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番外編『愛すべき贈り物』22
「なあ、祥。あいつおまえに何か言ってねえ?」
暁の唐突な質問に、祥悟はきょとんとして首を傾げた。
「何かって、何を?」
「う?んー……いや、つまりさ、ん~。や、何でもねえ」
「なになに。本気で喧嘩でもした?仔猫ちゃんと」
興味津々に目を輝かせて身を乗り出す祥悟に、暁は嫌そうに顔を顰め
「そんなんじゃねーよ。俺とあいつは超ラブラブだっつの。たださ……」
「歯切れ悪いねえ。暁くんらしくないな。悩み事なら相談に乗るよ」
にこにこしながら擦り寄る祥悟に、暁はすすっと身をひいて、胡散臭そうに祥悟を睨みつけ
「や。おまえがそーゆー顔してる時は、ぜって~信用しねえぞっ。それより祥。雅紀にさ、何か余計なこと言った覚えねえのかよ?」
祥悟はポーカーフェイスで、考えるフリだけしてみせて
「んー。余計なこと言ったかどうかは分かんないけど、雅紀の様子がおかしいなら、暁くんがあの子を、ちゃんと安心させてあげてないんじゃない?俺、詳しいことは知らないけど、あの子って君に愛されてる自信、いまいちないよね?なんで?」
祥悟の指摘に、暁はすっと真顔になった。
「雅紀が、おまえに、そう言ったのか?」
ーわ。急にマジ顔……。
祥悟は不思議そうな顔をしてみせた。
「ん~? 言わなくても、なんとなく感じるよ。自信ないのは元々の性格なのかな、あのこ」
「まあな。あいつ、自分がどれだけ美人で、超絶可愛くて、愛されキャラかって自覚、まったくねえんだよなぁ」
苦い顔しながら盛大に惚気ける暁に、祥悟は苦笑して
「あーあ。ご馳走さま。ノンケだった君に、そんなに可愛がられてさ、ちゃんと夜の方も頑張ってあげちゃってるんでしょ? それでどうしてあんなに自信ないかなぁ。ね、仔猫ちゃんのこと、初めて抱いた時はどうだったの?」
祥悟は暁にぴたっとひっつき、小声で聞いてくる。暁はまた祥悟から嫌そうに身体を離し、煙草をくわえてマッチで火をつけた。
「どうって……どういう意味だよ」
「だってさ、男の子抱くの、君初めてだったんだよね? それとも俺の知らないとこで、男も経験済みだった?」
暁は顔を顰めながら、煙をふーーっと吐き出すと
「いや。マジで雅紀が初めてだよ。最初勝手が分かんなくて、ちょっとまごついちまった」
「ふうん。でも、ちゃんと勃ったんだ?」
「おう、当然だろ。自分でも意外なくらい、やる気満々だったぜ。っつーか、むしろ興奮し過ぎてヤバかったくらいだ」
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