385 / 606
後日談 『おしおきー20』※
キスを止め、目を閉じてしまった恋人に、雅紀は戸惑って問いかける。秋音が目を開けると、大きな瞳が、ちょっと恨めしげに自分を見つめていた。堪らなくなっているのは雅紀も同じらしい。秋音は苦笑いして
「俺だってしたいが、起きられなくなるぞ。久しぶりだから、きっと歯止めが効かない」
「……して……。俺のこと、抱いて……秋音さん」
珍しくストレートな雅紀のおねだりに、秋音は息を飲み
「……っいいのか?」
「……したい……我慢……出来ないっ」
欲情に掠れた声が、下半身を直撃した。理性の糸がプツンと音を立てて切れる。ダメだ。こんなに可愛くねだられて、抵抗出来るわけがない。
秋音は息を荒げ、雅紀の身体をベッドに押し倒した。
独りリビングに取り残されて、藤堂は再び、ブランデーグラスに手を伸ばす。あれだけお膳立てしてやったのだ。あの2人はもう大丈夫だろう。
……なんだかんだで俺も、お人好しだよなあ……。
さっきはかなり真剣に、雅紀を口説いたつもりだ。もちろん、最初から玉砕覚悟ではあったが。
久しぶりに、昔好きだったあいつのことを思い出した。好きだったからこそ別れた。今頃どうしているのだろう。もう何年も音信不通だが、多分、元気に幸せに暮らしているはずだ。そうでなければ困る。
雅紀の上に覆い被さり、口づけながら服を脱がす。雅紀も、んっんっと鼻から声をもらしながら、秋音のシャツのボタンを外していく。
互いの興奮が、更に相手の興奮を煽っていた。
秋音は雅紀の上衣を脱がせると、唇を首から胸へと滑らせていき、赤く色づく胸の尖りに口づけた。
「……っぁ……っ」
雅紀は熱混じりの吐息と共にぷるっと震え、もどかしげに身を捩った。
「いい声だ。……感じるか?」
「……ぅん……ぁ」
秋音は、つんと突き出た尖りを唇で摘んで、舌先でつつく。ざらついた熱い舌の感触に、雅紀の身体は勝手にぴくぴく跳ねた。久しぶりの愛撫に身体がものすごく過敏になっていた。秋音の指や唇、舌が触れる度に変な声が出てしまいそうだ。
「声を我慢、するな。唇を噛むと、傷がつくだろう」
秋音はいったん顔をあげ、雅紀の顔を覗き込んで、必死に声を殺そうと唇を噛み締めている雅紀に囁いた。
雅紀はうるうると涙目で秋音を見上げて
「……んぅ……だって……。変な声……出ちゃう……からっ」
「聞かせろよ。俺は聞きたい。おまえの声」
秋音は、雅紀の耳元に口を近づけて囁くと、熱い吐息を吹きかけ、首筋に舌を這わせた。
「……んっぁ……っぁん」
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!




