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終末へのエチュード
僕は日に肥え、彼は日にこけた。
落ち窪む眼窩はまるで骸骨の様で、僕は。
人間特有の、根拠の無い『自信』だけに縋っていた。
僕だけは死なない。
僕だけは爆撃されない。
僕だけは大切な人を此れ以上亡くさない。
どんな危険を侵し、因果応報を知っていても、人は自分を『特例』とみる。
子供という、厄介な生き物は余計に其の傾向が強かった。
実際はそんな『特例』など一切ないのだ。
因果は呼応し、原因は結果へ、起こった事象は明らかに其の先へと繋がる。
彼は床に臥せる事が増えた。
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