっ♥️あひっ♥️んあぁあっ♥️あうぅ♥️」
結腸に陰茎を差し込まれっぱなしのヒエラがのけぞって震えつつも、ハーキュリーが自分に何か言ってるようだと必死に理解に努めたのだが、質問しておいてハーキュリーはヒエラに頭を使わせまいとするかのように頬やうなじを甘く噛んでくる。
「ヒエラ」
そのくせ答えろと言わんばかりに下からまた突き上げてきた。
「あひゅっ♥️あ♥️わ♥️わかんないっ♥️なに♥️すれば♥️いいれすかっ♥️」
無体なハーキュリーの仕打ちをいじわるだと甘く詰る余裕も無いヒエラは、どうにかこうにか知性をかき集めて返事をした。
「別に何をしろという話では無いから安心してくれ」
「あぅ♥️」
「セックスだ」
「はひ?」
「俺たちの愛情表現は、セックスだ」「つまり今してるこれだな」
「......はぇ?」
まるで白痴のような顔でヒエラがぽかんとした顔になり、そうなるだろうなとハーキュリーは苦笑した。
いわゆる猫科の獣人達にとってセックスは愛情表現ではない。セックスはただの気持ちの良い行為、それ以上でもそれ以下でもなくその意識が最も酷いのが猫達だ。あれらは放っておくと興が乗ったとかそんな理由で往来だろうが親兄弟だろうが構わず唐突に乱行しだすのも厭わない。おまけに猫らは自分達が柔らかく愛らしく魅惑的だと自覚している。下手をすればその気になった猫に逆らえる他種族などそうはいないとわかって巻き込んで来る。最も猫に耐性があるのは、同盟関係の犬族だろう。概ね発情した猫らを犬達が半ギレで、バケツに汲んだ水を撒き止めさせるのが猫と犬族の集落や国だと日常だと聞く。獅子はその猫ほどでは無いが、やはり性行為を愛情表現のひとつとしては認識していない。獅子達にとっての愛情表現は許容だろう。この雌だからこそ飾りとなるのを受け入れ、この雄だからこそ護り支えるのを受け入れるのだ。獅子の愛し方でいえば、ハーキュリーはヒエラに愛されていると深く実感している。ヒエラはこれまでずっと、ハーキュリーの雄を受け入れ悦んでみせてくれた。ヒエラがハーキュリー達熊の生活を受け入れれば受け入れるほど、自分はヒエラに愛されているのだと、ハーキュリーはいつも嬉しく思っていた。その分をハーキュリーは返しているつもりなのだが、どうもそこがヒエラに受け止められていない。妙に有名な熊のお披露目式に固執していて、ハーキュリーを見ていない。愛情の天秤は釣り合っていないといつかは瓦解するものだ。ハーキュリーとしては、お披露目式よりも新婚休暇でなんとしてもこの天秤を釣り合わせたかった。
「ハーク?何を言っているのですか。セックスは誰とでもできるんですよ」
あまりの事にヒエラは真っ最中だというのに我に返ってしかもひいてしまうが、ハーキュリーは苦笑を深めるだけだった。
「知らないのか。他の種族の事はそこまで知らないが熊は愛し合う者としかしない」「だからこそのお披露目式なんじゃないか」
「......う、うそぉ」
「なんだと思っていたんだ、お披露目式」
「気持ちいいパーティー」
「良く言われる」
「ひんっ♥️」
戯れるように下から突き上げられて、弱冠ひいていたヒエラがまた啼いた。
「あ♥️あひっ♥️これっ♥️いまわたしはーきゅにすきっていわれてるのっ♥️」
「そうだな」
「いままでもっ♥️ずっとずっと♥️はーきゅわたしにすきっていってたの♥️」
「そうだ」
「あ♥️あ♥️あ♥️そんなっ♥️そんなぁあああっ♥️」
後ろからヒエラを抱き締めつつハーキュリーは緩く下から突き上げ続け、ヒエラはセックスが愛情表現だと認識すればするほど突き上げられる度にとろけたようになっていった。
「はーきゅ♥️はーきゅ♥️すき♥️すきれす♥️ねっ♥️そとやら♥️おそとやっぱりやら♥️ごめんにゃひゃい♥️おひろめしきもやらぁあ♥️」
「お前ならそう言うはずだとずっと思ってたんだ」
先程とは違う理由で外を嫌がり出し、お披露目式も嫌だと言うヒエラにハーキュリーはようやく満足そうな笑顔を浮かべ、ヒエラを串刺したまま、また尻ごと脚を抱え上げて立ち上がり、庭師達が手を振っているのがちらりと見え、一度だけハーキュリーは片手を上げて振り返すと喘ぐヒエラを抱え直して寝室へ戻った。
猫に類する種族で有名なのは性の奔放さと、嫉妬深さだ。これと決めた相手の愛情が他へ向くのを全く許さず、独占し隠したがる。獅子のヒエラが、熊を知っていればお披露目式などもっての他なのは想像に難くないのだが、ヒエラはお披露目式をしたがり続けていた。これがどれだけおかしいことか。ヒエラ自身が全く気がついていなかった。
「ヒエラ」
一度ヒエラから陰茎を抜くと、ハーキュリーはそっと寝台にヒエラを寝かせ覆い被さった。
「ハーク」
嬉しそうにヒエラがハーキュリーにしがみつき、ハーキュリーもヒエラを強く抱き締めた。
「ハーク、ハークごめんなさい」
頬をよせてささやくように謝るヒエラにハーキュリーも同じように頬をよせた。
「いい。気にするな。俺もすぐに俺たちがすれ違ってるとわからなかった」「種族が違うのだから愛し合い方も違う。わかっているつもりでちゃんと理解できなかった」「わかりあえて今俺はなにより嬉しい」
「ハーク」
うっとりとヒエラはハーキュリーを見つめた。
「セックスが愛だとわかってもらえて、ようやく俺も思いきりお前を愛せる」
「......え?」
それまでも甘い気持ちが霧散するような事をヒエラは言われた気がして、聞き返した。
思いきり?
思いきりってなに?
今まで違ったの?
これまでの性行為の数々を思い返し、そんなまさかとヒエラは祈るような気持ちでハーキュリーを見上げた。
「なんで四六時中隙あらば張り型を差し込んでいないといけないと思っているんだ」「なんでセックスの為の準備や運動に人の手まで必要とすると思っているんだ」
バカだなと、甘い顔でハーキュリーは言う。
「熊に愛されたらセックスで壊されると思えって言葉を知らないのか」
優しく優しく、ハーキュリーはヒエラのたて髪をすいた。
ヒエラは涙目で首を横に振った。
「そうか、まあ身をもって思い知ってくれ」
ヒエラは、思い知らされた。
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