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後日談 『おしおきー19』※
少し上擦って掠れた声。
熱のこもった眼差し。
男っぽい色気のある表情。
目の前の恋人が、本気で自分を欲しがってくれているのが、ひしひしと伝わってくる。
雅紀は潤んだ瞳で秋音を見つめて
「じゃあ……もし暁さんと喧嘩になっちゃったら、俺が仲直りしてってお願いするから」
そう言って、自分からそっと秋音の唇に口づけた。秋音は息をのみ、雅紀の背中に腕をまわして抱き締め、その優しい口づけに応える。
ついばむような優しいキス。繰り返す度に熱があがっていく。熱い吐息が重なり合い、混じり合い、やがてしっとりとひとつに溶けてゆく。
思いの丈を込め、互いの優しさを与え合うようなキスは、どうしてこんなにも気持ちがいいのだろう。
「……ぅ……んぅ……ふぅ……っん……んぅ」
雅紀の色っぽくて可愛い声が鼓膜をくすぐる。まだ恋を自覚していなかった時に見た夢。あの夢に現れた雅紀が、今この腕の中にいる。
ああ…この甘く掠れた鳴き声は媚薬だ。聞く度に腰のあたりにぞくぞくっと震えが走る。
くちゅくちゅと水音をたてながら、互いの舌を絡め合う。
秋音はそっと薄目を開けて、雅紀の表情をうかがった。
せつなげに寄せた眉。目元をうっすら染めてぎゅっと目を瞑っている。
官能の色を纏い喘ぐ美しい恋人。
愛し過ぎて苦しいくらいだ。
下腹にずんと熱が集まり、秋音は思わず呻きそうになって、雅紀の身体をぎゅっと抱き締めた。
「……っん……っふ……ぅ」
絡め合う舌が溶けそうなほど熱い。
秋音は強く吸い上げると、唐突に唇を離した。まるでセックスそのもののような濃厚なキスに、煽られ過ぎて、下腹が痛いくらい張り詰めていた。このままではキスだけで暴発しそうだ。
「……ん……ぁ……きと……さぁ……ん……?」
雅紀はとろんとした目で、不思議そうに小首を傾げる。その表情が、あどけないのに強烈に色っぽい。
秋音は雅紀の尻に手を滑らせ、薄い部屋着の上から、小さな丸みをぐいっと掴んで
「おまえ……っ煽りすぎだ。キスだけで、止められなくなる」
「……んっあ」
尻を掴まれ引き寄せられて、互いの欲の証が、薄い布越しに触れ合う。
雅紀は感じ入ったように、きゅっと眉を寄せ、熱い吐息を漏らした。
秋音は興奮し過ぎた自分を抑えようと、目を閉じて深呼吸する。
もう夜中の1時をまわっている。このまま先に進んだら、朝寝坊は確実だし、藤堂の思惑通りにお役立ちグッズを使うのも…なんだか癪だ。
「……秋音さん……しない……の……?」
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