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後日談 『おしおきー41』
雅紀は言葉を絞り出し、泣きながら暁の胸にぽすんと飛び込んだ。受け止めた暁が、その細い身体を優しく抱き締める。
「ほれ~泣くなよ。おまえもさ、思ってることはぜんぶ口に出してみ。遠慮なんか要らねえからさ。自分がどうしたいか、俺らにどうして欲しいか、ちゃーんと言ってみ」
雅紀は暁にぎゅっとしがみつき
「っ……俺、あのね……っおれ」
「うん」
「籍に、入れて。俺、俺……っ……あなたの、家族に、なりたい……っ。め……迷惑……っかけるかも、しれない。父さんが、また……酷いこと言うかも……。
でもっ、俺はあなたの家族に、なりたいっ。あなたに、何があっても……俺、俺が守りたいから……っ。
一緒に…あなたと一緒にっ生きていきたいんですっっ」
何度も声を詰まらせしゃくりあげ、それでも懸命に言葉を紡ぐ。しがみつく華奢な身体が震えていた。
……あなたを守りたいから、か。
ブレることのない雅紀の想い。こいつはいつだって、せつないくらい真っ直ぐで一途だ。自分が甘えたいわけでも寄りかかりたいわけでもなく、支えたい守りたいと言い切ってくれるその強い想い。
暁は込み上げてくる熱いものをぐっと噛み締め、雅紀の身体を力一杯抱き締めた。
「なあ、雅紀。おまえのお父さんの言葉で、俺や秋音が傷つくことなんか絶対にねえよ。むしろ、おまえのご両親に俺は感謝してる。おまえをこの世に生まれさせてくれた人達なんだからな。だから、んなこと気にしなくていい」
「ぃっく……ぁ、きらさ……っ」
「俺らと家族になろうぜ。血が繋がってなくたって、結婚出来なくたってさ、世界一幸せな家族になろうな」
雅紀が顔をあげる。泣きはらした兎の目。甘え下手で男前なこと言うくせに、泣き虫なこいつが愛おしい。
暁は雅紀の顔を両手で包んで、優しく口づけた。
「幸せにしてくれよ、俺のこと。おまえも絶対、幸せにするからさ」
「……ぅっく。ぅん……うん……絶対、俺、幸せに、するっ」
またぽろぽろ零れ始めた涙を、唇でそっと吸い取ると、もう一度しっかりと抱き締め直した。
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