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後日談 『おしおきー7』
藤堂の質問に、秋音の隣で神妙な顔をしていた雅紀が、びっくり目をして固まる。
「……へ……?」
「へ?じゃないよ。入籍。……まだなのかい?」
当たり前だと言わんばかりの藤堂に、雅紀は秋音と藤堂を見比べて
「……や……あの……入籍って……誰が?」
「もちろん、君と都倉だ。ずっと同棲してるんだろう?そろそろいい頃合じゃないか」
「俺と……秋音さん……。籍って……え?」
「まあ、日本では同性婚はまだ認められていないからな。実際には、年下の君が、都倉の籍に入るって形なんだろうけどね」
雅紀はまだ、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔できょときょとしている。まあ、当然だろう。藤堂の唐突な話の飛躍に、雅紀がついていけるはずがない。秋音は苦笑して
「藤堂さん。雅紀の頭の上に?マークが盛大に飛んでいるんですが」
藤堂もくくっと笑って
「そのようだね。どうやら俺は先走り過ぎたらしいな。籍の話はまだしていなかったのか」
「ええ。もう少し落ち着いたら、するつもりでしたけどね」
「……っ?……え……秋音さん」
秋音の意外な言葉に、雅紀は更に目を見開き
「籍……入れる……の?俺と……秋音さん」
「ああ。俺としては、近いうちにそう出来たらと思っているんだが。……雅紀は……嫌か?」
「えっと。それって……養子縁組って……こと?俺が……秋音さんの養子になるんですよね?」
「そうだよ」
雅紀はまだ夢でも見ているような表情で、秋音の顔をぼーっと見つめて黙り込んだ。
……養子に……。俺が秋音さんの。うわ。それって男同士では結婚と同じってことだよな。秋音さんと結婚。家族に……なる。すっごく嬉しいけど。でもいいのかな……。俺とそんなことしちゃってほんとにいいのかな……。
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