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番外編『愛すべき贈り物』23
祥悟は、暁の煙草をまた1本拝借して咥え、優雅な仕草でライターで火をつけた。
「ふうん、意外。じゃ、仔猫ちゃんに誘惑されて、のしかかられて一線越えたってわけじゃないんだ?」
暁は苦い顔で煙を吐き出し
「んなわけねーだろ。それよりなんつーかさ、やっぱおまえのその顔でそーゆー話題って、微妙な気分だな」
暁の言葉に、祥悟はぷっと頬をふくらませて
「俺は里沙じゃないし、子どもの頃ならまだしも今は、君がそんなに言うほど似てないよ。それにしても、まさか暁くんの方から迫ったとはねえ」
暁は、祥悟の顔を横目でちろっと見て
「あのな。最後まで抱くことになったのは、里沙にカフェで偶然会った後だよ。雅紀のやつが落ち込んでさ、やっぱ俺には里沙みたいな女性の方が似合うって言うから、俺の本気を分からせてやりたくなったんだ」
「なるほど、そーゆーこと。じゃ、暁くんはゲイじゃないけど、バイの素質はもともとあったんだね。自分の本気を分からせる為に男の子抱くとか、普通はそこでそういう発想になんないでしょ」
「ん~~~。わっかんね。確かに全っ然、抵抗ない自分にびっくりだったけどさぁ。でも俺のはやっぱ雅紀限定だぜ?他の男相手とか、マジでない。キスだけでも罰ゲームレベルな」
「へえ?俺が相手でも?」
祥悟はそういうと、暁の前に乗り出して、誘うような表情で、すくい上げるように暁の顔をじっと見つめた。暁は若干身をひきつつ、祥悟の顔をまじまじと見下ろし
ー確かに祥悟は綺麗な男だ。仕事が仕事だからな、普通の男と違って、こういう本気モードの顔すると、独特の雰囲気と色気があるよな。女顔だから、ちょっと油断すると、つい誘われてふらっとしてしまいそうな、妖しい魅力があるのは間違いない。
でもさ、違うんだよなぁ。
雅紀を抱くことに、初めから抵抗がなかった点で、俺は確かにバイの素地はあったかもしれない。でもやっぱり、どんなに魅力的でも、目の前の綺麗な男に食指は動かない。
雅紀だから、好きなのだ。
雅紀だから、可愛がってやりたい。キスしたい。抱き締めたい。エッチもしたい。
そういうことなんだ。
あいつ以外なんて、もう考えられねえよ。
とか考えてたら、だんだん雅紀に会いたくなってきちまったぜ。あ~あの華奢な身体抱き締めてさ、柔らけえ髪の毛、わしわしってしてやりてえっ。
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