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後日談 『おしおきー11』
雅紀はしばらく秋音の出て行ったドアをぼんやりと見つめていたが、やがてベッドにぽすんと顔を埋めて
「……秋音さんの…ばか…」
小さく呟いた。
仕方なくベッドに横になったが、身体が火照ってなかなか寝付かれない。この火照りが、酒の酔いのせいだけではないことは自覚している。
秋音が、独りで迷走し続けた暁に、怒って約束させたこと。
それは……1ヵ月のエッチ禁止だった。
人の意見も聞き入れず雅紀を泣かせた罰だと言って、秋音がその『おしおき』を暁に約束させた時、暁はかなりのショックを受けていたが、その間は秋音も雅紀を抱かないつもりだと知って、渋々承知したらしい。
だから、あのカタクリの群生地に行った日から3週間近く、雅紀は秋音にも暁にも抱かれていない。
雅紀としては、最初は1ヵ月ぐらいどうってことないと思っていた。秋音が暁に課した『おしおき』の内容のバカバカしさに、ちょっと呆れて首を傾げてさえいた。
まさかその『おしおき』に、自分がこんなに翻弄されることになるなんて、思ってもみなかったのだ。
暁が、秋音との約束を大人しく守っていたのは最初の3日だけだった。普通に手を繋いだり肩を抱いたりほっぺにキスしたりしていたのが、だんだん怪しくなってきて、際どい触り方をしてきたり、的を外したふりをしてそっと唇にかすめるだけのキスをしてきたり。
「秋音さんに怒られるんだからっ」と、雅紀はぷりぷりしながら、暁のちょっかいをかわしていたが、そのうちもどかしくなってきた。
触れてくれそうで触れてくれない。手が出せないものだから、格好いい低音ボイスで、エロいことを耳元に囁いてくる。
……なんか……言葉責め……みたいだし。
ってか、焦らしプレイ……?
あれじゃ、おしおきされてるの、暁さんじゃなくて、俺の方だし……。
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