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 男は僕を布団に組み敷き、丁寧に着物を除いた。  強い男の髪が首筋を擽る。  男の唇が僕の首の、薄い皮膚を吸い上げた。  びくびくと甘い痺れが腰を貫き、僕は下唇を噛む。  蛇行して男の頭が下へ下がって行く。  肋を撫でられ、包まれ、左乳首に男の唇が行き着く。  心臓が疼く。  乳輪をなぞり、膨らんだ米粒を舌が掬い上げる。  しとどに濡らされ、男の健康な前歯で噛まれると、股間につ突き抜ける痛みがあった。  射精とは違う。  僕の陰茎が勃起するのを手伝う様な痛み。  「―――!!」  胸ごと乳首を吸い上げられ、僕は思い切り腰を突き上げた。  男の開けた着物の胸元に、陰茎の蜜が塗りつけられ、とろりと糸引いたのが、開いた障子から差し込む月明かりに煌めいた。  こんな行為は、知らない。  「ぅぅ…ぁぁ…」  僕は気違いじみた呻きを漏らし腰を揺らした。  彼の指が犯している箇所はいつもと同じ場所だ。  彼の指は、僕の後腔を寛げ、揉み解す動きで僕を犯した。  日中の乱暴さは無い。  非常に緩慢な動きで僕を解いて行く。  足先が震え、覆い被さる彼の身体に縋った。  汗の匂い。  父を思い出した。  解された僕はぐちぐちと卑猥な音を鳴らし始め、流石に羞恥を感じて、膝頭を擦り合わせた。  「杳」  唇が耳朶を食み、耳裏を舐める。  僕は短く息を吐く。  「杳」  彼の唇がそう呟く度に胸を剔る何かが在った。  しかし、其れが何の痛みなのか解らぬ内に物質的で、乱暴な痛みが僕を引き裂いた。

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