408 / 445

後日談 『おしおきー43』

「なあなあ。そろそろさ、露天風呂入ろうぜ」 食事を終えて、窓際のソファーで寛ぎながら、カメラの手入れをしていると、トイレに行っていた暁がタオル片手に戻ってきて、すりすりと身体を寄せてくる。 「んー……。俺まだお腹ぱんぱんだから。暁さん、先、入ってきて」 本体から外したレンズの埃や曇りをチェックしながら、雅紀が生返事をすると、暁はショックを受けた顔になり 「おまっ。なっ、なに、その冷てえセリフっ」 がばっと雅紀の両肩を掴み、 「せっかくの温泉露天風呂だぞっ。1人で入ってこいとか、なにその冷たさっ。倦怠期か?もう俺たち倦怠期なのか?」 涙目で肩を揺さぶる暁に、雅紀はレンズを慌ててローテーブルに避難させた。 「倦怠期って……」 雅紀は呆れたようにため息をついて、暁の顔を上目遣いに見上げた。 「んもぉ~暁さん、おバカですか。さっき新婚さんだって言ったばかりでしょ。お腹落ち着いたら俺も入るし。……そんな顔しないで。ね?」 手を伸ばして拗ねる暁の頬にそっと指で触れると、伸び上がってその唇に、んちゅ…っとキスをした。 それが呼び水になったのか、暁は屈み込むと、すぐさま口づけを深くする。 「……ん……っふ……ん……」 雅紀の可愛い鼻声が耳をくすぐる。暁はもぞもぞと手を雅紀の尻の方へ伸ばした。小さくて形のいい丸み。指でなぞりながら、舌を絡ませ吸い上げる。さっき食事前に抜き合いっこしたはずなのに、やんちゃな息子がまたムクムクと反応し始めた。 考えてみれば、自分の意識で雅紀とエロいことをするのは、本当に久しぶりなのだ。昨夜、藤堂のマンションで、秋音が雅紀とエッチした記憶は、自分の中にもある。この身体でしたわけだから、切実な欲求不満も一応解消されているはずだ。 しかしだ。やっぱり違うのだ。自分の意識で雅紀を抱くのと、抱いた記憶があるのとは、まったくの別物だ。この小さな尻の狭間にある、熱くて狭い腔に分け入っていくあの感触。想像しただけで頭ん中が沸騰して、くらくらと眩暈がしそうだ。 ……秋音のやつ……さすが俺の分身だぜ。俺が一番堪えるおしおきを、超的確に分かってやがる。ま。ミイラ取りがミイラになっちまったけどな。

書籍の購入

62
いいね
34
萌えた
6
切ない
26
エロい
31
尊い
リアクションとは?
コメントする場合はログインしてください

ともだちにシェアしよう!

この作品を読んだ人におすすめ

「つまり君は、天使だね?」「悪魔だよ」/朗らか社畜×クールな悪魔/人間界ほのぼのハイテンションな日常
243話 / 341,886文字 / 14
1時間前
誰よりも心は繋がってるのに、体に触れるのは、まだ怖い。
1話 / 4,311文字 / 0
1/16
溺愛先輩と生意気後輩の大学生日常もの
19話 / 39,736文字 / 17
2021/9/16
3年前すごく好きだったバンドの推しメンが、合コンにいました。
22話 / 90,159文字 / 11
2024/9/12
186センチの部下と166センチの上司が紡ぐドタバタラブコメディ
6話 / 26,182文字 / 35
2019/9/8
★12/31番外編追加【本編完結】ベータ×オメガ|俺がアルファだったらよかったのに(R18)