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後日談 『おしおきー43』
「なあなあ。そろそろさ、露天風呂入ろうぜ」
食事を終えて、窓際のソファーで寛ぎながら、カメラの手入れをしていると、トイレに行っていた暁がタオル片手に戻ってきて、すりすりと身体を寄せてくる。
「んー……。俺まだお腹ぱんぱんだから。暁さん、先、入ってきて」
本体から外したレンズの埃や曇りをチェックしながら、雅紀が生返事をすると、暁はショックを受けた顔になり
「おまっ。なっ、なに、その冷てえセリフっ」
がばっと雅紀の両肩を掴み、
「せっかくの温泉露天風呂だぞっ。1人で入ってこいとか、なにその冷たさっ。倦怠期か?もう俺たち倦怠期なのか?」
涙目で肩を揺さぶる暁に、雅紀はレンズを慌ててローテーブルに避難させた。
「倦怠期って……」
雅紀は呆れたようにため息をついて、暁の顔を上目遣いに見上げた。
「んもぉ~暁さん、おバカですか。さっき新婚さんだって言ったばかりでしょ。お腹落ち着いたら俺も入るし。……そんな顔しないで。ね?」
手を伸ばして拗ねる暁の頬にそっと指で触れると、伸び上がってその唇に、んちゅ…っとキスをした。
それが呼び水になったのか、暁は屈み込むと、すぐさま口づけを深くする。
「……ん……っふ……ん……」
雅紀の可愛い鼻声が耳をくすぐる。暁はもぞもぞと手を雅紀の尻の方へ伸ばした。小さくて形のいい丸み。指でなぞりながら、舌を絡ませ吸い上げる。さっき食事前に抜き合いっこしたはずなのに、やんちゃな息子がまたムクムクと反応し始めた。
考えてみれば、自分の意識で雅紀とエロいことをするのは、本当に久しぶりなのだ。昨夜、藤堂のマンションで、秋音が雅紀とエッチした記憶は、自分の中にもある。この身体でしたわけだから、切実な欲求不満も一応解消されているはずだ。
しかしだ。やっぱり違うのだ。自分の意識で雅紀を抱くのと、抱いた記憶があるのとは、まったくの別物だ。この小さな尻の狭間にある、熱くて狭い腔に分け入っていくあの感触。想像しただけで頭ん中が沸騰して、くらくらと眩暈がしそうだ。
……秋音のやつ……さすが俺の分身だぜ。俺が一番堪えるおしおきを、超的確に分かってやがる。ま。ミイラ取りがミイラになっちまったけどな。
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