389 / 606

後日談 『おしおきー24』※

秋音は男らしい眉をぎゅと顰め、息を殺して突き入れていく。狭くて柔らかい雅紀の肉壁が、己のものを押し包み絡みつく。 久しぶりの雅紀の中だ。気持ち良すぎて太腿が痙攣する。 「……んあ……っぁ……く……ぅん……っぁ」 もう何度も情交を重ねた雅紀の身体は、相変わらず狭くはあるが、秋音の大きな昂りを上手に受け入れ飲み込んでいく。そのままずずっと一気に奥まで突き入れると、雅紀はしなやかに反り返った。 「あーーーっ……っぁぁぁ……っ」 艶やかな悲鳴をあげて、堪えきれずに登りつめ熱を解き放つ。 ……っすごいな。 入れた途端か 甘やかに登りつめ、くったりと弛緩した雅紀の身体に覆いかぶさり、後ろから耳元に囁く。 「……っぁ……は……ぁ……っん……ぅっく」 そんなささやかな刺激にも敏感に反応し、雅紀はぴくぴく震えながら小さく喘いだ。 雅紀の中は秋音のものに絡みついたまま、きゅっきゅと収縮を繰り返している。イった瞬間のものすごい締め付けに、危うくもってかれそうになった。 雅紀には内緒だが、雅紀の部屋から引き上げた後、実は秋音もなかなか寝付けずに、独りでこっそりと自慰をしていた。雅紀の色っぽい姿を想像して抜いたから、後ろめたさでいっぱいだったが、1度抜いておいて正解だったかもしれない。 熱い肉壁にみっちりと包まれていると、肉体的なだけじゃない安堵感と幸福感に満たされる。 雅紀と肌を重ねる度に得られるこの至福は、何度経験しても新鮮で感動的だった。 思えば、父のいない子として育ち、母が父の愛人だったと聞かされてからは、常に自分の中に欠落感があった。命を狙われていると感じてからは、更にそれが酷くなり、他人と情を交わすことに臆病にもなった。 誰かと繋がりたい。 でも否定されたら……。 拒絶されたら……。 そんな自分の臆病さを唯一理解してくれた女性は、自分のせいで命を落とした。やはり自分には、人を愛する権利も愛される資格もないのかもしれない。あの時の絶望感は、今でも覚えている。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!