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後日談 『おしおきー51』※

夜気に晒された肌は冷たい筈なのに、皮膚の下がじんじんと熱い。指と舌と声で、同時にあちこちの性感帯を攻め立てられて、変な声を抑えるどころか、息をするのも苦しい。 「……ふ……すっげー……いい声。雅紀……。もっと鳴けよ。狂っちまえよ」 「……っああっんー……っやああんっやぁ……っら、めぇ……っ」 さっき1度イったのに、堪え性のない身体はまた昂って、ペニスががちがちに張り詰めていた。身を捩る度にふるんふるんと震えて、鈴口からとろとろと涙が零れる。 暁の指や舌は、雅紀の敏感な場所を次から次へと撫で回し舐め回すのに、ペニスには全然触れてくれない。たまに際どい場所を掠めたりしても、すぐにふいっと離れていってしまう。焦らされ過ぎて、もどかし過ぎて、雅紀はねだるような甘ったるい声を止められない。 「あっ……あーぁんっんぁ……っや、ぁやぁっねがっさわ……っあー……っ」 雅紀は狂おしく身を揺すり、乳首を摘む暁の手を縋りつくように掴んで、下腹に持っていこうとする。 「だーめだ。そっち、触っちまったら、またイッちゃうだろ、おまえ」 雅紀は震えながら振り返り、涙の滲んだ目で、暁を見つめた。 感じきってうっすらと上気した頬。うるうるの大きな瞳。せつなげに開いた形の良い赤い唇。欲情に染まった雅紀の顔は、ぞくっとするほど妖艶で美しい。 暁はごくっと唾を飲み込み、魅入られたように雅紀の目を見つめ返した。 瀧田の狂気じみた行為は、未だに理解し難いし許し難いが、何故、雅紀にあれほど執着したのかは、なんとなく分かる気がする。 普段はほわんとして年より幼く見え、性的なものを一切感じさせない硬質な美人だが、いったんこうしてスイッチが入ると、見る者を虜にする蠱惑的な色気を醸し出す。その怖いくらいのギャップが、雅紀に今まで望まない過去を強いてきたのだろう。本人に自覚がないから尚更だ。 守ってやりたいと、改めて痛切に思う。もう雅紀にあんな哀しい思いは絶対にさせたくない。 「……っ挿れても、いいか?」 思わず声が上擦った。雅紀はきゅっとせつなげに眉を寄せ、うっとりと頷いた。 「……っき……て……っ暁さんの……欲しい……っおれ、なか……いっぱいに……っして」 その甘く掠れた低いねだり声が、下腹を直撃して、ずくんと痛いほど張り詰めた。 ……くっ……もう限界だ。 お預けをくらっていた、狭くて熱くて柔らかい雅紀のなか。あの中に己を埋めて、ぴったりとひとつになりたい。どろどろに溶けて混じり合いたい。

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