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第51話 さあ、これから....。

   ふ、    くくくっ、   くっ くちびるだけのつもりだったのに、近づきすぎた身体は容赦なく相手を求めてしまい、ベッドに倒れ込むように抱き合った後で、正臣が急に笑い出した。 「な、なに笑ってんだよ」 身体を抱きすくめられて動けない俺は、目だけで訴える様に正臣を睨みつけると云った。 この状況で笑うところがあっただろうか?! 「あ、いや、ごめん。.........もっと早くに告白しておけば良かったなって思ってさ。」 目頭を押さえる様にして必死で笑いを堪え乍ら云うが、その口元はなおも笑っていた。 「お前な~、今それを云うなよ。せっかくウットリしていたところなのに.....。」 「だって、.......オレ、ハルミの事触りたくて必死でさぁ、あんなガキみたいな理由つけて扱き合ったりして、ホント、恥ずかしいヤツだよな。」 そう云いながら俺の髪の毛を指に絡めている。照れ隠しなのか何なのか.....。 「俺も、.......イヤとは云いながら身体はすっかり従ってたよな。正臣のこと受け入れてしまってた。」 「本当はもう少し徐々に攻めていこうと思ってたんだけど。ダメだな、ハルミの熱を感じたら止めらんなくなった。ひと月ぐらい掛けてハルミをオレのモノにしようと思ってたのに、一週間しか持たなかった。」 正臣は、今度は自分の頭に手をやりながら笑って云う。ひと月も此処に居座る気だったんだろうか?! 「そういえば、何か計画があるとか…、それって俺にも関係ある事?」 「…あるな。こうなったら大有りだよ。家族になるんだから。」 「へ?………か、家族?」 またしても突然の発言で、俺を困惑させる正臣。 一体何を考えているのか想像もつかない。 「オレは、ハルミの事は絶対に諦めないつもりだった。けど、ミキに涼を産ませた責任はあると思ってる。」 「自分の子供でもないのに…?」 「ああ、だからだよ。ひとりで身軽に生きる事も出来たミキに、愛した男の子供を残してやりたかった。それ程までにあの時のミキの心は病んでたから。」 正臣の言葉の端々に、ミキさんへの愛情にも似た想いが感じ取れると、俺は少しだけ焦った。 一年半という年月は、確かに二人の間に存在する。涼くんを挟んで並ぶ姿も想像できる。 「俺、正臣と一緒に居てもいいの?」 その声は、静かな湖面に広がる波紋の様に、この部屋の空気を震わせる。

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