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第49話 怖いよ.....

 俺の中での区分けは3種類。 異性にしか興味の持てないヤツと、同性にしか興味のないヤツ。それに手当たり次第どちらでもイケるヤツ。 正臣の場合はどれ? 女は好きだろ?!男は.......? 俺しかそういう目で見れないって云ったけど、それってどの部類に入るんだろう。 頭を捻っても一向にスッキリしなくて。 「俺、コンビニに.....。」 そう云って一旦外へ出ようとする。が、「逃げんなよ!」と云ってまた腕を掴まれる。 「..........なんだよ、離せって!もう、正臣のいう事が理解できなくて、俺は頭が痛いの!!どうして今夜うちに来たんだよ!」 ちょっと言いようがなくて、子供がキレたみたいになっちゃったんだけど、正臣の俺の腕を掴む力が強くて怖くなった。 体力的に抵抗出来ないのは分かっているし、殴り合いなんてしたくはない。 「ミキがハルミの店に行ったって聞いて、焦ったんだよ。それに.......、オレの計画がミキにもバレたら困るし。」 「なに?計画って........。変な事企んでいるんじゃないだろうな。」 睨みつけながら云ってやると、正臣は少し力を緩めてくれた。 それから、はぁ~っと深いため息を吐くと、「女の名前を呼んだ訳じゃない。うなされたってのはホントだろうけど、それはお前の名前を呼んだんだと思う。ハルミ、ってさ。」そう言ってうな垂れた。 「.................は?」 「だからー、オレはお前の事ずっとヤラシイ目で見てたんだって!それを止めなきゃって、そこらの女と付き合ったけど、ヤる度にハルミの顔が浮かんで.........。結局ダメで、ひょっとしてオレはホモなんじゃないかって思ってさ。えっと、バイセクシャルっていうの?それを確かめようとしてゲイバーへ行ってみた。」 「................え!!!ゲイバー行ったの?!」 「そう、でもさ、声を掛けられてもキモイだけでエッチな事したいなんて思えないんだよ。」 「.......そりゃあ、正臣はノンケだから。」 「何件目かに入ったゲイバーで、オレみたいなのでも付き合える男が居るって云われてさ、可愛いからきっと気に入るって。」 「へ、ぇ.............」 なんだか嫌な予感がする。 「ハルミちゃんって子が居るから紹介しようか、って云われて。.............まさかお前の事だなんて思わなかったよ。」 - やっぱりか......... 俺はゲイバーでモテるのを喜んでいた。 調子に乗って美容師だって云ったこともあるし。どこら辺に住んでいるって話もしたかもしれない。 本名云わなきゃバレないってタカをくくってたけど.............。 逆に俺だって分っちゃうよな。男でハルミなんて名前。 「お前とは一年間会わなかったけど、斎藤がちょくちょく店に顔を出しているって聞いてさ、最近のハルヨシってどんな感じか聞いてみたんだ。そうしたら、ゲイバーで訊いたまんまのヤツじゃん。髪の色とか、.......」 「..............、まぁ、..................それは、...................」 「お前だってウソつきだよ。オレにゲイだって事隠していたんだからさ。」 正臣にそこまで云われたら、言い訳も出来なかった。 確かに、正臣の前でも斎藤たちの前でも、ずっと嘘をついてきたんだから。 「高校の時に云ってたら、どうなった?.....俺がゲイだって、ホモだって知ったら、お前たちはきっと離れていってただろ?!」 云いながら胸が苦しくなる。 あの頃の辛い記憶が蘇ってきて、俺ひとり居る世界が違っていて、みんなにハブられるのが怖かったし、何より正臣に軽蔑されるのは死ぬより辛かった。 「ハルミ..................、オレは、........離れたりしないさ。オレだってお前に対する気持ちを云えなかったのは、同じ事だ。怖かったんだと思う。」

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