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第4話
心が軽くなった気がしても
またいつもと同じ日常はやってくるもので
僕の気持ちとは裏腹に
相も変わらず好意の言葉と悪口は続いた。
昨日は心が軽くなりすぎてしまった。
だから余計にしんどくなった。
早く、早く1人になりたい…。
授業が終わり昼休みになる。
いつもより少し足速に裏庭へ向かう。
いつもより速く歩いてるはずなのに
中々辿り着かないことに苛立ち
走っていつもの場所へ向かった。
裏庭に辿り着いたので
いつものベンチに座ろうと足を向ける。
昨日の狼さんだ__。
彼がベンチで横になり眠っていた。
僕の心には
狼さんに会ったから
今日は余計にしんどくなったんだ
という八つ当たり的な気持ちと
また会えた喜びの気持ちが
相反して存在した。
__でも。
この場所を別の人に知られてしまった。
1人きりにはなれないから
別の場所を探そう。
そう思い裏庭から離れようと歩いた。
いや、歩きだそうとした。
ギュッ
お弁当を持っている方とは
反対の手を掴まれた。
今日はもう分かっている。
こんなことをする人物を。
恐る恐る振り返ると狼さんが
寝ていたベンチから起き上がった。
「横座れ」
そう言われた。
こんなに顔の整った人と一緒にいる所を
他の人に見られたらまた何か言われる。
そう分かっていながらも
彼を拒否することが出来ず
少し間を開けてから素直に横に座った。
横に座れ、と言われたので
何か用があるのかと思い
ジッと座って待っていると
狼さんは不思議そうにこちらを見ている。
「弁当食べないのか?」
狼さんが横にいるから食べずらいんです、
と思いながらも弱気な僕は頷き
お弁当を広げて食べ始めた。
今日のお昼ご飯は自分1人ではないのに
静かな空間で居ずらい気持ち半分
疲れた心が浄化される気がした。
無言でお弁当をひたすらに食べ続ける。
いつもは泣きながら食べるから
予鈴ギリギリに食べ終わるのに
今日は少し時間ができた。
けど隣に狼さんがいるから
自由に立ち歩くことも
チキンな僕には出来なかった。
僕の隣にいる狼さんは
目を瞑り静かに眠っている。
お弁当食べないのかな?
とかそんなことを平和に考えながら
僕は予鈴を待った。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴ったので
授業を真面目に出ないと
特待生枠を外されてしまう僕は
オドオドしながらも狼さんに声をかけた。
「あの…僕は授業に行きますね。」
「あぁ…。」
そんな短い会話にも心弾ませていると
「おい、明日も来いよ。」
そう言われ僕の手を掴むと
掌にミント味の飴を置いて
またベンチに寝転がった。
また明日も会える。
明日のお昼に会えることを楽しみに
頑張れるんだと思うと
更に心を弾ませながら
足速に授業へ向かった。
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