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後日談 『おしおきー4』
「仕事絡みの旅行なんだろう?こっちには何泊するんだい?」
リビングのソファに2人が腰をおろすと、藤堂はキッチンへ行き、コーヒーメーカーをセットしながら尋ねてくる。
「一応、仙台には3泊の予定です。その後、家出人探しで山形の方へ」
「ふーん。随分、忙しないなぁ。もっとゆっくりしていきたまえ、と言いたいところだが、仕事だから仕方ないのかな。もちろん、ここにも泊まっていってくれるんだろう?」
藤堂の問いかけに、秋音と雅紀は顔を見合わせた。
「いえ。今日は駅前のビジホにでも泊まろうかと」
藤堂は驚いて目を見張り、キッチンから身を乗り出す。
「おいおい。水臭いことを言ってくれるなよ。せっかく来てくれたのにビジホはないだろう」
「や。でも、また図々しくお世話になるなんて……」
藤堂はキッチンから出て2人に歩み寄ると、雅紀に片眼を瞑ってみせ
「ここは、君らのふるさとだろう?詰まらない遠慮なんか要らないんだよ。いつだって何泊だってしてくれて構わない」
「藤堂さん」
「俺は相変わらずの寂しい独り暮らしなんだ。たまには君たちの幸せのお裾分けをお願いしたいね」
優しく微笑む藤堂に、雅紀は感動して目を潤ませている。秋音はちらっと藤堂の表情を見た。その視線に気づいた藤堂が、雅紀には見えないように秋音ににやりと笑ってみせる。
……やはり下心あり、か。まったく藤堂さんも懲りない人だな。あれがなければ、素晴らしくいい人なんだが。
秋音は内心ため息をつくと、雅紀の頭をぽんぽんと叩き
「どうする?旅館の予約は明日だ。今夜はここにご厄介になるか?」
雅紀は秋音の顔を見上げて嬉しそうに頷くと、藤堂の方に向き直り
「ありがとうございます。藤堂さんっ。それじゃ、お言葉に甘えて、一晩お世話になりますっ」
ぺこんと頭をさげた。微妙な表情を浮かべる秋音に、藤堂は笑いを噛み殺し、コーヒーを取りにキッチンに戻る。
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