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躯を丸め、彼の胸に縋って泣いた。
僕は泣くことしか出来なかった。
「ヨウ」
彼の指が僕の肩に触れる。
冷たい指先。
「……貴様が泣いて何になると言うのだ」
しわがれた声に僕は涙も鼻水も涎も其のままに彼を見上げた。
「泣く子供には敵わん」
彼は腫れた眼を曝したまま、少し笑った。
アナタガ、
僕は唇を開き、その首筋に縋った。
汗と涙の匂いがした。
アナタガキエテシマウカト
言葉にすれば其れは本當に成って仕舞いそうで、僕は又、溢れたそうに張った涙を堪えねば成らなかった。
「俺が消えるのは厭か」
イヤデス
「俺はお前を拾っただけの男だ、何を谺わる」
ワカリマセン、デモ、キエルノハ、厭デス
僕は忙しく彼の背中に僕を書く。
ひとつひとつが僕の言葉。
又、はらはらと涙が零れ、彼の絣の着物を濡らした。
其れは布地に染み込み、彼の肩を濡らすだろうか。
「又、泣くのか」
彼は僕の肩を掴み、そっと引き剥がして笑った。
折り畳まれた足を伸ばすと、彼は独逸人の様に足が長く、長身だった。
其の長身が、襖の奥、僕の知らない部屋の方に消えて、僕は呆れられたのではないかと不安に成る。
将校殿は直ぐに泣く女々しい男児は好まないだろう。
何時も唇を真一文字にきゅっと結び、涙を見せない方がお好きなのだろう。
遺影の少年兵の様に。
僕は裸の腕で涙を拭った。
後から零れそうに成るものは押し止めて耐えた。
すらりと襖が開いて、僕は息を飲む。
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