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第67話 溶かされて。
部屋のカーテンを開けて白々と明ける空を見ていると、言いようのない寂しさを覚えた。
そこに眠る大好きな男の寝顔を見れば見る程、その寂しさは俺の中に充満してくる。
ミキさんと正臣の関係も今一つ理解に苦しむが、それでも、正臣はミキさんと涼くんにとっては大切な家族で、無くてはならない存在だと思う。たとえミキさんが離婚を考えているとしても、それは何を思っての事だったのか..............。
「ぁ、ハルミ?!..........起きてたんだ?」
眠そうに目を擦りながら、枕を掴んで上体を起こそうとする正臣が云った。
髪の毛がすべて立っていると、流石のいい男もちょっと残念。
でも、俺としたらそこも可愛いんだけれど。
「服、乾燥してきたから。........まだ早いから、もう少し眠っても大丈夫だよ。仕事、あるんだろ?」
「うん、でも、今日は午後からの出勤なんだ。出張で休日返上したから、その分調整しろって云われてさ。」
「へ、ぇ、じゃあ、ゆっくり出来るんだな。」
「ああ、」
俺はなんとなく心に宿した寂しさを埋めたくなって、ベッドの正臣の元へと寄る。
正臣はそんな俺の腰を引き寄せると、そっと身体に腕を回した。
その後は、流れる様に正臣の手に堕ちる俺。
キスをされ、頬から耳朶まで舌でなぞられて、疼くからだの芯をそっと溶かされる。
正臣の胸の中は温かい。ずっとこうしてこの場所で眠れたら................いいのに。
- - -
Yシャツに袖を通し、いつもの様に髪の毛もセットされた姿を目に焼き付けると、俺は部屋を出た。
正臣は一緒に出ようと云ってくれたが、それはちょっと恥ずかしい気もして。
別に男と女じゃないし、変に勘ぐる人もいないだろが、俺は一足先に部屋を出ると大通りを抜けて家への道を歩いた。
少し身体が重くて、部屋に着いたらまた眠ろうと思いながら、エレベーターに乗り込む。
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