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第29話 衝撃の告白。

 俺の前に突っ立ったまま、何か言いたげな様子でこちらを伺っている正臣が、写真をひょいと取り上げると隣のカウンターチェアーに腰を降ろす。 「瞳の色が薄いな、とは思っていた。でも、日本人だって元々色素の薄い人はいるだろ?!茶髪とか、茶色い眼の人もいる。元をたどれば外国の血が入っているのかもしれないけど。」 もう一度写真に写る二人に目をやりながら話すが、少し力ない様に思えた。 「うちに来るお客さんでも、そういう人いるよ。別に変な事だとは思わないよ.........。」 そう言ったが、本当は何処か引っかかるところもあった。正臣は純日本人の顔立ちで、奥さんのミキさんは目はパッチリ二重だけど、やっぱり日本人の顔立ち。それに比べると涼くんは...............。 でも、顔立ちなんて大きくなったらどんどん変わってくるだろう。いま、それを気にするって.............. 「..............昨日、ミキの口から云われた。涼はオレの子供じゃないって。」 「え.........?」 「大学の時、留学した先で付き合っていた男が居たらしい。そいつの子供なんだってさ。」 「は?」 「日本に戻って、寂しさを紛らわすために参加した合コンでオレにナンパされて........、その後妊娠が分かったんだ。」 「じゃあ、..........騙したって事?まさか、だよな?!」 「.........騙すつもりは無かったけど、血液型も一緒だしそいつは日系の奴で、涼も生まれて直ぐはそんなに違いが分かんなくて。」 「だって、一年だよ?!もう一年経ってんだよ、今更そんな事...................。」 俺は自分の事の様にショックを受けていた。 まさかそんな事があるなんて...。そりゃあ誰の子供かなんて、母親にしか分からない事だろうけど....。 「どうするんだ?昨日話し合ったのか?」 隣で俯く正臣に訊いてみるが、両手で顔を隠す正臣の肩が震えだした。 泣いているのかと、向き直って肩に手を掛ける俺。でも、すぐにそれは間違いだと気づく。 口元が大きく開かれると、はははははッ、という笑い声が聞こえだした。 「お、おい.............?」 気でもおかしくなったのかと心配になるが、正臣は視線だけを俺に寄越すとニヤッと笑った。 「バチが当たったな、オレ。」 そう云うと、椅子から降りて写真をスーツケースに戻す。ふわっと、衣類の上に落とす様にしてすぐにケースの蓋をバタンと閉じた。 「...............、正臣?!」 「散々、女遊びしてたからバチが当たったんだ。完璧に避妊できているって思ってたけど、あてにならないなって、何処かで諦めてミキと結婚した。諦めてってのは酷い言い方だけど、これでもう悩まなくていいのかと思って....。」 正臣からこんな話を聞かされるなんて思ってもみなかったが、心臓がドキドキする一方でどこかホッとしている自分がいた。 子供が血のつながりの無い子と分かって、正臣を縛り付けるものがひとつ消えた気がして........。 「お前、子供が出来た事悩んでたのか?」 そう訊いたが、本当は俺の方がショックを受けていた事を思いだした。あの頃、俺は自分でもどんな毎日を送っていたのか忘れる程で。只々ショックだった。同時に、これで完全に俺の中から正臣の幻影を追い出せると思ってもいた。 「風呂、入ってくる。」 突然そういうと、そのまま風呂場へ向かう正臣。 「おい、着替え!」 また、そのまま裸で出てくるつもりなんだろうか。こんな時にやめて欲しい。俺を刺激しないで欲しいと思った。 子供の事はどうするのか分からないが、取り敢えずここから出て行くんだろうと、それだけはぼんやりした頭で考える。 結局は、あいつら夫婦の問題だし、俺がとやかく言う事じゃない。それに、涼くんには非がない事だし。一番かわいそうなのは涼くんじゃないのか?

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