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堕ちゆく月3※
夕方からずっと、瀧田のスマホはひっきりなしに着信を告げていた。
相手は、桐島大胡と桐島貴弘。
大胡からの電話に出るつもりはない。折角の宴をまた邪魔されるのはごめんだ。だが、貴弘の電話には、そろそろ応じてやってもいいかもしれない。
1度静まったスマホが、再び着信を告げる。
ー貴弘だ。
「はい。瀧田です」
『総かっ!今どこにいる!?』
「ああ。貴弘?どうしました?そんなに慌てて」
『雅紀をどこへやった!?一緒にいるんだろう!』
「もちろん。今ちょうど歓迎の宴の真っ最中なのですよ」
『総。雅紀に手を出すな』
「何故?この子は僕のものなのに」
『頼む、総。雅紀は私の大切な人なんだ。頼むから私に返してくれ』
「へえ……珍しいですね。プライドの高い貴方が僕に素直に頼み事だなんて。……そんなに雅紀が大事?」
『ああ。とても大事な人だ。だから頼む』
「………いいですよ。返してあげても。貴方が僕の言う事をきいてくれるならね」
『何だ?何が望みだ。私に出来ることなら何でもしよう』
瀧田は眉をあげ、スマホから雅紀の方に視線を移した。雅紀は大迫にじわじわと嬲られて よがり狂っている。
「僕は雅紀の、最高にエロティックで綺麗な瞬間を見たいんですよね。以前、早瀬暁は僕にそれを見せてくれましたよ。途中で邪魔が入って、動画も取り上げられちゃったけど……。貴方にそれが出来ますか?」
『……分かった。もちろん出来る。今からすぐそちらに向かうから、場所を教えてくれ』
「余計な邪魔者は連れて来ないと約束してください。もしおかしな真似をしたら、僕は雅紀を誰の手にも届かない場所に連れて行ってしまいますよ」
「私1人で行く。誰にも場所は教えないと約束する」
『では…』
貴弘は、電話を切ると、走り書きしたメモを見つめた。
電話口からかすかに聞こえていた、雅紀の悲鳴のような泣き声。瀧田は完全に狂っている。以前、母親と同じ病院に入院させられた時と同じだ。居場所を教えてくれたのがせめてもの救いだが、自分1人で雅紀を無事救い出せるかどうか……。
「迷っている場合じゃないな」
貴弘はメモを握り締めて、自分の車へと向かった。
山の中のログハウスは空振りだった。もう一軒ある海沿いの別荘にも、人がいる気配はないらしい。
「くそっ何処だ!雅紀は何処に…っ」
「県外に連れ出されたのかもしれねえな。今、大胡さんに搜索の手を拡げてもらってる」
秋音は震える拳を、ダッシュボードに叩きつけた。こうしている間にも、雅紀がどんな目に遭わされているかと思うと、居ても立ってもいられない。
田澤も厳しい表情で、腕を組んで考え込んだ。県外にとなると、搜索範囲が広すぎる。瀧田はたしか自家用ヘリを持っている。大迫の別荘だけでなく、瀧田の隠れ家なども搜索対象に加えた方がいいかもしれない。
車内に重苦しい沈黙が続いた。
ふいに、秋音のスマホが着信を告げる。相手は登録のない番号だった。
「……はい」
『秋音か?場所は○○○の別荘地だ。番地は○○の○。赤い煉瓦造りの一軒家だ』
「……っ。○○の○?そこに雅紀がいるのか?!」
『すぐ来い。私は先に行く。くれぐれも気づかれるな。下手をするとあいつは雅紀を殺してしまうかもしれない』
それだけ言って電話は唐突に切れた。あの声は貴弘だ。
「暁、誰からだ!?」
「桐島……貴弘からです。雅紀は○○○の別荘地。番地は○○の○」
「了解だ。行くぞ!」
田澤は頷いて車を発進させた。
ベッドの上で、雅紀は目を開けたまま気絶しているかのように放心していた。趣味の悪いドレスは脱がされて、一糸も纏わぬ姿で、均整の取れた細身の身体を晒している。
あれから、大迫に時間をかけて性感帯を嬲られ続けた。立て続けに2度ドライで達し、ペニスの縛めを外されて、勢いのないだらだらと垂れ流すような射精をした後、ベッドに移されて全身の汚れを綺麗に拭われた。
過敏になった肌に瀧田や大迫が触れる度、雅紀は声にならない呻きをもらして、ぴくぴくと反応していた。疲れ果てているのだろう。2人がかりで身体中を愛撫されても、抵抗することも出来ずになすがままだ。
「疲労困憊だな。さすがに反応が鈍い。……少し休ませるか?」
瀧田は名残惜しげに指先で雅紀の胸の尖りを弄っていたが、ふんと鼻を鳴らして起き上がると
「そうですね。もう少ししたら、今宵のメインディッシュが登場です。それまでにちょっと、体力を回復させてあげましょうか」
「メインディッシュ?」
怪訝な顔で眉を寄せた大迫に、瀧田は満面の笑みを浮かべて
「貴弘がこの子を抱きに来るんです」
「ここに呼んだのか?」
「ええ。どうしても雅紀に会いたいというので、特別にご招待してあげました」
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