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 でも、彼の声は本当に愛おしいものを呼ぶ声に思えて、僕の胸は温かく、はち切れそうになる。  たとえ、それが自分のことじゃなくても、構わないんだ。  たぶん。  「かふっ…」  肉に埋もれた前立腺を中指が強く押した。  胎外の親指が睾丸と肛門の間の薄い粘膜を潰す様に押し、僕は感じたことのない衝撃に足先をぴんと伸ばして大きく、がくがくと震えた。  びくん、びくんと、陰茎が跳ねる。  射精はできない。  でも、僕の胸を何かが突き抜けてく感覚は、絶頂の恍惚と同じ。  嗚呼!嗚呼!僕…!  涎を零す唇は口角があがり、だらしない顔で僕は笑った。  まさに絶頂だと思った。  僕は髪を振り乱し、両腕で彼にしがみつく。  弄り過ぎた乳首が真っ赤にはれて、ずきずきと疼く。  二つの穴を彼の指に犯されたまま、僕は彼の唇に吸いついた。  首筋は逞しいのに頼りない。  僕の汗ばんだ髪が乱れて、頬に、首筋に張り付く。  貴方の求める人が、全く、別人でも構わないのです。  僕は彼に縋り付き、ひたすらに唇を貪った。  今は唯、此の體に触れて、繋ぎ留めてくれたら良いのです。  「―――――!!!!!」  指を引き抜かれた隠茎からとぷとぷと勢いの無い精液が溢れた。其れは睾丸を伝い、僕の入口を拡げる彼の手を濡らす。  「っ!!!」  内臓を引きずり出す勢いで、彼の手が僕から露出する。急に訪れる虚脱感に震える。  もっと繋いで居て下さい。もっと埋めて、満たして、中迄挿入って。  僕は彼を求める。  彼の大きな躯が僕を見下ろした。

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