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第3話

だけどじゃあどう言うつもりだと言いたい。言いたいけど聞く相手じゃない。こうなると嫌でも続けてくるだろうな。分かっているのに抵抗せずにはいられない。 「逃げないわけ?」  こ、こいつ本当どう言う性格してるんだよ。三年いても全然慣れない。 「離せって、本当に誰か来たら……」  困る、そう言いかけて唇を塞がれた。久しぶりの感触は手加減なんてしてくれない。直ぐに歯列を割って舌を持っていかれる。 「んっ……っんふ……ぁん……んん」  颯真の舌はオレを捉え好き勝手に動き回る。オレは身体をしっかり抱きすくめられていて腕すら動かせずにいた。彼にとってはキスなんて手慣れたもの。オレの抵抗なんて何の意味も持たないって、朦朧としていく意識の中で感じる。 「んんっ……やん……っんっ……」  流されるな……そう思っても身体から力は抜け、白っぽくなる頭の中。ちゅるっと濡れた音が耳をつき、息すらまともにさせてもらえない。どれくらいそうされていたのか分からない。ようやく離された時には、オレは自分の足で真っすぐ立てないでいた。 「久しぶりすぎて感じた?」  ニヤリと笑う目の前の顔。荒い呼吸で睨みつけるも言葉までは出てこない。 「お前の嫌はいいだろう?」  調子に乗りやがって。ようやく腕を振り上げた俺だが、呆気なく捕まれテーブルに縫われるように押し倒された。 「嫌だ……」  流石にこの展開はまずい。このままじゃ本当に好きにされてしまう。それでも力は歴然としていて颯真は器用に片手で俺を抑え込むと、身に着けていたネクタイを外しオレの両手を縛り付けた。冗談抜きで笑えない。しかし既に縛り付けられたオレは、目の前の顔が悪戯な笑みを浮かべるのを見つめる事しか出来ない。

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