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番外編『愛すべき贈り物』30
祥悟に頼まれた協力とは、暁と交代で里沙のストーカー対策をすること。
暁が、雅紀に気を遣って、里沙と2人きりになるのを避けたりしないように、雅紀自身が積極的に里沙に付き合う約束になっていた。
2人が親密な時間を持つ為に協力するというのは、やっぱり心穏やかではないが、里沙と付き合う時間自体は嫌じゃない。
里沙自身が、気性のさっぱりした付き合いやすい女性だというのもあるし、里沙の仕事関係の知人や友人たちも、さばさばした人が多い。人見知りで臆病な自分にしては珍しく、他人と共に過ごす時間が苦痛じゃなかった。みんな生き生きと、自分の仕事や価値観を楽しんでいる人達ばかりで、未知の世界を見せてもらえる喜びがある。
それに、彼らと接することで、今まで自分がいかに狭い価値観の世界で、息苦しく生きてきたかを、思い知らされてもいた。
……不思議だな……。暁さんと出会う前だったら俺、こんな風に感じたり出来なかったかも。
大人2人がゆったり入れる湯船で、手足を伸ばしてのびのびと浸かる。リラックスし過ぎて、うとうとしてきそうだ。そろそろあがろうかと思った時、浴室の扉が開いた。
「湯加減どうだ~?」
暁が覗き込んでくる。
「うん。気持ちいいですー」
ほにょんと幸せそうに微笑む雅紀に、暁も満足そうに笑うと
「お。帰ってきた時のしょぼくれ顔とは雲泥の差じゃん」
そう言って、いそいそと中に入ってきた。何故か、素っ裸だ。雅紀は目を丸くして
「え、暁さん、また入るの?」
「あったりまえだろ~」
暁はご機嫌に答えながら、シャワーで軽く全身を流すと、湯船に入ってくる。雅紀はきょとんと暁を見上げながら、少し奥につめた。
「これがやりたくてさ、広い風呂にこだわったんだぜ~」
暁は浴槽にどっかり座ると、指先でおいでおいでした。雅紀は我に返って赤くなり、おずおずと暁に抱きついた。足を伸ばして座る暁を、跨ぐ形で抱き締められて、雅紀はほおっと吐息を漏らした。
素肌を重ねる感触が、すごーく気持ちいい。
「ん~最高っ。おまえの肌、前よりすべすべじゃん。エステ効果ばっちりだよな~」
雅紀は、暁の逞しい胸に顔をすりすりして
「んー……でも俺、あの時間、苦手です。なんか自分が、物にでもなったみたいで」
「ははっそっか。でもせっかくただで入会出来たんだからさ、じゃんじゃん綺麗にしてもらえよ。おまえが美人さんになるのは大歓迎だぜ」
暁は雅紀の顔をくいっとあげさせて、にやりとした。至近距離で真正面から、悪い顔して見つめられて、雅紀はどぎまぎと視線を泳がせた。
何度身体を重ねても、暁の男らしく整った顔を間近で見る度、ドキドキしてすごく困る。
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