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僕の腰を彼が掴むと、其の大きな掌に、僕の胴回りは易く掴まれてしまう。
彼が膝立ちに成れば、僕の躯は肩で支えるより他無くなる。
此の身が貧相で良かった。
彼の負担に成らずに済む。
「――――!!!」
僕を軋ませて、彼が押し入る。其の硬い、灼熱の楔が僕を撃ち抜く。
嗚呼、なんて倖せ。
僕は今間違いなく、此の人に繋がれている。此の人が僕を此処に縫い付ける。打ち付ける。
何時までも此の楔を抜かないで欲しい。
ぐちゅぐちゅと音を立ててめり込み。ぬるると引き抜けて、再びずどんと射抜かれる。
突き落とす様に、叩き付ける様に。
呼吸もままならない。
ずっずっと僕の淫腔は喋り出す。喉から声が出ない分、僕の躯は饒舌に語る。
過去等要らぬ。
愛等知らぬ。
唯、如何様にしても、貴方が僕を求めてさえくれたら其れで良い。
貴方を此の身で、絶頂に導ければ其れで。
僕は意識して彼の肉棒に肉筒を絡ませる。肉は僕の意志通り彼を包み、蕩け、締め付けて緩く絡む。
「嗚呼…」
彼の唇から零れる吐息が愛おしい。
此んな感情は知らぬ。
唯々、愛おしく、狂おしく、最の果て迄僕を導く。
熱い飛沫が僕の腹の中に爆ぜる。
僕は一滴も零すまいと入口を閉ざす。
腰が落ち、彼の身体が僕を包み、耳元で名を呼ばれる。
涙が伝う。
頭の奥でエチュードが流れる。
嗚呼、嗚呼…。
なんて倖せな、時。
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