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後日談 『おしおきー32』※

張り切る雅紀の案内で、庭続きの露天風呂を探索してみる。記憶には残っていても、実際に自分の意識で見てみると、新鮮で感動だった。 「やはりいいな、ここは。眺めも素晴らしくて開放的だ」 雅紀は得意気に鼻をひくひくさせて 「でしょ?秋音さん、夕飯まではまだ時間あるから、入ってみます?」 はしゃぐ雅紀の笑顔が可愛くて眩しい。秋音はふっと笑って 「おまえ……大胆だな。こんな明るい時間からお誘いか?」 秋音の揶揄いに、雅紀ははっとしたように目を丸くして 「やっ。違うからっ。俺、一緒に入るなんて言ってないしっ」 真っ赤になる雅紀の耳に口を寄せ 「ばかだな。1人で入ったってつまらないだろう」 ちょっと低めのキメ声で囁くと、雅紀はじとっと秋音を睨んだ。 「秋音さん……暁さんに似てきたし」 「それはそうだ。暁は俺なんだからな」 雅紀は、んーーっと唸って首を捻り 「じゃあ、秋音さんも……すけべおやじってこと……?」 「こら。暁が聞いたら怒り出すぞ」 「そういえば、暁さん……まだ拗ねてるんですか?」 気遣わしげな雅紀に、秋音は首を竦めた。 「そうみたいだな。俺の呼びかけにもまったく反応しない。まったく……子どものようなヤツだ」 「……そう……なんだ……」 しょんぼりして顔を曇らせた雅紀の頭を、ほわほわと撫でて 「しょげるな。そのうちきっと我慢しきれずに出てくる」 「そうかなぁ……。このまま……消えちゃったりしないですよね……」 「それはないから心配するな。 ……おいで」 秋音は中庭のベンチに腰をおろし、雅紀を手招いた。おずおずと近寄る雅紀の手をぐいっとひいて、自分の膝の上に跨らせると 「暗い顔をするな。笑ってくれ。おまえの笑顔は俺の心の栄養源だ」 そう言って雅紀の小さな顔を両手で包み込み、そっと口づける。雅紀はぴくんと震えて、秋音の背中に腕をまわし、口づけに応えた。 ちゅっちゅっと啄むような優しいキス。触れ合う唇から、互いの熱が伝わってくる。 何度経験しても、秋音とのキスはドキドキする。重ねれば重ねるほど、もっと欲しくなる。雅紀は秋音の袖をきゅっと掴みしめ、甘い吐息を漏らした。 「……ん……っんふ……ぅん……」 熱い舌が唇を割って忍び込んでくる。舌を絡め、キャンディを舐めるように転がされ、ちゅっと吸われて、腰から背中にじわっと甘い痺れが駆け抜けた。 膝の上でもじもじする雅紀の尻を、秋音は両手でぎゅっと掴んで引き寄せる。身体が密着して、口づけはいっそう深くなり、雅紀のせつなげな鼻声が高くなった。 押し付けた下腹が、熱く脈打っている。硬くなった互いのものが、布越しに触れ合い擦れ合う。その感触が更に興奮を煽った。 ……ぁあっ……溶けちゃいそうっ 感極まって雅紀がぷるっと身体を震わせた瞬間、ふいにちゅぱんっと唇が離れた。 「おまっ。エロすぎっっ」

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